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沈みゆくCarteret環礁を考える夕べ

世界初の「環境難民」を助けるには…

2009年08月03日掲載
 

沈みゆくCarteret環礁を考える夕べ

28 July, 2009 @ ABC Gallery, Collingwood



  「“地球温暖化”と聞いて皆さんは何を考えますか?」
平均気温の上昇、異常気象、生態系の変化…。地球規模のこの問題に対し、身近な生活の中で真剣に考え、取り組んでいる人はどれくらいいるのだろう。何気ない日々を送っている私達だが、一方では深刻な状況に日々苦悩する人達がいることを忘れてはいけない。


  この地球温暖化による海面上昇のため、沈んでしまう島があるのはご存知だろうか?南太平洋のパプアニューギニアに位置する、美しいカーテレット(Carteret)環礁。ここの住民たちは世界初の“気候変動難民”となる決意をした。30年以上も温暖化による海面上昇、地下水の塩水化にするココナッツ被害、漁獲量の低下、波による家屋破損と戦ってきたカーテレットの人々。島は2015年には完全に沈んでしまうといわれており、また、深刻な食糧不足により、島を離れざるをえない状況にいる。

 
 7月28日(火)、コリングウッド(Collingwood)のABC Galleryにて“沈みゆくCarteret環礁を考えるイベント”が開催された。 会場はとても和やかなムードで、火曜日の夜にも関わらず多くの人が足を運んだ。Genevieve & Jezebelによるハーブの演奏やたった一週間のショート・ノーティスにも関わらず快く出演を引き受けたDavid Bridie氏による演奏も披露された。そして、今回のテーマであるカーテレット環礁の今を伝えるためのショート・フィルムの上映や講演が行われた。


「This is the human right, we are talking about」
 
 パプアニューギニアの環境保護運動のパイオニア: Ursula Rakovaさんはそう述べた。日本やオーストラリアなどの先進国が経済発展のために行ってきた活動が、今この島々に深刻な状況をもたらしている。そのことをさらに伝えたく、また知ってほしいと訴えた。さらに、Ursulaさんはこう言った。「私達は何も大金を求めているわけではない。カーテレット環礁に住む人々がこの先、安全に安心して生活するために、少し経済的な支援をしてほしいだけである。新鮮な水や食べ物があり、安全に暮らすことは基本的な人権なのだ。」

 
 今年4月に5家族が島からメイン・ランドへ移住をした。もちろん、この移動は強制ではなく、ボランティアを募り、自ら手を挙げた人達だ。それでも、ふるさとを離れ、新しい地での生活することをスタートさせるということは、人々に不安と期待で感傷的にさせるなど、とてもセンシティブな問題である。またそれだけではなく、移動のためにはまず住む家を建て、そして仕事(収入)のためにカカオやココナッツのガーデンを準備しなければならない。時間とお金がかかるからこそ、他国からの援助は必要不可欠なのだ。

 

「私達ができる事とは何であろう」と考えてみた。それはまず、今この地球に起こっていることを知ることなのかもしれない。それが第一歩だ。日本でも最悪の場合、温暖化により100年後にはソメイヨシノが開花しなくなるという。開花しなくなるのを待つのではなく、これから先もずっと美しい桜を楽しめるように、日頃からニュースに耳を傾け、関心を持つことが大切なのではないだろうか。


Australian Conservation Foundation (ACF):http://www.acfonline.org.au/default.asp
David Bridie:http://www.davidbridie.com/

ABC Gallery: 127 Campbell street, Collingwood VIC 3066

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