折り紙作家 萩原 元さん インタビュー - GO 豪 メルボルン 
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キャリア・学ぶ

折り紙作家 萩原 元さん インタビュー

まるで生きているみたい! でも実は折り紙なんです。



【プロフィール】
萩原 元 Gen Hagiwara
1990年生まれ、東京都出身。高校よりメルボルンへ留学。
現在は大学のFoundationコースに通いながら、折り紙作家として活躍中。

インタビュアー:長谷川 潤、倉地 亜矢美

 

--メルボルンに来たきっかけは何ですか?

 初めてオーストラリアに来たのは小学校の頃で、親の仕事に付き合って1週間だけ遊びに来ました。その時の印象がすごく良くて、オーストラリアが好きになりました。中学校の頃、短期留学で2~3週間勉強したメルボルンの学校がとても良くて・・・それまで日本の教育方針が自分にはあまり合わないなと感じていました。それ以来、高校からはこちらの学校に通いたいと思うようになりました。現在は高校も卒業し、大学のFoundationコースに通っています。来年の3月から大学2年生に編入しIndustrial Design を勉強する予定でいます。将来的にはデザインに携わりながら、折り紙を何らかの形でデザインに組み込んでいければと思い描いています。

 

--メルボルンの生活はどうですか?

 初めはやはり戸惑いもありましたが、環境に慣れるのが割りと早いほうなので、そこまで困っていることはありません。今ではもうすっかり慣れて第二の故郷のように感じています。メルボルンにはPapercrane という折り紙同好会があります。毎月第一土曜日にエルウッドで会合が開かれていて、僕も参加しています。そこで知り合った友人がすごく良い人達ばかりだったのも大きかったですね。本当に毎日楽しく暮らしています。

 

--折り紙との出会いについて教えてください。

 よく聞かれるのですが、あまり覚えていないというのが正直なところです。多分3歳か4歳の頃には折り始めていたと思います。ハマリ始めたのは小学校2年生くらいです。当時僕は学童クラブに所属していたのですが、そこに入ってきた1歳後輩の子がとても折り紙が上手だったのです。僕も趣味が折り紙だったのでその子と仲良くなったのですが、その子のほうが折るのが上手だったのが悔しくて・・・(笑)。それで練習していたら、どんどん好きになっていきました。

 

--練習は本などを見ながら折るのですか?

 その頃は本を見ながらひたすら折るという感じです。子供用の折り紙の本を参考にしながら、紹介されている折方をひたすら折っていました。小学校4年生の頃、吉澤章(よしざわ あきら)さんという世界的に有名な折り紙作家の展覧会に行った時に、それまで見た事ないような折り紙作品ばかりでとても衝撃を受けました。それからは吉澤さんの本を買ってひたすら練習しました。それまで僕が折っていたのは、鶴やシャツ、コイなどのいわゆる「普通」の折り紙ばかりだったのですが、吉澤さんはすごく生き生きとした動物の姿を折り紙で表現されていて・・・。例えば、ゴリラにしても表情が1匹1匹違って、ポーズも1匹1匹異なります。僕もこういう作品が折りたいと強く思うようになりました。

 

--萩原さんの折り紙人生において、吉澤さんの作品との出会いは大きかったのですね。

 そうですね。もう一つ運命的だったのは、神谷哲史(かみや さとし)さんの作品との出会いです。彼の折る作品も今まで見たこともないようなものばかりで、彼のリアルさを追求した折り方にとても刺激を受けました。

 

--どういったテーマを折るのでしょうか?得意なテーマなどはありますか?

 僕は基本的に動物専門です。


(写真) 左:黒鳥、中央:エリマキトカゲ、右:ラクーン&猫   All rights reserved

 

--動物を折るときは写真を見ながら折るのですか?

 

 折りたいと思う動物があるときは、折る前にインターネットなどで写真を探したり、動物園でスケッチをするなどして、その動物の特徴をしっかり頭に入れます。そうしないと全体のバランスがおかしいチグハグしたものが出来てしまいます。

 

--例えばカンガルーは折るのに何分くらいかかるのですか?

 カンガルーはもう何度も折っているので、大分手が覚えていて、30分くらいあれば出来ますね。


(写真)子持ちカンガルー      All rights reserved

--それでも30分はかかるのですね! 

 創作が終わって、初めて折り直した時は1時間くらいかかりました。それから何度も折っているうちに、どこをどう折ったら早く綺麗に折れるかということが分かってくるので、手が慣れてきます。雑に折ればもっと早くできますが、基本的に時間は全く気にならないので完成度を優先します。朝から折り始めて気づいたら夜だった・・・みたいなことも、よくありますよ(笑)。

 

--今までの作品の中で一番苦労したものは?

 全部苦労したのですが、最も大変だったのはゴリラですね。先ほども話した吉澤さんのゴリラが、僕にはとても衝撃的で印象深かったので、それとは違ったアプローチをしようと作品が似ないよう一生懸命こだわって折りました。一つの角度からではなく、可能な限りどの角度から見てもゴリラに見えるよう工夫しました。


(写真)ゴリラ     All rights reserved
 

--やはり頭の中で計算しながら折っているのですか?

 そうですね。感覚的にここをこう折ったらこうなるだろう・・・というのは頭で組み立てながら折ります。ですがあくまで感覚的になので計算をしている自覚はあまりないですね(笑)。

 

--新しい作品を折って完成した後は、その折り方を書き留めておくのですか?

 僕は書き留めないですね。作家さんの中には書き留める方もいるのですが、僕の場合はひたすら何度も折って完成するので、完成後もある程度は手が折り方を覚えています。完成した後は、そこに至るまでの道筋をもう一度辿ったり、折り上がったものをもう一度開いてどういう構造になっているのかチェックしますね。人に折り方を見せるため、例えば本に載せるために折り図は描いていますが、これは折り方を忘れないためとは違いますね。

 

--現在は平均どれくらいの時間を折り紙に当てているのですか?

 1日1時間くらいは折るようにしています。忙しくてしばらく折ってないと禁断症状のように「折りたい~!」という気持ちが出てきてしまいます(笑)。学校でプリントを配られた時に、気づいたらプリントの端を折っていたということも、しょっちゅうあります。

 

 

--どんな紙でも折れるのですね!

 基本は正方形の紙を好んで折っています。正方形であれば新聞紙でも何でも大丈夫ですよ。作家さんによっては長方形を好んで使う方もいますし、紙も1枚ではなく何枚も使って1つの作品を折る方もいらっしゃいます。

 

--濡れ折り紙というものがあると聞いたのですが、それはどういったものなのですか?

 “Wet Folding”と呼ばれているものですね。画用紙などの厚い紙を折るときに、タオルなどでまず紙を軽く湿らせて柔らかい状態にしてから折る方法のことを言います。折り上がって完成した後に乾かすのですが、紙は乾くとその形を保とうとするので、曲線などもそのまま固まってくれ、とても綺麗に仕上がります。ダンボールなども、サイズが大きければ濡らして折ることが論理上は可能です。やったことはないので本当にできるかは分かりませんが。紙の素材に関しては、作品によって使い分けています。例えば、動物を折るときは毛羽立つ素材の紙やザラついた紙を使いますし、逆に魚を折るときにそういった紙を使っても魚の質感が出ないので、表面がツルツルした紙を使っていますね。

 

--折り紙は日本発祥なのですか?

 起源を辿ると中国に行き着くという説もありますが、文化として広く発展したのは日本です。ただ、例えばヨーロッパのスペインにはバハリータという伝承折り紙があって(日本の折鶴のようなもので小鳥の形を表現している)、ヨーロッパ独自の折り紙文化が発展しています。でもやはり一番メジャーに発展し文化として進展したのは日本ですね。今は、折り紙は世界でも「ORIGAMI」として認知されていて世界共通語になっています。

 

--世界的に見て、折り紙人口は現在どれくらいなのでしょうか?

 どれくらいの人が折っているのかという正確な数字は分からないのですが、世界中で折り紙は親しまれています。折り紙のコンベンションが世界各地で開かれていて、日本だと東京・関西(今のところ開催地は兵庫県)・名古屋で開催されています。韓国、アメリカ、カナダ、フランス、スペイン、ドイツとかイスラエルなどでも毎年行われていますよ。それぞれの国が世界各国から有名な折り紙作家を招待して自国の折り紙文化の活性を図りながら、それぞれに刺激を受けあっています。残念ながら、僕はまだオーストラリアのコンベンションにしか参加したことないのですが・・・。

 

--こちらの人が萩原さんの折り紙を見るとどういった反応をしますか?

 やはり最初は「WAOO!」と言います(笑)。作品自体よりも、それを折っている途中工程に興味があるみたいですね。この前、友達と待ち合わせをしている時に手持ち無沙汰だったので折り紙をしながら待っていたんです。そうしたら、傍に座っていたおじいさんに「何だそれは?」と聞かれたので「折り紙です」と説明して作品をあげると、彼がまた隣に座っていた人に「見て、これ!」と説明して、どんどん話が伝わっていって・・・気付いたら自分の周りに10人くらいの人だかりが出来ていました(笑)。電車の中でも、折っていると声をかけられることがありますよ。

 

--大きな作品になるとどれくらいになりますか?

 今までで一番大きな作品は、高校の時のアートプロジェクトで折った高さ2メートルのカンガルーです。5m×5mの正方形の紙を使用しました。僕が高校を卒業した今でも、学校に飾って頂いています。

 ワンプライスアイウェアショップ CALさんにも萩原さんの作品が置いてあるとお伺いしました。

 今はキリンやゾウなどを置かせて頂いています。今後は作品を少しずつ変えていく予定です。ひとりでも多くの人が自分の作品を見て、折り紙が広まっていくのはとても嬉しいことです。近々フィッツロイの雑貨屋さんZakkayaで、僕の作品を販売していただけることにもなりました。最近は日本でも鶴を折れない人が増えているらしく悲しいなと思っていたので、折り紙を広げていく活動にもどんどん参加していきたいと考えています。

 


(写真)象&キリン     All rights reserved

 

--折り紙の魅力を教えてください。

 やはり自分の手で何かを創るということが楽しいです。昔から物創りが好きでした。一枚の紙のままだと平面ですが、一回折る度に形が変わる・・・それが僕にはすごく魅力的で楽しいです。

 

--萩原さんにとって折り紙とは何ですか?

 生活の一部です。死ぬまで折り続けたいですね。

All origami photo from "http://www.flickr.com/photos/gen_hagiwara/"

実際に折り紙を折ってもらいました。何を折っているか当ててみてください!!

萩原さんの作品が購入できるお店はココです!
Zakkaya
URL:http://www.zakkaya.com.au/

住所:52 Johnston Street, Firzroy Melbourne 3065, Australia
電話/FAX:(03)9419 1882
営業時間:火ー金 PM12:00-PM5:30
     土 AM11:00-PM5:00

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