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アーティスト コブラ(COBRA)さん インタビュー

日本人アーティスト、コブラさんの魅力を探る。

東京で活動中のアーティスト、コブラ(COBRA)さん。東京ワンダーサイト※1を通し、2010年2月に来豪。メルボルンのガートルード・コンテンポラリー・アート・スペース(Gertrude contemporary art space)に交換レジデンシー・プログラム※2で滞在。 オープン・スタジオやヘル・ギャラリーで個展をするなど 三ヶ月間のメルボルンの滞在を有意義に過ごしたコブラさんにお話を聞いた。

※1 東京ワンダーサイト:東京都が運営している若手の美術支援プロジェクト
※2 交換レジデンシープログラム:国外からアーティストを一定期間招へい、国内からはアーティストを海外へ派遣して、滞在中の活動を支援する。

 

[プロフィール]
コブラ (COBRA)
アーティスト。映像作品を中心に制作活動をしている。多摩美術大学、工芸、金属科出身。東京のアーティスト・ラン・スペース※3
を拠点に精力的に活動。アート・グループ、ミホカンノ(MIHOKANNO) 所属。代表作品「キス (The Kiss)」など。

※3 Artist run space:アーティスト達が運営しているギャラリーなどのこと

インタビュアー:中村紀子

 

--何故コブラなんですか?

実名で演劇や映画とかに出ていたので、アーティスト・ネームを付けることになりました。何人かで話し合っていて、どうせなら凄い名前にしようということになり、その時に一番流行っていた言葉が「コブラ」でした。それは5年位前ですね。「コブラすげえ」のように使っていました。コブラでいる時は帽子とサングラスをかけます。

 


猫を使った作品
 


--日本での活動を教えて下さい。

友達がグループでアーティスト・ラン・スペース、ミホカンノ(MIHOKANNO)を始めました。そこでの個展のために映像作品を作ることになり、その時からコブラと名乗るようになりました。ミホカンノには今でも所属し、活動しています。自分の初めての個展に批評家を招待したら好評で、マジカル・アートルームというギャラリーで展示することになりました。その後、東京都が運営している若手の美術支援プロジェクト、東京ワンダーサイトのギャラリーで個展をやることになりました。ワンダーサイトを通し、今回メルボルンに来ました。


--何故メルボルンを選んだのですか?

東京ワンダーサイトの海外アートレジデンシーでは年間に10人位色々な国に行っています。メルボルンもそうだし、台湾、バルセロナ、ストックホルム、パリ、ロンドン、韓国など。

僕が交換レジデンシーの面接を受けたときに募集していたのが、メルボルン、バルセロナ、台湾でした。ちょうどワンダーサイトで展示した後すぐその試験があり、ワンダーサイトの人から色々な情報を頂きました。一応全部応募し、台湾とメルボルンが受かりました。メルボルンは若い作家とかがわいわいしていて賑やかだと聞いていましたので、彼らと交流したいなと思い、メルボルンに決めました。今回の滞在は全部東京都の方から支援していただいています。

 


ガートルード・コンテンポラリー・アート・スペースのアトリエ


--メルボルンの印象は?

日本はギャラリーのオープニングに行ってもそんなにフレンドリーではない。知り合いには挨拶してすぐ帰る感じですね。なのでオープニング・パーティーとかは本当は好きじゃないです。 日本はコマーシャル・ギャラリーが多く、アーティスト・ランはあまりないですね。バーとかで展示をしている所はよくあります。 
メルボルンのアート・シーンは人との繋がりが凄い。メルボルンのオープニングでは、すぐ知り合いに会う。こっちの人はホーム・パーティーとかで社交することになれています。それは本当にすばらしいことだと思う。東京と比べてもギャラリーの数はメルボルンの方が多いですし。アーティスト同士ががどんどん繋がりを持っていける。そういうのは本当にやっていかないといけないことだと思う。

 



--日本とメルボルンのアート作品の違いは。

日本とメルボルンでは流行が違うと思う。メルボルンはコンセプチュアル、日本は技術面、ビジュアル面重視。
日本はモノの強さを出して来る人が多い。メルボルンの作品は物体として少し物足りないかな。
写真で見るといい作品も、生で見るとモノとしての抵抗感がある。でも逆にコンセプト面ではメルボルンの方が練り込んでいる。

 

--映像作品は自分が出演していることが多いですね。

コブラって存在がかなり大事です。もともとはストーリー性の強い映像作品を作っていました。イメージばっかり並べている感じで、おとぎ話や神話のような映像を作っていました。だいぶイメージに傾いていたので、もっとコブラを前に出して行こうと。そういう風に作り始めたのが去年ですね。
コブラは物語を語って行く人。コブラ自体は偶像の人物だけどリアリティーを出していきたい。コブラを知ってもらいたいというのが大前提です。

 


ガートルード・コンテンポラリー・アート・スペースのアトリエ

 

--猫を使った作品が多いですが、何故猫が好きなんですか?

基本的には猫を好きな人が好き。もともとコブラをやっていて物語を綴るのも、人をコブラに惹き付けたいから。コブラを魅力の固まりにしたいの。魅力っていうのは引力みたいなもので、猫も似ていると思う。猫も魅力が詰まっている。 僕の頭の中だとペットは犬と猫なんですけど。ちょっと犬は人に懐いてくるところが、友達っぽい感じがする。それに比べて、猫は不思議なところがある。猫を好きな人は自分の印象だと、猫のことを凄く好き。まるで取り憑かれている感じ。
例えばハーレーダビットソンを好きなおじいちゃんで凄い人いるでしょ?あれもやっぱり取り憑かれている感じ。
そういう凄い引きつけるものが好き。あとは見方が変わるかもしれないけど、筋肉、ボディービルダーとかもそうですね。いったら人体の過剰演出じゃん。


--メルボルンでの生活はどうでしたか?

英語は本当に出来ないし、初めての海外の生活なので大変だった。チケットをどこで買えばいいか分からないからトラムにも乗れなかった。歩きすぎて足パンパンでしたよ。

 


「キス (The Kiss)」撮影風景

--メルボルンでの滞在を終えて、これからの意気込みを。

 海外のレジデンシーとかもっと行きたいと思う。なんといってもコブラは友達たくさん作りたい。「ああコブラ知ってるよ」みたいな感じにしたいです。でも社交的じゃないからいちいち疲れる(笑)。 これから本腰です。意識改革。メルボルンに来てメルボルンの勢いを感じれてよかったです。



[インタビューを終えて]
コブラさんはとても面白い人でした。彼の作品「キス (The Kiss)」を見せてもらいましたが、見終わった後にか心が温かくなりました。これからも東京で頑張って活動してほしいです。

 

コブラ ホームページ: http://www.cobra22.jp/

ミホカンノ ホームページ:http://www.geocities.jp/mihokanno1980/0001.html

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