interview
観光・楽しむ

音吉プレミアム 高橋 正彦さん インタビュー

単身メルボルンへ乗り込んだガッツの源とは?

2009年6月17日掲載
 

 



【プロフィール】
高橋 正彦 Masahiko Takahashi
1977年、静岡県浜松市生まれ。静岡大学教育学部附属浜松中学校卒業後、単身オーストラリアに渡りBrighton Grammar Schoolに入学。同校にはサッカー部が無く、3年がかりで学校側に打診をし、サッカー部を創立。初代キャプテンを務める。同校卒業後、日本に戻りフリーターをしながらサッカー選手を目指していたが、なぜか1998年中古CDショップ「音吉プレミアム」を立ち上げ現在に至る。英検3級。

音吉プレミアム
廃盤・貴重盤などのレアものはお任せの中古CDショップ。1998年に1号店がオープン。2008年現在は東京都に2店舗、静岡県にも2店舗を構える。廃盤アイドルでは日本で1、2を争う充実度を誇る。アニメでは他店ではあまり扱っていない8cmCDシングルやEP盤のレア盤を多数取り揃えている。ホームページから80,000点を超える商品が通信販売可能。

 

インタビュアー:長谷川 潤

 

--どういった経緯でCDショップを開店されたのですか?

 高校を卒業後、日本には1996年の12月に戻ってきて、サッカー選手を目指しながらフリーターをしていましたが挫折してしまいました。そんな時に地元で中古CDショップをしている親戚から東京に店を出したいのだけど、誰も東京に行きたい人がいないのでやってみないかと言われ、1998年に東京の中野区で音吉プレミアム1号店をオープンしました。1999年には、英語をせっかく覚えたのだからと英語のホームページを作りました。

 

  

 

--外国人の反応はいかがですか?

 「日本アニメは世界中で有名と聞いているから注文があるかな?」という期待がありました。そうしたら、思いのほかアイドル、J-POP、演歌など予想していなかった注文が入り、「この人たちはなんでこのアーティストが好きになったんだろう?」と疑問に思い買ってくれたお客様に聞いてみました。すると十人十色で色々な経緯で好きになっていて、面白いと思いました。それと同時に、生まれた国や肌の色、話す言葉が違う彼らが、僕が生まれたこの国の音楽を好んで聴いている事が嬉しくて親近感をおぼえ、温かい気持ちになりました。今では、海外のお客さんが観光で日本に来た時などは、一緒に観光をしたり、食事に行ったりして、店と客という関係を超えた友人が世界中にいます。

 

--本も出版されたそうですね?

 はい、2007年9月に『イタリア人は日本のアイドルが好きっ』という本を出版しました。この本は1036人のお客さんに、「なぜあなたは○○○(アーティスト名)が好きになったのですか?」 と質問して返ってきた答えのうち、27カ国、80人からの特に個性的な人物・エピソードを紹介しています。また、章と章の間のコラムでは、僕のオーストラリア生活や、外国人との交流について語っています。本に載っていないエピソードもブログで紹介しています。

 

 

--オススメの商品はありますか?

 今人気のバンド、“いきものがかり”のインディーズ2ndアルバム『七色こんにゃく』です。僕の店で今一番高値が付いている商品です(税込み63,000円)。高値の理由としては、インディーズ時代の廃盤アルバムで、収録されている曲の全てがこれまでに再リリースされておらず、音源自体がレアだという事と、いきものがかりの人気が今すごいという2点です。

 

いきものがかり『七色こんにゃく』のCDと一緒にパチリ! 

--メルボルンとはどういった関係がありますか?

 僕は日本が嫌いで、1993年に日本から逃げるようにメルボルンに留学しました。中学2年まで英語の成績はクラスでビリだったので、中学3年になって留学を決意してからなんとか英検3級を取るくらいまでは勉強して渡豪しました。ランゲージセンターで英語を3ヶ月から半年学んでから高校に入った方が良いと薦められましたが、どうせ高校に行くなら最初から行くと言って、渡豪5日目にはブライトン・グラマー・スクールに通い始めました。

 

--メルボルンでの高校生活はいかがでしたか?

 英語は全く話せないので授業はちんぷんかんぷんで、その高校が男子校だという事も2日目になってわかるくらい、全く何もわからない僕に運命は残酷で、入学1週間後には7日間のキャンプに行く事になりました。キャンプと言っても、日本の林間学校のような生ぬるいものではなく、深夜に磁石だけを頼りに山奥を歩いたり、ヒルが群がる沼を歩いて渡ったりと過酷なものでした。おまけに英語はほとんどわかりません。とにかく友達を作った方が良いというのは頭にありました。

 

--どのようにきっかけを作ったのですか?

 キャンプの休憩時間に空手の道義を着て黒帯を締めて歩いてみました。すると皆集まってきました。そこで僕は空手の演舞を見せました。皆は僕の周りに駆け寄って握手をしてきました。そこで僕は「レッツ・プレイ・サッカー(let's play soccer)」と言ってサッカーボールをバッグから出しました。サッカーも得意だったので、皆僕に一目置いてくれるようになりました。そこからは、悪い言葉から順番に覚え、最終的にはそれなりの英語力を身につける事ができるようになりました。

 

 

 

--高校生の時に留学したことでプラスになりましたか?

 かつてメルボルンに留学していたことで、現在英語を使いながら国際人として世界中の人と交流ができているのだと思います。現在メルボルンに留学している人達や、住んでいる人達に「ああこういう生き方もあるんだ」とか「俺も何かできるかも」という風に思ってもらえれば嬉しいです。

 

--今の日本の子供たちに伝えたいことはありますか?

机に向かう勉強も大切ですが、良い仲間と出会ってたくさん遊んで下さい。そして恋愛相談でも何でも良いので、お互いに思っている事を熱く語り合って下さい。僕がこれまでに色々な国の人と出会ってきて感じたのは、日本人はコミュニケーション能力が極端に低いという事です。意見がぶつかり合うとすぐにケンカになると思ってしまいがちですが、自分の意見をきちんと言いながらも相手と仲良くする方法もあります。答えは1つじゃなくてもいいのです。これからを担う日本の子供達には、どうにかしてコミュニケーション能力を高めてもらいたいですね。世界と対等に勝負できるレベルになってもらう為に、僕も良い方法を考えて実行したいと思っています。

 

--高橋さんの今後の夢は何ですか?

 今の僕は幸運にも、日本と世界をより近くにする橋渡しができる立場にいます。2009年5月にはNHK WORLDにもOTAKU SPECIALIST、サブカルチャーを通して世界中の人達と交流をしている中古CDショップ店長ということで紹介されました。今後は店を続けていきながら、サブカルチャーにこだわらずに、日本を世界に、外国を日本に紹介するような活動がしたいです。

 

--それはズバリどういった?

 今はまだ夢のレベルではありますが、将来的には、日本のメインカルチャー、歴史や伝統工芸なども世界にもっと紹介して、日本のアイデンティティを守る活動がしたいと思っています。特に伝統工芸などは今なんとかしないと職人がいなくなってしまいます。

 

--外国人にとって日本の歴史や文化をどのようにとらえていると思いますか?

 多くの外国人と交流をしていて、彼らが日本の何に魅力を感じているのかと言えば、歴史、伝統、そしてそれを表現する高い技術に、歴史伝統を背景にした文化に魅力を感じています。サブカルチャーにしても、歴史や伝統の影響を受けているので、そこが日本独特のモノに映って魅力的に見えているのです。戦後日本は急成長し世界の中心にいる国のひとつになりました。トイレの便座も冷たくないし、お尻も勝手に洗ってくれます。しかし、歴史や伝統を全く感じられなくなったら、外国人は日本に来る意味がなくなります。

 

  

 

--日本は独自の歴史や文化を強みにしていくということですか?

 そうですね、日本の歴史、伝統、文化を売り物にすれば、日本は観光立国として成り立つ可能性もあると思っています。そして何より、僕らの子供達や孫達の世代になった時に「日本てどんな国?何がすごいの?」と聞かれた時に、胸を張って答えられるように今守らなきゃならないモノがあると思います。その為に僕に何ができるかを考えて行動していきたいです。

 

--こだわりのアイテムや座右の銘はありますか?

 こだわりのアイテムは全くないのですが、『努力するものは希望を語り、怠け者は不満を言う』という言葉が好きですね。

 

--「GO! 豪!! メルボルン」の読者へのメッセージをお願いします。

 実現できるかはわかりませんが、僕もまたいつかメルボルンに住みたいなと思っています。メルボルンは素晴らしい都市だと思うので、メルボルンでそれぞれの人生を楽しんで下さい。

 

音吉プレミアム
URL: http://www.otokichi.com/

イタリア人は日本のアイドルが好きっ ブログ
URL: http://worldidol.blog120.fc2.com/

著書『イタリア人は日本のアイドルが好きっ』 amazonでの購入はこちら
URL: http://www.amazon.co.jp/dp/489637262X/

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