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ドキュメンタリー映画『1/4の奇跡~本当のことだから~』 入江 富美子監督 インタビュー

2月13日上映会開催!監督の思いを聞きました。

2010年2月2日掲載

 



【プロフィール】
入江 富美子 Fumiko Irie
 2児の母として子育てをしながら、アロマセラピスト、企画(講師、イベント、セミナー、グッズデザインなど)、制作(絵本など)を行っている。2005年大晦日の夜、突然感謝することの大切さに気がつき、「宇宙に感謝の量を増やしたい!」と一念発起し、主婦兼映画監督の道に入る。
 撮影、インタビュー、映像編集、そして挿入歌を作詞・作曲し、その上、ボーカルにも挑戦。こうして、仲間とともにつくりあげた山元加津子さんのドキュメンタリー映画『1/4の奇跡~本当のことだから~』は各地で反響を呼んでいる。現在は、映像制作のかたわら、監督、ミュージシャンとして、歌ったり講演をして全国を飛び回っている。(『1/4の奇跡~本当のことだから~』公式HPより抜粋)




 【作品紹介】



  石川県で養護学校の先生をしている、かっこちゃんこと山元加津子さん。養護学校の子どもたちとの純粋なふれあいを通じて、私達一人一人の存在の意味、すべての人は理由があり生まれてきたことに気づいていく。その気づきと素晴らしい真実は、医学、科学、宇宙やナスカの絵の秘密までにも発展する。
 自分の命の終期を直前にした障害を持つかっこちゃんの親友、雪絵ちゃんとの約束。その約束とは? 人々の認識を反転させ、新しい角度からの視野を与えてくれるこのドキュメンタリーは、魂に命を吹き込んでくれるだけでなく、“いのちの尊さ”“いのちを生かす大きな存在”を伝える。(『1/4の奇跡~本当のことだから~』パンフレットより抜粋)

 

--公式ホームページには「映像制作の経験がまったくなかった」とありますが、映画を製作しようと思ったきっかけは何ですか?

映画製作のきっかけは、「伝えずにはいられない思い」があふれだしたからです。
 その思いとは、
 私は長い間、自分を否定して生きて来たのですが、その否定しているダメな自分のまま、このままの自分で生きて行こう、と決めたとき、お腹が震えだし、「ありがとう」と感謝の思いが溢れ出したのです。それと同時にこれまで出会った人への感謝の思いがあふれだしたのです。
 どんな自分であっても、自分を大切にしたとき、人にも感謝でき、自分につながる全てを大切にできる!「感謝はするものではなく、あふれだすものなんだ」、と気付き感動したのです。
 その思いを伝えたい!と思ったのがきっかけでした。

 

--この映画には監督以外にも撮影・構成・編集にも携わり、さらには作品の音楽の作詞・作曲も手がけられています。2児の母から一念発起して映画を撮影するという、そのポジティブなパワーはどこから生まれてきますか?

 子供がいたから…、そして私がお母さんだったからだと思います。
 私にとって子供に伝えたいことは「あなたたちは生まれてきてくれただけで素晴らしい存在だ」ということだと思いました。
 しかし、現実はなかなかそんな風には生きることができませんし、そのことを伝えられるような自分でもありませんでした。
 自分を大切にしたとき、初めて人のことも大切にできる…、という体験をしたとき、このことを子供たちや、今苦しんでいる方たちに伝えることができたら…、と思いました。ですので、構成・編集はすべて構想としてしっかりありました。
 その頭にあるものを人に伝わるように表現するのは大変でした。
 しかし、山元加津子さんというそのことを伝えることのできるすばらしい方に出会えたこと、それを支えてくれる仲間に出会え、実現できたと思っています。

 

--監督から見てかっこちゃん(山元加津子さん)はどんな方ですか?

そのままを生きている人。
今を生きている人だと思います。
弱そうで、実は誰よりも強い心とやさしさを持った方だと思います。

 

--映画の中で中山靖雄氏(※)が「加津子さんの映画が‘いい風’に伝わりますように」とおっしゃっておられましたが、その言葉をどのように受け止められましたか?

 私が「天が期待していることを実現させてください」そう祈った直後に、中山先生は「天がまことを受け取ったらすべてうまくなっていくから」と声をかけて下さった後の言葉でした。
 ですので、「うまく」とか、「かっこよく」ではなく、ただ、私は、あのとき感じた感動、感謝があふれた瞬間のことだけをいいふうに伝えられるようにと思いました。
 「感動させたい」「ここで泣けてくるかも」とか人間ですから、編集のときにそんな気持ちが浮かんできました。でもいつも中山先生の「いい風に」という言葉を思い出し、そのような作為ではなく、加津子さんや、こどもたちのメッセージがいい風に伝わることだけに専念できました。ですので、この言葉は今でも私の生き方の中心になっています。
 頭で考える作為ではなく、大きな視点で「いいふうに」なるように…、そう思うと世界が広がってきたように思います。

 

--製作中のエピソード秘話『1/4の奇跡 もうひとつの本当のこと』が出版されていますが、監督の撮影中の一番の思い出は何ですか

思い出はたくさんありますが、なによりも大事だったのは、初めて自分が自分自身を信頼し進んだことです。
 映画制作のこともほとんどわからないまま、ただ思いだけで、突っ走り、子供の運動会を撮るために買ったハンディカメラで撮影し、編集し、ただ、メッセージを伝えたい一心でした。
 その伝えたい思いで、まだ映画ができないうちから、初上映のため、千人の会場を予約してしまいました。
 また、本気を伝えたい!と映画の曲は、全て作詞、作曲しました。また自分で歌うため、ボイストレーニングを受けました。
 なので、映画を作りながら、千人の集客、ボイストレーニングと、毎日が映画への全力投球でした。そのとき、子供は一年生と幼稚園の年中でしたので、ただただ必死な日々でした。
 しかし、結果は、みなさんが力を貸してくださり、初上映会は千人の会場に立見がでるほど、集まってくださり、今こうして、日本だけでなく、海外にも広がり驚いています。
 苦労はたくさんあったのですが、何も知らないおかげで、「苦労」と言うより、乗り越えるべき挑戦だととらえることができたことがよかったです。
 思い出としてはやはり力を貸して下さった方々や家族の協力です。

 

--監督個人的に一番思い入れのあるシーンはどのシーンですか?

 いろいろありますし、ほぼすべてですが…、やはり中山先生の「いい風に」という言葉は映画全体のメッセージを一言であらわしてくださっていると思います。
 また、雪絵ちゃんのメッセージが中心になりますが、
すべての人、全員が「誕生」という瞬間を経験していること、命から命へとつながっているということで、出産シーンは私にとってどうしても外せないところでした。

 



--また、キャストとして登場されているかっこちゃん、大ちゃん、雪絵ちゃんの言葉で一番心に残る言葉は何ですか?

加津子さんの言葉
人は必要にならないと、(その人の言葉とか)心に入れられないんだな


だいちゃんの詩
僕は僕やから 大切にできる 僕は僕やからがんばれる 僕が僕やから 好きになれる

雪絵ちゃんの願い
「みんなが違っていて大切な存在だということ、病気や障害も大切だってこと、世界中の人が当たり前に知っている世の中にして」
この言葉を聞いた時、「わかった!雪絵ちゃん、私が映画を通して世界に伝えるから」と誓いました。
この思いを映画を通して世界中に届けることができたら…、と思っています。


 


(写真上)雪絵ちゃんとかっこちゃん

--オーストラリアでも雪絵ちゃんと同じMS(多発性硬化症)を抱える方が多く、また難病を抱える人たちをサポートするチャリティー・イベントが一般的に普及しており、数え切れないほど開催されています。そのことについてどのように思われますか?

 私は、この映画を制作し、初めて障害をお持ちの方のこと、またMS(多発性硬化症)のことを知りました。
 自分を大切にして生きている人、そしてそれを伝えてくれた人が障害をお持ちの方でしたが、私は撮影中、養護学校の先生であること、障害を持っている方の映画を創っている意識が全然ありませんでした。
 しかし、完成後、日本でも障害のある方たちに受け入れていただけ、応援していただくことが本当にうれしくてなりません。
 私も二人の子供が重度のアトピーで数年間ですが闘病しました。
 そのときの私がこの映画を見ても、実際の日々の大変さはなにも変わらないし受け入れられたかどうかわかりません。
 でも、そのとき感じたことは、その人や家族の苦しみを取り除くことはできなくても、周囲の人の見る目が変われば何かが変わる・・・。病気にたいしてもモノの見方が変わればなにかが変わる・・・そう思っていました。
 ですので、この映画がいい風に伝わり、少しでもお役にたてたらとてもうれしいです。

 

--世界にも広がっている『1/4の奇跡』の‘輪’をどのように感じられていますか?

すべては見て下さった方の思いです。
湧き上がる思いが今、この輪を広げてくださっています。
人の心の奥に流れるものは言葉を超えて、つながっているということを体験させてもらっています。人の素晴らしさを日々、感謝しながら感じています。

 

--映画を撮影して一番良かったと思うのはどんな時ですか?

 自分自身が映画のメッセージを生きられるようになっているということです。
 自分を否定していきていたときは、自分につながるものを否定して生きていました。しかし、映画を通して自分自身が一番そのメッセージを浴びることができました。
 そのおかげで自分を愛することがどれほど大切なことで、人を大切にできることであるかを実感できるようになりました。
 人生を取り戻せた感じがしています。
 これから今まで恩返しできなかったことを、映画を通して恩送り、また感謝送りできたらと思っています。
 やっと「いい人」のふりをして生きるのではなく、本当の意味で、なにかお役に立てる生き方ができるようになったように思います。
 自分がかわることで、家族や友人、そして応援してくださる方々に心から感謝できるようになれたのです。
 自分を愛することは「人を大切にし、感謝できること」という素晴らしさを自身で体験したからこそ、私が「これからの活動を通して何をしていけるか・・・」という部分のゆるがない生き方を見いだせたと思っています。

 

--今後どのような作品を撮影したいですか?

 私はすべては「大自然が創った最高傑作」として自分を生きることの素晴らしさをいろんな角度から描けたらと思います。

--メルボルンで『1/4の奇跡~本当のことだから~』を鑑賞される方へメッセージをお願いいたします。

 みなさま、このたびはメルボルンで上映していただけること、とてもうれしく感謝でいっぱいです。
 雪絵ちゃんの願い「みんなが違っていて大切な存在だということ、病気や障害も大切だってこと、世界中の人が当たり前に知っている世の中にして」この思いを映画を通して世界中に届けることができたら…と思っています。
 映画を見ていただき、是非みなさんのご家族や大切な方にこのメッセージをお伝えいただけたらと思います。
 いつか、私もメルボルンでみなさまにお会いできることを楽しみにしています。
 みなさんに「いいふうに」伝わりますようにと願っております。

日本より感謝をこめて


中山靖雄氏 Mr Yasuo Nakayama
財団法人修養団 元伊勢道場長。日本で初めてNPO法人を立ち上げ、子どもの教育、ボーイスカウトなど、子ども達を合宿させて、心を育てる活動をされています。
そんな、中山靖雄先生は数年前、山元加津子さんの講演を聴き、まさに「天が期待している人」と感じ、子ども達にかっこさんの本を紹介され続けています。


◇『1/4の奇跡~本当のことだから~』メルボルン上映会
URL: http://www.yonbunnoichi.net/
上映日時:2月13日(土) PM3:30~PM5:10/PM6:00~PM7:40
会場:Glen Eira City Council Gallery
住所:Corner Glen Eira and Hawthorn Roads, Caulfield VIC 3162
アクセス:Melway Ref 68 A2  トラム64 ストップ54
入場料金:前売り 大人$10.00、子供(15歳以下)$5.00
      当日 大人$15.00、子供(15歳以下)$10.00
お問い合わせ:Email yonbunnoichimel@gmail.com
       TEL: 0425 258 373

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