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ソムリエに日本酒の本質を学ぶ

一流ソムリエ伊賀雅彦の酒とは?

 5月4日(火)オーストラリア・ソムリエ協会の中でも屈指のソムリエ、伊賀雅彦氏による日本酒利き酒の会が、オーストラリア・ソムリエ協会主催によって花菱レストランで行われた。

参加者は、14名に限られた。
(予約が殺到したが限定された日本酒の量であり、14名以外は全て断っている。)

日本酒はほとんど花菱レストランのソムリエ伊賀氏が日本で集めたもの。

 中央の男性は、ビクトリア州ソムリエ協会会長 
Mr. Dan Sims(Victoria National Executive)
左の男性は、レストランCirca the PrinceのソムリエでChris Crawford 。
(Wine List of the Year in The Age Good Food Guide 2008)

オーストラリア・ソムリエ協会会長、ビクトリア州ソムリエ協会会長など、オーストラリアのソムリエのトップが集まった。
これだけのメンバーが集まる会であり、対象となった日本酒も、幻の酒ばかりで日本でも酒屋に並ぶことが少ない貴重な銘酒が選ばれた。

今回の利き酒の会のために、伊賀氏が日本へ一時帰国し、懇意にしている全国の作り酒屋を直接、回って入手してきたもの。

 左は、メルボルンの日本料理店を数店舗、経営する事業家。日本酒には目が無い。

ワインの専門家ソムリエと云っても、ワイン以外の酒に興味が無いわけではない。
むしろ積極的に勉強し、楽しむのがオーストラリアのソムリエ。
日本酒に関しても、驚くほど知識が深い。
伊賀氏が作成した今回のレジメを熱心に勉強しながら利き酒を進める。

原料米の山田錦、心白、磨き、麹(こうじ)、などの専門用語は、当然のように理解されており、更に鋭い質問が次々に出される。

テーブルにはスピトゥーン(テースティングの残りを入れる。)が用意されているが、みなさん捨てずにどんどん飲み干していく。
これがオーストラリア・ソムリエ流だ。
(注:普段は、全て吐き出す。この日は特別。それだけ日本酒に対する姿勢が現れている。)


早いテンポでグラスが開いていく。
それぞれの手元にはメモが置いてあり、その内容を細かく書いていくのは、ワインテースティングの要領。

日本酒と云っても香や味を確かめるには、ワイングラスが適している。
通常の日本料理の席で日本酒がワイングラスで出されることはない。
この場所は、食事を楽しみに来ているのではない。
オーストラリア・ソムリエ流にベストの方法で利き酒が進められる。

 

ワイングラスを持っているのがオーストラリア・ソムリエ協会会長 Mr.Ben Edwards(President)
左は、ビューデモンドのソムリエ Mr David Clarke
Vue de mondeは、世界のトップ100に選ばれたレストラン
(Restaurant Magazine UK 2008 , World's Top 100 Restaurants, Number 76)

利き酒もある程度進んだところで花菱自慢の日本料理が、伊賀氏によって供されていく。
この日本料理も利き酒用に日本酒の味との相性を考えて厳選されたもの。

先日、大手ワイン会社が行ったプロのソムリエだけが参加できるワイン競技会に伊賀氏は参加した。
ブラインドされたワインが何であるか当てるコンペティションが行なわれた。

産地、葡萄品種、年代、どこ産の樽で寝かせてあったか、それともコンビネーションか、もしくは樽が使われていないか、新しい樽なのか使い慣らされた樽なのか、そして銘柄まで、全て当てることができたのは、参加した数百人の中で伊賀氏を含め5人のみ。
グレード、アルコール度数も完全に当てたのは伊賀氏、ただひとり。

 

真ん中の酒は、梵 超吟。皇太子ご成婚の際に使用された皇室献上品

今回の利き酒で飲まれた銘酒。

白川郷 ささにごり酒 岐阜県三輪酒造
梵 超吟 福井県加藤吉平商店
十四代七垂二重貫 山形県 高木酒蔵
大七箕輪門 福島県大七酒造
大七純米きもと 福島県大七酒造
華鳩しおり貴醸酒 広島県榎酒造
獺祭槽場汲み 山口県旭酒造
獺祭磨き二割三分 山口県旭酒造
獺祭磨き三割九分 山口県旭酒造
獺祭50 山口県旭酒造

メンバーからの鋭い質問に伊賀氏は、的確な回答を出していく。

オーストラリアはワイン大国だが、ヨーロッパに比べると歴史は浅い。
しかし生産量が拡大し品質が急速に良くなったのは、新しい技術を積極的に取り入れ、研究熱心である点。
この数年、日本酒ブームとなっているが、決して表面だけのことでないのが今日の利き酒の会を見ても理解できる。

日本からも伊賀氏の活動に熱い声援が寄せられている。
酒業界の大御所、大七の太田氏からのメールの抜粋

・当日の資料は、簡にして要を得た説明で、参加されたオーストラリアの皆さんのご理解もさだめし進まれたであろうと思われました。
・「旨み」という語がそのまま英語で使われていましたが、世界語となりつつあるUmamiに、日本酒が世界において果たすべき役割があるように感じております。
・世界のアルコール飲料の中で、日本酒はumamiを豊かにもつアルコールであるということに大きな特徴があり、この、日本固有の味覚である豊かなumamiを提示することが、世界の食文化に対する日本酒の貢献であろうと考えます。
・それを正しい形で、高いレベルでオーストラリアのトップの方々にお伝えする活動をなさっていることに、敬意を表したいと思います。
・日本に来られましたら、どうぞ是非、弊社をお訪ねください。ソムリエの皆さんも歓迎いたします。

オーストラリア・ソムリエ協会ウェブサイト

今回の利き酒の全ての資料は、伊賀氏によって公開されている。
日本酒に関して英語で書かれた資料として第一級のもの。

花菱レストランのサイトよりダウンロード可能

撮影データ
Canon EOS 5D MarkⅡ プログラムAE 評価測光 絞りF5.0 1/60秒 露出補正 ISO感度 6400 AWB 画質圧縮率 JPEG レンズ EF 24-70 mm f/2.8L USM 発光
撮影 板屋雅博

 


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