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パワーリフター、板前  冨田 洋二さん インタビュー

ストイックな世界で活躍する秘訣を公開!

2009年3月8日掲載



【プロフィール】
冨田洋二 Yoji Tomita 
1959年生まれ、鹿児島県出身。メルボルンの日本食レストランで板前として仕事をしながらパワーリフティングの選手としても活躍している。サザンパワーリフティング所属。

今年50歳とは思えないほど若々しく、がっちりとした鍛えられた筋肉を持つ冨田洋二さん。足袋に角刈りのジャパニーズスタイル、「よろしくお願いします!」と大きな声を張り上げ試合に挑むところが‘九州男児’を感じさせる。2001年に渡豪以来、毎年オーストラリアで行われるパワーリフティングの公式試合に参加し続けているそうだが、今日は試合後の冨田さんにお話を伺うことができた。ちなみにそばに奥様もいらっしゃったからか、何となく和やかな雰囲気でインタビューは進んだ。

インタビュアー 平塚敦子


 

--なぜオーストラリアに来てパワーリフティングをやろうと思ったのですか?パワーリフティングを始めたきっかけなども教えて下さい。

まず妻が“海外で暮らしたい!”って言ったのがきっかけで、なぜかメルボルンに来ることになりまして(笑)。僕自身、昔から空手や陸上、ボディビルやパワーリフティングなどをやっていて、また日本でもジムを経営していたということもあり、こっち来てとにかく色んなスポーツをやってみたいなーと思っていたんですよ。しかし色々興味があったはいいけれど、結局自分自身の時間が取れなくてパワーリフティング1本に絞ってやるようになったんです。でも1本に絞ったおかげで、20代30代の時よりも今の方が記録は伸びてるんですよね!これからまだまだ記録が伸びるんじゃないかな~、なんて…(笑)。それがパワーリフティングってスポーツなんですよ。


--そのパワーリフティングの魅力をもう少し具体的に教えてもらえますか?素人の私からすると、体に負担がかかるスポーツなのでは?とも思いますが…。

魅力はですね、60歳で始めた人が2~3年ですごい記録を出したり、実は取り組みやすく簡単なスポーツなんです。また選手寿命も長い。今日もおじいちゃんがいっぱいいて、まだまだ記録を伸ばそうとしているでしょう?またこの3種目(デッドリフト、スクワット、ベンチプレス)はスポーツの原点とも言えますね。選手じゃなければ重いバーベルを上げる必要もないですし、軽いものでも続けてやっているとどんなスポーツにでも通用します。体に負担がかかると思われがちだけど、バーベルは持ち上げても肩や背中まで。頭上に持ち上げないので、力のあるなしは別として本当に誰でもできるんですよ。


--試合に向けて、普段はどういうトレーニングをされているんですか?

普段は基本的に3種目のトレーニングをジムで行います。一番重いバーベルは試合の日にしか上げないです。試合のある何週間か前から軽いバーベルでトレーニングを始めて、徐々に徐々に重いものに切り替えていく。スケジュールを組んでやらないと体がつぶれちゃいますからね。またトレーニングノートもつけているんです。(1冊のノートを見せてくれる)試合までに自分の体重やどんなトレーニングを行った、何kg上げたかなど細かくつけているんです。

 

--パワーリフティングをやっていて辛いな~、っと感じることってあります?

ベンチプレスは好きなんだけど、あとの2つは得意じゃないから好きじゃない…(笑)。だから練習が嫌になったりもしますよ。欧米人は手足が長いからデッドリフトやスクワットを得意としています。こっちの人には有利なスポーツなのかな?まぁでも試合に出ると前よりも記録が伸びているし、仲間もたくさんいるし基本的には楽しいですよ。


--ちなみにパワーリフティング自体は個人競技ですが、今日この会場を見るとサポートの人達がたくさんいるんですね。

そうですね。今日試合に出ない人でも、練習の補助として僕ら選手を一生懸命支えてくれている。逆に自分が出ない場合は出る選手の為にサポートしたり…。1人でできないことはないけれど、みんながいるからこそできるスポーツなんですよね。

 

--今日試合を見させていただきましたが、試合前に何か必ず叫ばれていますよね?何と言っているのですか?

ははは…(笑)。「お願いします!」と叫んで、鹿児島弁で「おらいっどー!!(よし行くぞーっ!)」って気合いを入れます。じゃあみんなが、「Yojiは何て言ったんだ?何て言ったんだ?」って興味を持つんですよね。


--さて冨田さん、ずばりあと何年できそうですか?

80歳でもやっている人がいるのだから、まだまだ若僧ですよ(笑)。今年50歳になりますが、体が元気であればいつまででもやりたいですね!



この日の冨田さんの記録はデッドリフトで200kg、スクワットで200kg、ベンチプレスで150kgを上げ、トータル550kgの好成績だった。インタビューの最後に、「今日は目標にしていた記録が出て上出来です!!」と笑顔で語って帰られた。


冨田選手の所属しているチーム「Southern Powerlifting Club」のHP
http://www.southernpowerliftingclub.com/

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