interview
キャリア・学ぶ

空手家・ソプラノ歌手 峰岸 夏子さん インタビュー

ソプラノ歌手そして、もう一つの顔は?その実力は?

2008年9月21日掲載

 

【プロフィール】
峰岸 夏子 Natsuko Minegishi
 ソプラノ歌手、声楽教師。親の仕事のためパースに高校のときに移住し、JOHNXXIII COLLEGE 卒業。計8年間パースに滞在。西オーストラリア大学理工学部在学中に大学の空手部、尚武館空手道を賀陽敬真先生のもとではじめる。途中音楽に専攻を変更し、メルボルン大学音楽部声楽学科へ進む。メルボルンでは尚武館空手道がないため、松濤館空手道を白帯からはじめ直す。空手を始めてから8年の歳月をかけ、念願の黒帯を日本の本部道場にて取得。現在三段位。

 音楽のためオランダに3年間留学。その間も空手を続け、型の部のオランダ代表選手としてヨーロッパ大会にも出場。ヨーロッパ大会では4位(2004)、世界大会では5位(2006)。8月8日にパース(Perth)で開催されたオーストラリアン・チャンピオンシップ(Australia Karate Federation National Championship)にて優勝。

 2007年には自分の道場(國際松濤館空手道連盟、夏龍会)をリッチモンド(Richmond)に開き、稽古に励んでいる。フリーランスソプラノ歌手として活躍する傍ら、CAULFIELD GRAMMAR 及びSIENA COLLEGEで声楽を教えている。

 
 
インタビュアー:長谷川 潤、大喜多 良美

 

--8月にパース(Perth)で開催された空手大会はどのような大会ですか?

オーストラリア・カラテ・フェデレーション(Australia Karate Federation)主催の年1回開催される、豪州空手道連盟の全国大会(Australia Karate Federation National Championship)です。毎年場所が変わるのですが、今年はパースで開催されました。オーストラリアで初めて全国大会に参加し、金メダルを獲得しました。州の大会で3位以内に入った選手が選抜を受けて参加します。州ごとに選抜条件は違いますが、州大会で優勝したことが認められました。
この大会は自分のためというよりも、教えている生徒のために参加しました。顔が知られることで人との信頼関係が築かれます。このことで将来的に生徒が試合に出た時に 変な負け方をしないようになる、これは指導者として大事なことです。生徒が将来、安心して自己ベストを尽くしてくれたらと思います。


--参加されたカテゴリーの条件は何ですか? 何回戦位まで勝ち進まないといけないのですか?

女性で35歳以上、「型」のカテゴリー(Women Veteran Kata section)です。もちろん今回の大会は州より選ばれないと参加できません。参加人数によって違いますが、今回は参加者10人中2人棄権、選手8人で、3回戦でした。


--大会に向けての強化トレーニングはどうでしたか?

大会よりもトレーニングのほうが大変でした。毎週土曜、6ヶ月間かけてトレーニングをするのですが、子供から大人までが同じ練習メニューであるのと、トレーニングの先生がボランティアの集まりでやっていらっしゃるということもあり、あまり実践に結びつかないような内容もありました。少し精神的にもついていけないこともかなり多かったです。


--今後、参加される大会はありますか?

パースの大会は他流派の選手も集まっての大会だったのですが、私の流派の大会が10月にシドニーで試合があり、また来年にはギリシャで世界大会も開催されるため、選抜されれば参加します。


--他流派も集まっての試合と、峰岸さんの流派の試合では、違いはありますか?

試合の進行自体からまったく違います。同じ流派の大会だと、同じ型を披露するので、細かい点が厳しくなります。他流派も集まって行われる大会だと、選定の「型」があり、みなそれぞれ違う「型」をするので、全体的な印象や気迫で勝つこともあります。例えばミスを犯しても、他流派の型であれば審判が気付かない場合もあります。同じ流派だと間違いは厳しく減点されますので、気迫が上であっても、負けてしまいます。勝ち方のコツや、気をつけること、会場への入場の仕方も多少違います。
オーストラリアで勝てるようになるまでも苦労しました。やはり好まれるやり方が土地によって多少違いますし、自分の名前が知られていないと、1回戦から対戦相手が前大会の優勝者であったりすることもあります。その場合はやはり国として対戦相手に恥をかかせることができないのもあり、不利になります。徐々に経験を重ねて、良い対戦相手のくじがまわってくるようになりました。

 

--現在の道場「夏龍会」はどうですか?

去年道場を開いてから一年半、生徒が12人になりました。0人からのスタートで、独り稽古覚悟で開設したのですが、幸いなことに一人稽古だったことは一度もなく、徐々に会員が増えてきています。20代、30代の男性中心ですね。女性は2人です。 子供のクラスは本業であるのどを過度に使うため、 開いていません。小さい道場ですが、とてもアットホームな雰囲気の中で
稽古を楽しんでいます。現在の目標は「夏龍会」会員、めざせ20人!です。
10月のシドニーでの國際松濤館豪州の全国大会、10月末には日本で国際松濤館空手道連盟30周年記念の大会もあり、いづれも道場から5、6人連れて遠征する予定です。オーストラリ全土から、そして世界中から集まる会に生徒を連れて遠征できるようになってきたことはとても嬉しいです。生徒のレベルが確認できますし、また自分の恩師に生徒の空手を見てほしいというのもあります。


--では、歌手としての活動は今、どんなことをされていますか?

今年はまず、年末年始に日本で仕事をしました。そのときは香川県と東京にて、チャリテイと現代音楽会にて演奏しました。7月には名古屋市でチャリティ・コンサート、東京では祖母の94歳を祝う誕生日パーティ音楽会を企画し、オランダ留学時代の友人とともに演奏しました。オーストラリアでは生徒と一緒に、定期的に演奏活動をしています。現在自分のレパートリーを研究中なので、自分だけでの歌手活動は来年までお休みです。

 

--これからの目標ややってみたいことはありますか?

目下の目標は空手の生徒とともに、シドニー大会と日本遠征をこなすことと、年末の夏合宿です。去年の夏合宿より団結力が一層強まったこともありますし、今は次の大会に向けて心を一つにして頑張っています。
「夏龍会」としては、試合の勝ち負けに関わらず、精神的に団結し、また自分を磨くことを目標とした団体になってほしいと思っています。生徒に対しては、多くの人と対戦し、さまざまな先生などを通して自分の空手を見直すと思うので、いろんな刺激を受けながらも、常に自分を磨くことを目標にしてほしいですね。
また道場では生徒、特に女子を募集しています。怖がってしまう方も多いようですが、少しでも興味を持っている方は来てほしいです。確かに生易しい稽古ではありませんが、日本人の体型には特に合っている運動です。継続は力なり-武道は一生続けることができるので、ぜひ挑戦してほしいです。
自分自身としては、年齢的にも責任が増えてくるので「休みを取ること」がもっぱらの課題です。がむしゃらに頑張ればいい結果が出る10代、20代ではもうありませんので、忙しい中、いかにうまくバランスをとるかを常に考えています。また、空手の世界は男性中心の世界ですので、女だからといって舐められることがあります。そのなかでも自分自身の意見をしっかり持ち、言えることが大事になってきます。相手の立場も考慮しつつも自分のスタンスは曲げない人間をめざしています。意見が食い違ったとしても、なるべく衝突するのではなく、まわりと調和していけたらと願っています。
大きな目標は、オペラ座で歌うことです。いまのところ空手ばかりに時間がとられてしまっているので、演奏活動を中心とした生活も大事にしていきたく思います。空手をする歌手としての個性を活用して、 歌手としての仕事も獲得していけたらと願っています。


--若い方へのメッセージをお願いします。

ひとそれぞれ与えられた試練は違うと思います。その中でも日本人全般的に苦労するのは、うまく自己主張できないことだと思います。「最初に相手に合わせてから」という姿勢が基本ですし、それは日本の良い文化的側面だとも思います。しかし海外ではそのために自分だけが苦労してしまうこともあると思います。それでも、いかに人との「和」を保ちながら、自分自身の心の「和」も保って成長していけるかが鍵となってきます。日本人的な価値を保ちながらも、いかに自分を主張するか。我慢することを教えられすぎて、自分を犠牲にすることが一種の美徳になっていることがあると思いますが、それは周り全員が我慢するからのみ通用すること。海外ではそうはいかないことも多いですし、自分を幸せにすることが周りを幸せにすると思うので、自分の信念を大切にすることを考えて欲しいですね。
また夢や目標はいつか達成することができると思います。何年かかってでも、じっくり練れば、必ずいつかは結果がついてくると思います。


--個人的なこだわりはありますか? またこだわりの物などありますか?

空手の先生がいつも感謝の意を表すのに、合掌をされるんですね。それを見て「いいな。」と思い、それ以来自分でも食事の前に合掌をし、「今日もいいことがありますように。」など簡単なお祈りをしています。あまり宗教心はありませんが、宗教的なものとは関係なくお祈りすることで心が落ち着きます。

ソプラノ Singer 峰岸 夏子 Homepage
URL:http://www.sopranonasuko.com

国際松濤館空手道連盟「夏龍会」道場
URL:http://www.karyukaikarate.com
場所:Clifton Hall(Behind the Arts Gallery)
住所:314 Church Street, Richmond, VIC 3121
電話:(03) 9849 6080
練習時間:水 PM6:30-PM8:30
     日 AM11:00-PM1:00

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