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世界的ドラマー神保彰 メルボルン公演レポート!

驚異のドラムテクニックに大興奮の一夜

2011年11月21日掲載

 

‘世界でもっとも有名な日本人ドラマーが来る!’これを聞いて行かないわけにはいかない。North Melbourne のMeat Market Arts Houseで7時半より開演された彼のドラムクリニック。ドラマーから、彼のパフォーマンスに興味がある人まで多くの人が集まっていた。

 

彼のドラミングは「千手観音」の異名をとると言われる。ワンマンオーケストラという独自の演奏スタイルは 、今回主宰のヤマハが1990年代初頭に開発したドラム•トリガー•システムを使う。これは「電子ドラム」とほぼ同じ機能を持ち、ドラムの各パーツに貼り付けたピックアップや電子ドラムパッドを接続し、それぞれのパーツから打撃を受けると、その信号を機材内で設定したMIDIの信号に変換する仕組みになっている。演奏する音程はあらかじめ機材にプログラミングされているため、非常に高度な演奏技術を必要とし、1打でもミスをするとその後の演奏が破綻してしまう。 また、キーボードによる演奏と違って「音を止める」タイミングを演奏者が決められないため、「長く鳴らす音」「短く鳴らす音」をあらかじめプログラミングする必要がある。(Wikipedia参照)

 

現在、YAMAHAの DTX750というドラムキッドを使われている神保さん。その機能の素晴らしさも会場に集まった皆に教えてくれた。音を録音するのに要する時間は半日から1ヶ月という。一度でも叩きミスがあれば、全てが狂ってしまうという経験と自信が必須なこのドラム•トリガー•システムだが、神保さんはその緊張感を毎回ステージの上で楽しむという。まさにプロの感覚だと思わせる。

 

今回のイベントは神保さんが演奏を披露するだけでなく、彼の経験踏まえたドラムレッスンも行われた。実は神保さんがドラムを始めた35年前には、情報の溢れた今と違いドラムスクールなどがなく、神保さんはドラムを叩くキッカケとなった尊敬するドラマーSteve Gaddを頼りに自分で勉強したという。Steve Gaddの音を耳で録音し、まずはそれをコピーし練習、その上で自分のアイデアを加えていたらしい。今回神保さんは自分が学んだその方法を包み隠さず、私達に披露してくれた。「よいドラマーになるには、学校やビデオなどで学んだ情報の上に、いかに自分のアイデアを加えて自分のスタイルを作るかだ」とアドバイスをくれる。お客さんからの質問タイムでは、会場にいるドラマー達が神保さんに色んなテクニカルな質問を問いかけていた。


ドラムだけでなく英語も堪能な神保さんは、実はこれらのことを通訳なしで会場の皆にわかり易く、そして丁寧に教えてくれた。神保さんのユーモアある会話には、会場の皆が笑う一面もあり、皆が神保さんのこのイベントをとても楽しんでる様子が伝わってきた。

「世界で尊敬される日本人100人」に選出されているという神保さん。国際的に活躍されていることを納得させるその堂々とした姿には、ただ素晴らしいドラマーだけでない彼の人間性に人を惹き付け尊敬させる何かが感じさせられた。


今は亡き人であるマイケルジャクソンが好きな神保さんは、彼の曲を多数披露してくれた。‘楽しむ’ことが原動力という神保さんのドラムは、聞いているほうも楽しくなるという一体感を与えてくれる。翌日にはシドニーに行き、その後インドネシアと多忙な神保さんだが、またメルボルンで会える日を楽しみにしたい。


 

※神保さんのインタビューを近日公開!お楽しみに。

 

神保彰 
Web-sitehttp://akira-jimbo.uh-oh.jp/

イベント会場:Arts House, Meat Market, North Melbourne
スポンサー:YAMAHA,Cranbourne Music & Drumtek (https://www.yamahamusic.com.au/promotions/events/)

 

文 写真: 兼重貴子
(Written and Photographed by Takako Drew)

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