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第10回「秘密」

酒を飲んでいる時など、みんなに「秘密」と「内緒」の違いを聞く。
当然、答えは出なくても良い。
むしろ、出ない方が面白い。人それぞれ「秘密」と「内緒」の境目を考える。ある出来事が起きた。
それはその人にとって「秘密」にしなければならないことか、「内緒」で済むことなのか…。

東野圭吾という作家がいる。
彼の本を読むたびに驚かされる。
いろんなパターンの本を書いていて、それがみんな読み応えがあり、感心させられる内容で、しかも面白い。
この人は天才だと思う。
彼の本の一冊に「秘密」というのがある。
読み終わって「えーっ、何これ?こんなことって…」と叫ばずにはいられない焦燥感をもった。
そこで周りの人に、この本の感想を聞いてみた。
不思議なことに、感想が人それぞれなのである。
老若男女によって差があるのである。
同じ内容の本を読んでいて読後感が異なると言う不思議な本である。
「秘密」とは人それぞれが持つイメージが違うと言うことなのだろう。

さて、本のあらすじである…。
妻と娘が帰省バスに乗っていて事故に遭う。娘は一命を取りとめるが妻は死んでしまう。
ところが娘の身体に妻の魂が棲んでしまう、という話である。
父親と娘の身体を持った妻との生活がはじまる…。
ここでどちらに感情移入をするかで本の読み方が変わってくるのだと思う。
当然、私は同じ立場として父親の主観で本を読み進めていく。
娘の身体を持った妻は2度目の青春を謳歌している。
父親であれば青春を謳歌する娘を喜んで見守ってあげなければならい。

が、しかし、娘は妻である。みんなには「秘密」だが娘は自分の妻なのである。
そこで男としての嫉妬、若さへの嫉妬心が起きても仕方ないじゃないか、という話の展開になっていく。
この父親と娘の身体をもった妻の生活だけでも充分「秘密」っぽい。
これで話が終われば「ああ、なるほどな」ですんで、読後感に激しい焦燥感には襲われない。
当然、これ以上の「秘密」が結末に向かって明らかにされていくのである…。



映画版の「秘密」は本に比べるとサラリとした感触。しかし、あまりに本が強烈だったので、冷静な批評はできないでいる。監督は「おくりびと」の滝田洋二郎。出演は父親を小林薫、母親を岸本加世子、娘を広末涼子が演じている。原作では娘は中学生からだが映画では高校生から始まっている。この年数の違いも微妙に本の密度を失くしている気がする。父親への再婚話などが持ち込まれるのだが、当然、娘(妻)の反対にあう。こういった伏線が大事なんだがなぁと一人つぶやく私である。映画を見てから本を読んだ方がいいかな、多分。私は本を読んで映画を見たから、映画は面白くなかった…勿体無かったな。



東野圭吾原作の映画はあとは「手紙」がある。
玉山鉄二、山田孝之、沢尻えりか。
これはほぼ原作通り。
重いテーマだがよく出来ている。

それと「容疑者Xの献身」
福山雅治、堤真一、松雪泰子。
ガリレオ・シリーズの長編物だが原作は読んでいない。
短編物は原作の方がドラマより数倍面白かった。この映画はそれなりに面白かった。

ガリレオ(福山雅治)より堤真一の存在感の方がはるかに勝っている。

そして、最近、日本から送られてきたのが「レイクサイド・マーダーケース」青山真治監督。
役所広司、豊川悦司、薬師丸ひろ子。これから見る予定。

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