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BMXライダー 高木聖雄さん インタビュー

i believe. 気にしたら負け!メルボルンでひたすら練習中

メルボルンが 現在BMX(Bicycle Motocross)界の中で注目されている。市内から少し離れたメルボルン郊外には、BMXをはじめとしてエキストリーム・スポーツが練習できる室内練習場があり、数々の世界有名トップライダーが通っている。今回は日本人BMXライダーの高木聖雄さんにお話を伺った。


[プロフィール]

高木聖雄(たかぎ としお)。20歳。 BMX(バイシクルモトクロス)で現在プロライダーとして活動中。日本ではショーのほか、雑誌、TV、CMなどにも出演。今年の2月にヨーロッパのエストニアで行われた BMX世界大会にも日本代表で参加した。現在ワーキング・ホリデービザでメルボルンに滞在中。来年3月まで滞在予定。

 

インタビューアー:中村紀子

 

--まずは、エキストリーム・スポーツとは何ですか?

エキストリーム・スポーツと呼ばれるものは主に歴史が新しいスポーツが多いです。海であったらサーフィン、山であったら自転車で山を下る、あるいはスキー、スノボーなどで、それをひっくるめてエキストリーム・スポーツと呼んでいます。


--その中のひとつ、BMX(バイシクルモトクロス)について教えて下さい。

BMXとは自転車でタイヤが20インチと通常の自転車より小さく、ハンドルがアップ・ハンドル、ギアはシングル・ギアと言ってギアの段階が無いモデルのことをいいます。これは40年ぐらい前にアメリカで生まれてそこから形は進化していますが、元となるモデルは変わっていません。もともとアクロバティックなことをする為に生まれました。


--いつ 、どんなきっかけでBMXを始めましたか?

BMXは中学校3年生の時に始めました。BMXに乗る前から普通の自転車を激しく乗るのが好きで、その延長でしたね。


--プロライダーとしての活動を教えて下さい。

日本にいたときはBMXのアピールとしてBMXショーを行ったり、プロモーション・イベントなどに招待されてパフォーマンスしたりもしました。自分の為に大会に出場しますが、これは自分が持っているスポンサーの宣伝も兼ねられます。


--スポンサーを持つ事はプレッシャーになったりしますか?

なりますね。やっぱり期待を持ってスポンサーしていただいてる。ギブアンドテイクの関係なので、期待されたらちゃんと返したいです。どのくらいのお金を自分にかけていただいているのか分かるので適当にはできないですね。


--プロとアマチュアはどのように分けられていますか?

団体や協会で振り分けられている訳ではないんですよ。BMXはプレイ人口がまだ今から増えていく段階なのと、公式と軟式みたいにはっきりとは分けられてはいません。でも、プロライダーは日本でもシリーズで大きな大会でプロクラスに入ることが必要です。アマチュアクラスで日本1位になるとプロクラスに入れます。


--メルボルンに来たきっかけを教えて下さい。

メルボルンには練習として来ています。メルボルンに室内練習場が2年ぐらい前に出来たという話を友達から聞いて、どうしても行きたくなりました。


--日本とメルボルンではBMXの人気は差がありますか?

メルボルンは日本よりもBMXが繁栄していてプレイ人口がものすごく多い。遊びでやっている人から世界でトップクラスのプロまでいます。練習場のことをパークと言うんですけど、パーク自体の数も日本に比べてこっちの方が多いです。


--メルボルンの練習場について教えて下さい。

僕が行っているメルボルンの "RAMP FEST" という室内練習場には、ホームピットとレジという練習台があります。ホームピットはジャンプ台からスポンジのプールに飛び込んで練習します。レジは、その隣にある木で出来たジャンプ台で着地の部分がゴムマットになっているもので、転んだ時に衝撃が少ない。この2つがある練習場が日本にはなくて、それがあると危険な技にもトライしやすいです。このパークのおかげでメルボルンから多くのライダーが育っているんですよ。


--室内と野外だったら室内の方がいいですか?

そうですね。温度が一定でライトもあるし、夜も9時まで開いてるんで。メルボルンのパークはみんなコンクリートで出来ているんですが、RAMP FESTは珍しく木で出来ているんですよ。乗れば分かるんですけど、固さが違うんですよ。木の方が柔らかく、乗り心地がいいです。コンクリートはやっぱりちょっと危ないですね。

 
--怪我はされますか?

怪我は付きものですね。足をひねるとか、外傷はパットていうプロテクターは付けるんですけど、カバーされていない所とかはしちゃいますね。
 

--練習場には先生はいるんですか?

コーチや先生は基本的にいないです。なので、周りで練習してる人に聞かれたり聞いたりしますね。自分がやりたい事をしている人がいたら「どうやるの」って聞いちゃいます。そうすればジェスチャーなり言葉なりで教えてくれますし。そうやって伸びていきます。みんな独学ですね。


--週に何時間練習するんですか?

時間は分からないですけど、多くて5、6回。少なくても3、4回は行きますね。それで1回に4時間。練習場のセッションが4時間ごとに分かれているんで。


--メルボルンの大会には3回出られたそうですが、結果はどうでした?

1回だけ「印象に残ったで賞」に入りました。日本と比べるとメルボルンの方がレベルが高いです。年齢層も幅広いですし、レベルも全然違います。参加者は主に10代の中高生ですね。それに加えて20代、もしくは30代。10代から下の子どもも多いです。


--大会に参加して、印象に残った事はありますか?

やっぱり国で言葉が違ったり文化も違うんですけど、同じ趣味ややりたい事が同じ人が集まると、そこはもう国境は関係ないです。僕は英語はあんまり喋れないんですけど、僕が一生懸命やってる姿を見て「お前すげえよ」「良かった!」て後で言いに来てくれました。そういうところは日本と変わりませんね。リスペクトしあうのは国境、言語は関係ありません。


--メルボルンに住んでみていかがですか?

文化の違いが凄くありますね。仕事に対しても、休みの為に仕事をするように感じられます。そういう面で凄くいいなと思います。あと、古い歴史的な建物の中にカフェなどがあるのは好きです。
 

--メルボルンで友達はどうやってつくりましたか?

オージーの友達はみんな自転車仲間ですね。始めはそこなんですよ。練習場に行って「君どこから来たの」「日本だよ」で始まり、技の話から仲良くなっていって「今度遊びに行こうよ」「今度いつ乗りに来るの?」ってなりますね。


--メルボルンに来て大変だったことは?

やっぱり言葉ですね。自転車に関係ない所が1番多いんですけど。来て始めに、銀行口座開かなきゃいけない、インターネット繋がなきゃいけない、家を探さなきゃいけない、、、。僕、電車の切符の仕組みが分からなくて、切符を間違えて買ってて、それで注意されたんですけど分からなかったです。あと寒さです。メルボルンは冬が長いですね。


--高木さんのブログに好きな言葉は「i believe. 気にしたら負け」とありますね。

技にトライする時に必ず段階があって、練習するうちにやり方は分かるんですけど、踏ん切りが付けられないんですよ。出来るかな?って。スポンジに飛び込むのはいいけどゴムマットは怖いなと思っちゃう。だから、自分がして来た事を信じることが1番大切ですね。


--BMXを始めたい人が "RAMP FEST" に行けば、高木さんに会えますか?

確率は多いですね。あと僕はブログやフェイス・ブックをしているので、ブログにコメントをしてくれればちゃんと連絡します。それで繋がった人もいます。もちろん会場に来てもらうのもいいですし、最初だけ教えるのも問題ないです。


--今後の目標は?

今は練習をして日本に帰って、その後にアメリカに行きたいんです。その為に今はひたすら練習ですね。将来は、自転車に関わった仕事をしたいです。日本のBMXの文化は、他の国に比べて遅れてるんですよ。最近、中国に世界で1番大きいパークが出来ました。僕は韓国の大会にも行ったことがあるんですけど、その大会も政府が運営していました。そういう文化を日本に持ち込みたいですね。


[編集後記]
日本から若い才能が生まれて世界で活躍しているのはとてもすばらしいことだ。とても気さくでポジティブな高木さん。もし興味を持った人はぜひ "RAMP FEST"に行って彼にBMXの魅力を見せていただくのもいいだろう。

高木さんのブログ:http://www.signal-jp.com/blog/toshio-takagi/


室内練習場 "RAMP FEST":http://www.rampfest.com.au/
 

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