流された思いで 3.11
「LOST & FOUND」 写真展 【7/15まで開催中】
2012年6月13日掲載
LOST & FOUND
@Center for Contemporary Photography
Fitzroyにある写真専門ギャラリー、Center for Contemporary Photographyでは東日本大震災に関する展覧会が開かれています。
この写真展「LOST & FOUND」は昨年3月11日に起こった地震での津波により流された写真を展示したもので、宮城県の山元町でガレキの中から拾い集められた75万枚もの写真の中から傷みがひどく持ち主に返せなかった、およそ2000枚を紹介しています。
この展覧会を、企画したのは山元町で津波に流された写真を洗浄し持ち主に返す取り組みを行っているプロジェクトチーム「思い出サルページ」のメンバーで東京やNY、LAに次いで、ここメルボルンでも開催しました。
このプロジェクトには、日本各地からおよそ500人のボランティアの人たちが写真の洗浄やきれいになった写真をデータ化する作業を行ってきました。しかし残念ながらバクテリアなどの影響で浸食が進み写真の表面が溶けてしまい画像が読み取れず、持ち主に返せない写真もありました。そこで傷つき帰るところを失った写真を見てもらうことで、地震による被害の大きさや津波に遭いながらも生き残った人、または亡くなってしまった人たちの声なき聞こえを感じてもらおうと写真展を行いました。
会場の壁一面には、びっしりと写真が貼られていてほとんどの写真は色が変色して赤く焼けたようになっていたり、白く色が無くなっていたりと何が写っているかわからないものが多くあります。しかし、なかにはぼんやりと人が写っている様子が見えるものもあり、小学校の入学式の日に撮られたと思われるランドセルを背負った男の子や、縁側で母と子が寄り添っている日常の光景など写真を写した人や写っている人たちの大切な時間を見ることができます。
また、去年の11月に撮影された被災地の映像や住民のインタビューが収録されたビデオも上映されています。
ギャラリーでは、この展覧会のポスターを1枚$15で販売していてその売り上げは山元町の仮設住宅で暮らす人たちの自治会費や被害を受けた小学校に寄付されることになっています。またインターネットからもポスターの購入ができるようになっています。http://lostandfound311.jp/ja/
文・写真: Masatoshi Sato
LOST & FOUND
Centre for Contemporary Photography
404 George St, Fitzroy
VIC 3065
OPENING HOURS
Wed–Fri 11am–6pm, Sat–Sun 12–5pm
(7月15日まで開催)