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旅支度2007 泡沫ギャンブラー

第四話:2007年1月30日


カジノにミイラれて豪国新国の街々をめぐってついの賭場となったのがメルボルン。この街に愛着を抱くようにもなって、いよいよ旅支度にも熱を帯びてくる。ところでカジノカジノと騒いじゃいるが、実のところ私は紛れもなく正真正銘の泡沫ギャンブラー。カジノに飛び込むと真っ先に向かうのが最小ミニマムのテーブル。最小といってもミニマム10ドルだからこれすらきついなあと思いながら細々と打ち越す。初めて打ったゴールドコーストのジュピターズから去年のクラウンまでの戦績から言えるのは、私はヘボでありへたれだということ。

悲しいかなそれが真実。紛れなく真実。困っちゃうほど真実。こんな私でもデビューは華々しかった。当時はカジノといえばルーレット。とりあえず1stダズンに5ドルチップを置いたら当たり。そのまんまにしていたらまた当たり。なんだかくぅーと熱くなって来て気がついたらチップをつまんで2stダズンに移動させていた。また当たり。チップを引いてまた賭目を変えるとまた当たり。こっちはなんにも考えていないのに当たり目の方がついて来る感じ。5度目を外してその場を離れようとするとオージーの娘が抱きつかんばかりに寄ってきて「シンジラレナ~イ」みたいな感激した眼差しで私を見つめるのです。これも真実。ただ娘というよりは実はご高齢のお方だったことを除けば。

華々しく明けた私のカジノ元年は結局ちょい負けで暮れた。以後、負け負け勝ち負け負け負け勝ち負け負けとヘボ度をさらけ出してきたが、近年になって戦績も安定してきて昨年とうとう泡沫ギャンブラーの私が、フロントマネーなるものをカジノに預けてクラウンのマホガニールームにデビューしたのだった。

勝負事は勝たなければ意味がないとよく言うが、勝ち負けだけに因らずそのストーリーこそが肝!

てなことをヘボギャンブラーがほざいても誰も耳をかさないが、それならば私がカジノで過ごした濃密な瞬間をどのような言葉で語ればよいのだろうか。

ミニマム10ドルが主戦場だった泡沫ギャンブラーが、いきなりミニマム100ドルのバカラテーブルで、びびりまくりながら、見よう見真似、時には失笑を買い、セイムドライバーとか言われて絞りに絞って13回連続のドライブ。我ながらあれは凄かったと思うが、人は私が結果的に負けて帰って来たことだけしか気に止めない。それはそれでよいのだけど、こうしてあの瞬間を思いだしてみると私の気持ちはいまなお高ぶる。

※ 絞るというのは、配られたカードはもう変えようがないのだけど、少しづつカードを覗き見しながら思うようなカードになれと願うこと。普通は一番多額なベットをした人間にその権利が与えられるが、私のような泡沫ギャンブラーでも勝ち続けているとおまえが絞れということになる。

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