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Secret Wars -Grand Final-

2011年メルボルンシリーズ2の勝者は誰の手に!

今回セミファイナル1からシリーズで紹介していたSecret Wars。ついにファイナル戦が行われた。ファイナルに勝ち残った二人、SCALEとKen Taylorはどちらも実力派アーティスト。SCALEはつい最近ソロ展示会を終えたばかり。Ken Taylorは世界各地から注文がくるほどの多忙ぶりは相変わらず。

  

会場は今までの大会で一番の人の数。主催者Shannonさんはいつも通り会場を走り回っていた。このイベントはシドニーでも2011年の‘Secret Warsシリーズ3’が2月より始まっているため、Shannonさんはシドニーとメルボルンを行き来している多忙ぶり。しかしそんな忙しさ以上に、この大会の反響のよさがShannonさんにとって何より嬉しいというのがにじみ出ていた。彼は最後にこう言った。「優勝者だけが優れたアーティストというわけではない。この大会に出たアーティストは皆才能あるアーティストだ。」

  
(主催者Shannonさん)

緊張感高まる中、二人のアーティストは真っ白なキャンバスの前に立つ。これまで3回のバトルをこなしてきてる彼らだが、今回が最も緊張してるであろうことは言うまでもない。バトルが始まると二人は次第に自分の世界に入っていく。90分は長いようで短い。時間が刻々と流れていく中で、真っ白だったキャンバスに段々とインクの黒が染められていく。残り30分となってきた辺りからは、彼らのものすごい集中力と緊張感が私達にも伝わってきた。息をのむように彼らを見つめる観客、ラストに向けて盛り上がる音楽。会場の全てが彼らの作品に集中されていった。


優勝を獲得したのはSCALEだった。




ゲーム‘ストリートファイターズ’のケンと対戦者Ken Taylorの名前’ケン’をジョークにした作品には、立体感、迫力、動力などこれでもかという勢いがあり、90分間でよくここまで仕上げたなと驚かされた。一方、Ken Taylorの作品はサイズという意味の言葉‘スケール’とSCALE(スケール)の名前をハエを使った絵でジョークにした作品。さすがに作品を作る前に、アイデアに時間をかける彼ならではのひねったジョークだ。ハエはわざとキャンバスいっぱいに描かれ、その下にSCALEと思われる小さな人間。パーフェクトにバランスのとれた作品であった。

  
(左;SCALEの作品、右;Ken Taylorの作品) 

ジャッジの一人は、勝者はとても決めがたく、最後は自分の好みで選んだと言っていた。Shannonさんの言葉にもあったが、レベルの高い作品を前に、時に勝者を決めることが難しいときがある。ただそれでも今回多くの人がSCALEの作品に拍手を送ったということは、彼の作品が人に与えたインパクトが強かったということだ。

    

豪GOからのチケット当選者のRyoco LondechampさんとCyril Londechampさんもこのイベントを楽しんでくれたようだった。



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今回ひょんなことからこのイベントに出会い、こうやって3回に渡り記事を書くことになった私だが、インタビューを通してアーティストの生の声を聞けたことはとても興味深かった。彼らのクリエイティビィティは、普段の生活の中から生まれている。好きな音楽を聞く、古い映画をたまに見てみる、美味しいご飯を食べる、好きなコミックを読む、きれいな夕焼けに空を見上げる、木にとまる鳥の鳴き声に耳を澄ます、道にあるグラフィティに立ち止まる、雑踏を歩く人、公園で犬を散歩する人、手をつなぎ幸せそうなカップルに目を向けてみる、、、。私達の生活の中には、ぼーとしていると見過ごしがちな ‘愛おしい瞬間’ というものがたくさんある。そういう何気ないものにインスピレーションを受けストーリを作り、自分の作品(それは絵、オブジェクト、音楽、映像だったりする)として表現する。それがアーティストだ。そして彼らの作品に興味を持ち評価してあげることが私達の仕事で、それは彼らを支えていくことにつながる。メルボルンのように街がアーティストで溢れている都市には独特な活気がある。私はこの活気が今後メルボルンでずっと続くことを願っている。

  


Secret Wars website:
http://www.secretwars.com.au/melbourne/#/home

The Venue:
‘1000 £ Bend’
361 Lt Lonsdale st, Melbourne VIC 3000
http://thousandpoundbend.com.au/

SCALE website:
http://www.camscale.com/

Ken Taylor website:
http://www.kentaylor.com.au/

 

文 写真: 兼重貴子 

(Written and photographed by Takako Drew)
2011年4月15日掲載

コメント

以前のコメント

gemlily   (2011-05-04)
こんなイベントがあるなんて、知りませんでした。アートが盛んなメルボルンにぴったりなイベントではないですか? オーストラリア人は、常に元気だな~と感心します。

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