インタビューinterview

LEAP MELBOURNEleap

LEAP MELBOURNE -Yosuke "Chapa" Murano-

音楽への自信がなによりの収穫

2012年2月13日掲載

 

これからメルボルンへ来る若者・学生達へ、

一足早くその地で頑張っている皆からの熱いメッセージ。

 

このシリーズは、さまざまな目的や目標を持って学び・仕事に取り組んでいる人たちの経験談を広めることで、読者の方たちの刺激や発見になればという思いから始まった。

「Leap Melbourne」

このタイトルには、メルボルンで過ごす時間をさらなる跳躍につなげてほしいという気持ちが込められている。

 

 

Yosuke Murano

21歳のときからマッサージ師として働くかたわら、ストリート・ミュージシャンとしても活動。ワーキングホリデー・ビザを利用してクイーンズランド州各地、バンクーバー、メルボルンなどさまざまな都市で生活を送る。帰国後は鍼灸の国家試験取得を目指す。

 

留学と旅で世界が広がった

大学時代なんだか大学がおもしろくなくて、兄の勧めで留学することにした。渡航先のオーストラリアではブリスベン、ゴールドコースト、ケアンズなどいろいろなところに住めて、視野が広がったと思う。アボリジニの伝統的な楽器「ディジュリドゥ」の音楽と出会ったのもその頃で、自分でも演奏するようになり、メルボルンで出会った音楽仲間の影響でバスキング(ストリート・パフォーマンス)までするようになった。

路上で演奏しはじめてから音楽への気持ちが変わったと思う。バスキングのおもしろいところは、自分ではいい演奏ができていると思っていても、必ずしもいい反応が返ってくるとは限らないこと。そんな経験を通して、自分だけが気持ちよくなる音楽をしていてはだめ、音楽は 送り手と受け手のことばが一致したときに繋がりが生まれる「コミュニケーション」なんだと改めて思った。それから一気にバスキングにのめり込んで、本職のマッサージを休職してバスキングだけで生活をしてみようと決めた。

 

誰の真似でもない自分の音楽

そうはいったものの、はじめは自分の音楽に自信がなくて、なかなかうまくいかなかった。1週間ほとんど毎日路上で演奏したけれど、恥ずかしいし、なかなかお金ももらえないし、何度も心が折れそうになった。音楽が嫌いになりそうなときもあった。それでも続けられたのは、こんなに音楽ばかりできる生活は今、メルボルンにいるときだけだと思っていたから。なによりも好きな音楽をできるときにめいいっぱいやりたい。その一心で毎日路上に出続けた。

そしてそんなある日、なにがきっかけだったのかわからないけど突然コツを掴んだ気がした。誰の真似でもなく自分だけの音楽を演奏しているような感覚があって、その感覚とともにお客さんの反応もよくなった。お客さんがお金を払っても払わなくてもいいストリート・パフォーマンスでお金をもらえることはお客さんからのダイレクトな評価の結果だから、努力が認められた気がした。自分の音楽への自信が着いたこと、それがメルボルンでいちばんの収穫。

 

1%の可能性を信じてやり続ける

考えてみると、音楽と自分のマッサージの仕事にはなにか通じるものがあると思う。マッサージの世界で「気」が出るのは口、目、手のひら。ディジュリドゥを演奏するのに使うのも同じなんだよね。それにマッサージって、「この人を治したい」と思いながらすると治りが早いんだよ。ほんとに。音楽も「皆を楽しませたい」って思いながら演奏すると、その気持ちは必ずお客さんに伝わる。

音楽の世界ではよく才能やセンスなんて言葉が使われるけど、自分が本当にしたいことならたとえ才能がなかったとしても、1%の可能性を信じてやり通せばどうにかなると思う。どんなことでも苦手なことをするのは自分との闘い。いちどやろうと決めたことなら、やりたい、やりたくないなんて関係なくて、続けるしかない。

 

Interview & Photography: Ryo
ryo@studiomonsoon.com
studiomonsoon.com

 

関連記事

最新記事