interview
ライフスタイル

ZENTO 森田敏博氏 インタビュー

ホンモノの粋な日本文化を世界に発信

森田敏博氏



  日本と中国の茶の歴史を紹介する「茶と禅の展示会(Tea & Zen)」が、メルボルンのNGVで開催されている。多くの展示品の中でも、ひときわ目を引くのが、インテリア・デザイナーの内田繁氏による個性的な茶室。この日本の茶室が、遠く離れたここオーストラリアで展示されるきっかけを作ったのが、ZENTOの代表、森田敏博氏だ。展示会のオープン時には来豪し、茶室が披露される様子を感激の面持ちで見守った。そんな、陰の立役者とも言うべき森田氏にお話を伺った。

--まずは森田さんの紹介と、現在取り組まれているビジネスの紹介をお願いします。

株式会社ZENTOの代表、森田です。12年間勤めた商社では、自動車の輸出業務や、IT系新規事業立ち上げを担当し、2005年末独立しました。現在は、“本物の日本”を世界に発信するため、伝統工芸、茶室、インテリアなどを国内外へ販売するビジネスに取り組んでいます。

バイリンガルサイト「TOKYO TOSHI」と、楽天の「waclass」というネットショップでの小売り、さらに国内外の百貨店、美術館、ホテル、レストラン向けの卸しといった大型案件をまとめています。そういったビジネスを通して、日本の素晴らしい文化やモノづくりを発信し、広く世界の人にもっと日本のことを知ってほしいと考えています。
 
--このビジネスを興そうと思われたきっかけや動機は?

大学の頃、欧米、特にアメリカの文化に傾倒していたので、日本の文化に対しては否定的でした。しかしその後、仕事やプライベートで外国人とコミュニケーションをしていくなかで、日本を英語でどうやって伝えたらいいのか、どうすれば外国人は楽しんでくれるかを常に考えていたら、日本の素晴らしさを発信することが楽しくなってきたのです。一旦否定したことで、かえって日本のいい面ばかりをクローズアップすることができたと思います。

外国では、和食、アニメ、マンガ、映画、雑貨など、メイドインジャパンは大変人気があると実感しますが、“ニセジャポ(ニセ和食)”のように、ビジネスになるからと言って日本っぽさのエッセンスだけを取り入れたものが多く見られます。それは本家日本人としてはものすごく悲しいことです。

そもそも日本人は欧米人よりもアピール下手だと思いますが、特にメーカー・職人さんなどモノづくりに従事している人は、素晴らしいモノを作っていても、営業力や語学力が足りないために、ビジネスにつなげることができていないケースが多く見られます。

そこで私は、上質な日本のモノを世界中に発信しながらビジネスを拡大すれば、“ニッポン・ブランディング”にもなり、地場産業の活性化、つまり日本の小さな産業の活性化に貢献できるのではないかと思いました。それがビジネスを興した動機です。 

--実際の手応えや魅力、難しい点はどんなことですか?

起業してバイリンガルサイトを立ち上げ、残念ながら初めの1年はまったく反応がありませんでした。
しかしその後、サウジアラビア王家の方から、世界で最初の百貨店パリのボン・マルシェ、アメリカの有名建築事務所などから注文が入るようになりました。そしてお陰様で、国内の大手インテリアデザイン事務所、建築事務所、ホテルなどからもご注文をいただいています。
 
独自の手法にチャレンジし、日本のモノづくりの素晴らしさを分かってくれる日本人、外国人から注文によって評価していただけるというのは、この上なく嬉しいことです。しかも、ネットによって今まで接点の無かった人達と、ボーダーレス、タイムレスで仕事ができるのは、とてもエキサイティングです。

唯一難しい点は、ネットという2次元の世界でモノを見せているので、商材のクォリティの高さが伝わりにくいということです。ですから、現地で展示販売してくれるビジネスパートナーを世界中に作っていこうと思っています。

--海外での反応や体験談をお聞かせください

ネットがあるからといって、日本ですべてをこなしている訳ではありません。リアルな情報を得るため、できるだけ現地マーケットを見てまわります。今までアメリカ、イタリア、フランス、イギリス、シンガポール、香港、中国、そして今回オーストラリアで営業しました。国によって違う切り口や手法を考えるためにも、現地の生の情報が必要です。

反応はものすごくいいと思います。ほとんどの人がカタログを見ると、クォリティの高さに驚かれます。現地で売られているモノは、メイドインチャイナなどニセモノが多いですから。とはいえ、すぐに商談になる訳ではありません。根気よく地道な作業を続けていくというのは何でも共通ですね。

--今回のNGVへの茶室販売へのきっかけは?

弊社のバイリンガルサイト「TOKYO TOSHI」では、インテリアデザイナー内田繁氏のデザインされた茶室を5タイプ販売しています。それをご覧になったNGVのキュレーターさんから、昨年末に電話があり、実際に実物を見に日本に来られて、ご注文いただきました。嬉しいことに、“永久保存”だそうです。
今回の「TEA & ZEN」の展示で、きちんと伝えながら展示していただいているのを見て、震えるほど感激しました。この仕事をやっていて本当に良かったと思いましたね。


茶と禅の展示会で展示された内田氏の茶室

UCHIDA Shigeru
Japanese 1943-
Mountain retreat tea house (Sankyo chashitsu)
2002 (designed), 2010 (made) Japan
polyurethane on stained Oak (Quercus sp.) (Nara) and Ash (Fraxinus sp.),bamboo, straw
231.0 x 284.6 x 284.6 cm
Purchased with funds donated by Pauline Gandel, 2010


 
--オーストラリアでの感触、印象を教えてください

オーストラリアは、実は今回が初です。今までは、サーフィン、コアラ、カンガルーという、ステレオタイプなイメージしかなかったので、いい意味で裏切られました。メルボルンだけしか見ていませんが、都会と自然のバランスはいいし、人も穏やかで、思ったよりも住みやすそうだなというのが印象です。ただ、英語の訛りと早すぎるスピードには閉口しますね。

--ご自身が大事にされていること、伝えたいことは?

“知っている”ではなく“体験する”ことが大事だと思います。前職の商社でも「現地現物」とよく言われましたが、情報を仕入れて知ったような気になっていてはビジネスチャンスを逃すと思います。

今回メルボルンに来てイメージと違っていたように、どんなに情報社会になったとはいえ、日本に対してイメージだけで判断している人が世界中に多いと思います。そういった人たちに、日本の古きよきモノづくりを発信することで、ほんの少しでも新たな良いイメージをもっていただければと思っています。ですから、“売る”というよりも“日本を伝える”という点に重きを置いています。

--オススメの商品や全体の特徴は?
  
おススメの商品は、私がこの世界に入ったきっかけとなった南部鉄器です。硬いイメージのある鉄の風合いは、意外と柔らかです。昔は砂鉄から鉄を作り、鉄器を作っていたものですから、極端にいえば、自然のものから生まれているわけです。日本の職人さんの並々ならぬ努力・パワー、そして歴史に裏打ちされた高い技術には、敬服してしまいます。

それから、今回展示していただいた茶室もおススメです。通常は、家の部屋や小屋のように建てるものですが、こちらは組み立て式です。ボーダレスの時代に合った作品だと思います。かなり目を引くので、世界中の美術館、建築家から問い合わせがあります。

南部鉄器 http://www.tokyotoshi.com/catalog/index.php?brandId=kamasada
茶室    http://www.tokyotoshi.com/catalog/index.php?brandId=uchida

--森田さんの夢は?

 “ビジネスありき” ではない “発信するためのビジネス” を展開し、実力ある日本人のための活躍の場を広げ、“本物の日本”に興味ある世界中のパートナーとネットワークを作りたいと思います。
100ヵ国が目標です。





株式会社ZENTO
〒153-0064 東京都目黒区下目黒4-11-18-904
Tel : 03-6666-3315

バイリンガルサイト『TOKYO TOSHI』http://www.tokyotoshi.com/

日本国内向け『waclass』http://www.rakuten.ne.jp/gold/waclass/

商品ブログ : http://www.tokyotoshi.com/blog/
社長ブログ : http://zen-to.jp/blog/

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