インタビューinterview

グルメgourmet

セレブリティ・シェフ Tobie Puttock氏 インタビュー(後編)

もしかすると日本食のシェフになっていた!?

2011年4月13日掲載

“The Kitchen Cat”のオーナー兼ヘッドシェフである、Tobie Puttockインタビュー後編では、Tobieさん自身についてもう少し迫ってみたい。(インタビュー前編はこちら


 

-Tobieさんは スノーボーディングが好きで、そのために世界中をあちこち旅行されていると伺いましたが、そのとき料理も同時にされていたのですか?

もちろん。スイスやイタリア、どちらもスノーボーディングと料理を両方していたよ。料理はスノーボーディングのお金を作るために始めたんだ。その後実はスノーボーディングだけで、生活できるようになってた時期があった。イタリアでワールドカップのレースのコースデザインなんかをしていたよ。でもその時僕はあまりハッピーじゃなかった。今でも覚えてる。あれはイタリアの山の上で、青い空の広がるとっても快晴な日だったよ。ふと、自分が料理作りを恋しがっていることに気づいたんだ。変だよね。スノーボーディングでやっていくのが夢で料理から逃れたいと必死だったのに、いざ料理をしなくなったらスノーボーディング以上に料理を恋しがっているなんて。その日を境に料理の道に戻る決心をしたんだ。


-では、その当時からイタリア料理に進もうと決めていたのですか?

最初に働いたレストランが、イタリアレストランだったのがキッカケだよ。僕はイタリア人じゃないけどね(笑)もしかするとその最初のレストランがフレンチ、日本食であったかもしれない。でもイタリアンだったんだ。イタリア料理をしばらくした後、他の料理には手を出さず、これ一本に絞ろうと思った。その理由は一つのことをきちんと極めたいと思ったからなんだ。

 

-では、もしかすると日本食のシェフになっていた可能性もあったんですね。

そうだよ。僕は日本食が大好きだからね。日本食はおそらくイタリア料理の次に好きな料理だよ。


-そうなんですか!それは日本人としてとても光栄です。日本へはよく旅行されるそうですが、日本食についてはどう思われますか?

日本食は先にも言ったけど大好きで、もしイタリア料理を食べてなかったら、日本食を食べているぐらいだよ。実は僕の妻も日本食が好きで、二人で週に3日は日本食を食べているよ。以前日本に行ったとき、札幌の近くだったかな、ものすごく美味しいイタリアンレストランに行ったことがあるんだ。僕は今までに多くのミシュランレストランに行ったけど、どこのキッチンにも日本人がいた。そんな彼らが日本に帰国してレストランを出しているんだよね。日本人のシェフはすごいよ。

 

-日本食はTobieさんにとって、どんな影響を与えていると思いますか。

そうだな。実は初めて日本に行ったとき、そこで食べた日本食に感動し日本食を作っていこうかと思ったんだ。イタリア料理との類似点も幾つか感じたし、自分の中でイタリア料理と日本料理を混ぜたクレイジーなアイデアも湧いてきたんだ。でも、僕はフュージョン料理ってものがあまり好きじゃなくて、結局そのアイデアも断念したよ。


-そうなんですね。Tobieさんの作る日本食、一度見てみたかったです。では多忙なTobieさんですが、仕事以外の時間は何をしていますか?

いろんなことをたくさんしているよ。サイクリング、ロッククライミング、スノーボーディング、スケートボーディング、水泳なんかね。でもパソコンで何かすることも好きだよ。キッチンにいないときは、家で大人しく猫と遊んでることも多いな。もしキッチンと家にいないときは、近所のカフェでミーティングをしていると思う。


-新しいレストランをオープンしたばかりですが、今後の豊富や夢を聞かせてもらってもいいですか?

もちろん。僕の夢は人生をもっとシンプルにすることかな。今はシンプルに生きようと思えば思うほど複雑になってる(笑) 今後、たくさんのレストランを開くより、この“The Kitchen Cat”に集中して、質の高い人気のレストランにしていきたい。あとイタリアにも定期的に行き、本の出版も続けていきたいよ。学べることはしっかりこれからも学んでいきたい。


-既に数冊イタリア料理の本を出版されているTobieさんですが、次の出版はいつ頃ですか?

実は今年の終わりまでに出す予定なんだよ。でも時間が足りないな。本を出版するにあたっては、最低イタリアに6週間はいて気持ちを集中させたいんだけれど、今は忙しくてその時間をとることがなかなか難しいよ。

  

-最後にこれからシェフを目指す人に何かメッセージをもらえますか?

料理に関しては、深く考え過ぎず自分の気持ちがハッキリしたら、それに向かって突き進むことかな。きっとその夢に反対する人もいると思う。でもそんな人らの言うことには耳を傾けず、自分の夢を信じて前に進む。Follow your dream!





超が付くほど多忙なTobieさん。限られた時間の中インタビューにはしっかりと答えてくれた。実はこの日、英BBCから"Peschardt's People"という番組のプレゼンターのMichael Peschardtさんも彼の取材に来ていた。これは世界の有名シェフを紹介するという番組。さすがセレブリティシェフと言われるTobieさんだけある。
日本食では‘カニクリームコロッケ’が大好物というTobieさん。日本食を好いてくれていることは、日本人として嬉しい限りだ。
高級感が溢れ過ぎたレストランは、気軽に足を運びにくいときがある。でも、このレストランは程よい上品さとTobieさんが持ついい意味でのカジュアル感がある。是非、皆さんにも訪れて欲しいレストランの一つだと、取材陣が自信を持ってお勧めしたい。

 


 


The Kitchen Cat
www.thekitchencat.com.au/
住所:Basement 115-117 Collins St, Melbourne VIC 3000
電話:1300 799 415(ウェブでの予約も可)
営業時間:12pm-3pm / 6pm-10pm
日曜定休

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写真/文 兼重 貴子 

(Written and photographed by Takako Drew)

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