ワトゥルの風 Part2(6号)
更新日: 2013-08-30
冬休みを終えて
学校長 美谷添久男
メル校では、校舎玄関前にある椿が満開を迎える頃、2学期の始業式を迎えます。今年は8月12日から始まりました。始業式では、1学期の反省をもとに、新たな目標を堂々と話す児童生徒代表の言葉に誇らしさを感じました。また、今学期から中学生1名と小学生7名が転入し、60名の児童生徒が一緒に学ぶこととなりました。共に過ごすことで、メル校でしか味わうことのできないたくさんの思い出が、新しい転入生と共につくられていくことでしょう。
さて、冬休みの子どもたちの様子はどうだったでしょうか。教室に張り出してある絵日記や作文を見ると、 オーストラリアの大自然を満喫したり、日本へ一時帰国を果たしたりして、充実した休日を過ごしてくれたようです。一方では、連日学校へ来て一所懸命に学習していた生徒もいました。G9ですが、昨年同様に学校では学習会を実施いたしました。2週間の休みを返上して、朝9時から午後2時まで、五教科(国、社、数、理、英)を中心に10日間を行うことができました。受講した生徒は、先生と1対1のマンツーマンによる指導であったため、息もつけない毎日であったと想像することができました。しかし、昨年もそうだったのですが、これは決して特別なことではありません。メル校から日本の高等学校を受験する子どもたちの不安を少しでも取り除いてやることができればと考え、中学部を中心とした職員の熱い思いの中で実施してきました。
この時期、こうした指導を行うには大きな理由があります。G9の生徒の多くは、12月末には日本へ一時帰国して、自分の希望する高等学校の受験をすることになります。2学期が始まれば、受験まで実際4ヶ月しかないということです。当然教科書の内容も、それまでには学び終えていることになるのです。このことを考えれば、生徒にとって冬休みは貴重な学び時間といえるのです。受講生も、今回充実した時間を過ごせたことで、達成感や満足感を味わうことができたのではないかと感じています。この学習会はこれで終わるのではなく、昨年と同様に、これからも1週間に2回程度、課外の時間を使って、個人課題の克服に向けて指導を進めていきます。
こうした取り組みを通して思うことは、海外で生活する子どもたちは、日本とは違った教育環境において学んでいるということです。このメルボルンにおいても、メル校生たちは、日本では味わうことのできない素晴らしい経験を積んで、心身ともに逞しく成長しています。半面、子どもたちも保護者の方々の中にも、不安に感じられることもあるかと思います。帰国後のことを考えてられる方、また、この国を生活の拠点と考えておられるご家族の方にとっても心配は尽きないものだと察しております。
メル校では、こうした不安を少しでも払拭できるように進めていかなければなりません。冬休みの学習会や課外の学習相談などを実施することも、安心して学べる環境を整えていく一つの営みでもあります。このような指導は今後も継続していかなければならないと考えております。また、英語圏であり、現地校も選択肢の中にありながらも、あえてメル校のカリキュラムを支持していただきましたことは、その期待に応えなければならない当然の責務とも考えております。子どもたち一人ひとりの夢は、日本の未来を支える夢でもあり、2学期も子どもたちと共に感動を共有できる取り組みを続けてまいりたいと思います。