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サーカス・パフォーマー Timothy Endicott氏 & Tully Fedorowjtsch氏 インタビュー

サーカスの季節!命綱なしの夢をかく語りき。

2009年4月6日掲載



【プロフィール】
ティム Timothy Endicott (写真:左)
2007年、個人の教室を開催。1週間に3日はオフィスでプロモーションの電話をしたり、教室の切り盛りをし、残り3日は学校などでサーカス・スキルを教えている。1ターム1学校や、イントロダクション・プログラムで1日のみ、アクロ・バランスやコミュニティーセンターでホリデー・プログラムなども教えている。専攻種目は、スピニング・ボールとチャイニーズ・ポール。

タリー Tully Fedorowjtsch (写真:右)
ウドンガの近くのオーベリー(Albury)に唯一あるThe Flying Fruit Circusというサーカス学校に13歳の時に入学し、19歳で卒業。その後オーディションでNICAに入学。専攻種目はスピニング・ボールとハッピー・シェフ(へらを口にくわえ、ワインボトルを乗せたり、回したり、ナイフやジャガイモを使った業など。)

◇パフォーミングの様子はこちら




二人ともシドニーにあるNICA (National Institute of Circus Arts)出身。NICAに入学するためにはアクロバット、開脚(方向)、筋力や体力検査のための綱のぼりや、逆立ちなどの試験、演劇とダンスの試験と得意種目の試験もある。最終的には得意種目2種申請し、技を極める。同系列学校のNIDA(National Institute of Dramatic Art)はメル・ギブソンやケイト・ブランシェット等が卒業生として名を連ねる。
 

インタビュアー:長谷川 潤

 

--最初にサーカスに目覚めたきっかけは何ですか?

タリー(以下Tully)
小学校の頃の僕は運動神経があまり発達していない生徒で、ちょっとぽっちゃり体系の生徒よりも動作が遅い生徒だったから、バスケットボールの試合などがある時は、いつも最後まで選んでもらえなかったりと、他の生徒からもからかわれていました。フライング・フルーツ・フライ(劇団)に入ったときも全く上手くなかったけど練習を重ねて、上達しました。

ティム(以下Tim)
子供の頃から運動神経がよく、よく家の屋根から木に飛び移ったり、木からガレージや次の木に飛び移ったり、トランポリンやパーコー(Parkour、ジャッキー・チェンがやるようなビルからビルに飛び移ったり、壁を走る等のスキル。)など大好きでした。もちろん昔はそんな名前は知りませんでしたが。また、サーカスに入る前から忍者のように棒を回すなども得意でした。高校に入るまでは、それがサーカスの技だとも気付かなくて、友達が驚いているのを見てわかりました。

 

--一般の人もサーカスを習えますか?

Tully
はい、NICAでは大人コースも設けているので、誰でも挑戦できます。色々なコースがあって、55歳の人も挑戦しています。ミニトランポリンや、皿回しなど、様々なコースがトライできますよ。

 

--パーティーなどでサーカスの技を教えてくれる出張教室などもありますか?

Tim
はい。ちょうど子供たちに教えているときのように、箱に全ての用具を詰め込んでパーティーでの出張教室を始めたところです。時間に合わせてレッスンも出来ますし、僕達がショーをしてからミニレッスンなども出来ます。

 

--日本では傘回しなど、伝統芸能もあるんですよ。

Tully
中国ではサーカスが(習い事として)とても人気があるけれど、日本ではそうでもないですね。でも日本は体操が盛んですね。

日本の東京ディズニーランドの隣でシルク・ド・ソレイユが上演されていますが。

Tully
僕達の友達も出演していますよ。ルーク・カーとアダム・デイビーズと言います。

Tim
NICAにもシルク・ド・ソレイユのオーディションが来ますよ。僕たちもオーディションを受けたことがあります。とても厳しくて、選考の各段階で、落とされたりしますし、初回で受かることはまれです。

 

--オーディション後はどんな手順で出演するのでしょうか?

Tim
先ず、色々な選考種目をクリアし、受かった段階では待機の状態です。シルク・ド・ソレイユのスタッフがそれぞれの人の得意技能をデーターで管理し、欠員が出たり、新しい上演種目が出来たりしたときにはそれに最適の演者を選んで、「君がどの演目に適しているかも、技能も知っているから、これに出てくれないか?」と言った風に呼び出しをかけます。

Tully
例えば、シドニーやメルボルンなどで大掛かりなオーディションがあるとします。約200人が応募するでしょう。様々な技能テストを経て、もし、団員になれそうな人がいれば、50人程が残されて、他の人々は帰されます。この50人の中で全3~4日のオーディションの間に、さらに技能テストで、また30人ぐらいに絞られます。最終的には5人ほどに絞られ、携帯電話番号やその他の情報をシルク・ド・ソレイユに登録し、後は1年から2年間の間に自分の技能に適した演目の連絡が来るのを待ちます。


--連絡を待っている間は、こうして出張教室などをされているんですね。

Tim
そうですね。連絡が来るまでは、今のビジネスを続けます。そして、連絡があれば世界のどこにだって、出かけて出演します。

Tully
例えば、「君はフランスの公演に向いているね。」とか「君はとても強靭だから、ラスベガス行き。」とかね。

Tim
ラスベガスには、『カー(KA)』という演目があるからそちらに送られたりね。

 

 


 

--シルク・ド・ソレイユは人々が言う様に素晴らしいサーカスの団体でしょうか? また、他の団体と比べていかがですか?

Tim
シルク・ド・ソレイユは本当に大きな団体で、他とは比べ物になりません。

Tully
そうですね、技術的に見て1番ではないでしょうが、素晴らしい団体です。技術で1番なのは中国です。

Tim
ロシアもかな?

Tully
やっぱり、中国かな? 演目が美しくそして素晴らしくて。規模が大きいのはシルク・ド・ソレイユです。そして、技術の高さは断然中国ですね。Googleなどで中国のサーカスを探してみてください。沢山ありますよ。

 

--もし中国のサーカス団体からオファーがあれば出演されますか?

Tim
うーん。

Tully
中国では毎日休みなしで、杖を持った指導員から1日に12~16時間トレーニングをし、開脚などからみっちりしごかれるそうです。もし、失敗などすると大変なことになります。6歳児が腕立て伏せ、片手腕立て伏せなどの練習をしたり。オーストラリアに中国のサーカスの団体が来た時は、団員の8歳の女の子が砂の重りをつけて片手で腕立て伏せを50回以上もするトレーニングを見たこともあります。その後も、さらにハードスケジュールのトレーニングが続けられていました。それを考えるとね…。

 

--ではロシアのサーカスはいかがですか?

Tim & Tully
ロシアも厳しさでは引けを取らないでしょう。

 

--それでは、やはりシルク・ド・ソレイユが働く環境としては良いですか?

Tim
はい。収入も良いですし、アコモデーションもきちんとしています。

Tully
もちろん、中国とロシアのサーカスは素晴らしいですけどね。

 

--最後に、将来の計画は?

Tully
コメディー・サーカス・ショーを僕の手で上演したいですね。オーストラリアで他の素晴らしい出演者たちと共に、コメディーを前面に押し出し、背景ではサーカスの技術を見せるような演目を見せたいです。ツアーもいいですね。イタリアやイギリスなんかで上演したりしたいです。もしどこでも好きなサーカスに出演できるなら、大好きな仏領カナダにあるCirque Eloizeで出演したいです。技術の高さも素晴らしいですが、パフォーマンスが素晴らしいです。

Tim
僕はビジネスを成功させたいですね。シルク・ド・ソレイユの試験は受かっているので、声がかかるまでは、ここでビジネスの基礎を固めておきたいです。メルボルンが大好きですし、特に彼女がメルボルンで大学生なので、置いていきたくないですね。もちろんシルクで公演中は、彼女のホリデーには呼び寄せることも出来ますし。

 

CIRQUE DU SOLEIL
URL: http://www.cirquedusoleil.com

NICA(National Institute of Circus Arts)
URL: http://www.nica.com.au/

Cirque Eloize
URL: http://www.cirque-eloize.com


[DRALION Melbourne公演]
URL: http://www.cirquedusoleil.com/world/en/au/intro/intro.asp
期日:2009年4月9日~6月14日
住所:Under the blue and yellow Grand Chapiteau,
453-507 Docklands Drive, Docklands, VIC 3008
TEL: 1300 130 300

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