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ライフスタイル

豪大陸を徒歩で縦断!「あるきにすと」吉田正仁さん

メルボルンからダーウィンまで、砂漠を越えて4,200キロ

2011年10月27日掲載

 

10月26日水曜日の午後。
街がエリザベス女王のパレードの余韻に包まれていたころ、GO豪メルボルンと同じ階にオフィスがある留学センターMTSCのIさんが編集部にやってきた。

「今、オーストラリア大陸を徒歩で縦断するという人がうちのオフィスの電話を使って、日本のテレビ局と話をしてるんですよ。この方、近々テレビに出るようで。
GO豪メルボルンさんも、ご興味あるかと思いまして」

もちろん、と勇んで参上した編集部スタッフの前に現れたのは、
全身真っ黒に日焼けして引き締まった体躯に、人なつこい笑顔の自称「あるきにすと」吉田正仁さん。




吉田さんは2009-10年にはユーラシア大陸(約16,000キロ)を、2010-11年には北米大陸(約6,400キロ)を、
どちらも2本の足だけで歩き抜いたという強者だ。
この「歩く人=あるきにすと」、
今度は「オーストラリアの砂漠を歩きたい」と、踏破した北米から上海経由のフライトで18日メルボルン入り。
豪大陸縦断に必要な情報収集や物資の調達で9日間過ごし、本日(10月27日)朝、時速5キロの4ヶ月の旅をスタートさせた。
 



なぜ、歩くのか?

 


これまで何千回と問われたであろうこの質問に、吉田さんは笑顔でこう答える。
 

「2003年ごろ、バスや列車でヨーロッパやアジアを旅しました。
最初は楽しかったけれど、いつしか好奇心が摩耗してしまって。
でも時速5キロというスピードで旅をすれば、
バスや列車ではただ通りすぎてしまうだけの小さな街や村を訪れ、
そこに暮らす人々に会うことができると思ったんです」


旅の原点は、03年にヨーロッパへ向かう飛行機の窓から見た景色がもたらした、あるイメージだ。


「自分の知らないところで、
流れている時間があり、暮らしている人たちがいる。
今この瞬間にも、
草原を馬に乗って駆けている人もいれば、槍を持って獲物を追っている人間もいる」


今まで考えたこともなかった、こんな、単純で当たり前の事実に衝撃を受けた。
それから吉田さんは、ずっと旅を続けている。


これまでの旅の中で一番記憶に残っているのは、カザフスタンだ。
地平線以外何も見えない砂漠のでこぼこ道で出会った人々のやさしさは、心に強く残っている。

ロシア語もカザフ語もほとんど話せないアジア人が突然目の前に現れて、しかも上海から歩いて大陸を渡るという。
カザフの人々はさぞかし驚き、訝しんだことだろう。
それでも彼らは自分たちの家に吉田さんを招き入れ、食事も水も惜しみなく与えてくれた。

「どこに行ってもたくさんの人に助けられます。
ただカザフでは、厳しい環境の中で受けたホスピタリティーだったからこそ、本当にありがたかった」




カザフで吉田さんをもてなしてくれた家族。
(吉田さんのブログ「ALKINIST -あるきにすと」より転載)


 

カザフの道を行く吉田さん。テント、水、食料など必要なものだけを積んだリヤカーを引いて歩く
(同ブログより)




時速5キロで進む旅は、大自然と向き合う旅でもある。
泥濘む道もあれば、石だらけの道もある。
どしゃぶりも、肌を焼くような夏の日差しも、凍りつくような吹雪も、この身ですべてじかに受け止めなければならない。
 

一番の危機は、ユーラシア大陸横断も終盤に差し掛かった昨年のこと。
ブルガリアで凍傷にかかり入院、あわや手を切断しなければならないかもしれない、という状況に陥った。
氷点下20度の中を歩き続けた末でのことだった。
幸い切断は免れた。


あるときはカザフの何もない一本道の真ん中で、リヤカーの車輪が故障して、動けなくなった。
一晩待ったが車一台、人一人通らない。
次の日の食料も限られている。
いらない荷物は捨てることにし、歩いた。
15時間くらい歩いたころ、ようやく通りかかった車に助けてもらった。
 


GO豪メルボルン編集部で質問に答える吉田さん



旅の間、悪意ある人に出会ってしまうこともあった。


ロシアの田舎道で、一人の羊飼いが話しかけてきた。
ロシア語分からないよ、と身振りで伝えると、何を思ったのかいきなり吉田さんの胸ぐらを掴んで殴りつけてきた。
走って逃げた。


ウクライナで現地の人の家に泊めてもらった時。
外に置いておいた荷物が全部盗まれてしまった。
警察に通報し、犯人が捕まって荷物は無事返ってきた。
盗んだのはジプシーの子供だったが、
「泊めてくれた一家も、グルだったような気もします」



さまざまな国の、さまざまな言葉の、さまざまな肌の色をした人たちに出会ってきた。
大きな街を抜け、誰もいない荒野を通った。
2009年からの2年間、2万2,400キロを歩いてきた吉田さんのオーストラリアの旅は、いったいどんなものになるのだろう。

 

これが、今吉田さんが計画しているルートだ。


(同ブログより)


メルボルンからアデレードを目指し、ウルルへ。
ウルルからダーウィンに向かって北上する。全行程約4,200キロ。
 

吉田さんは、こう話す。

「実は以前、オーストラリアはあまり興味がなかったんです。
先進国を旅することにそれほど惹かれなくて。
それが豪州大陸の砂漠を歩きたい、と思うようになって、
砂漠のことを調べ始めて分かったんですが、今回の旅が一番ハードになるかもしれません」
 

オーストラリアはこれから一年でもっとも暑い時期を迎える。
吉田さんが必ず立ち寄りたいというウルル(エアーズロック)周辺の1月の平均最高気温はおよそ40度。
40度の砂漠を毎日、調子さえよければ時速5キロで10時間、一日50キロ歩くのだ。
地図によると豪州中央部の砂漠地帯で、2箇所のガソリン・スタンドの距離がもっとも離れているところで250キロだと言う。


一番の課題は、この250キロを踏破するために水をどれだけ持っていくか、ということ。
早ければ5日で次のガソリン・スタンドまでたどり着き、水と食料を補給できるわけだが、
そうスムーズに運ぶかどうかは、もちろん分からない。


どんな自然と向かい合い、どんな人々と出会うのか。


「アルキニスト」の豪州縦断の旅、彼のブログから、ぜひリアルタイムで追ってみてほしい。



吉田正仁さんブログ「ALKINIST -あるきにすと-」
http://alkinist.blog111.fc2.com/

 


セント・キルダから、メルボルンの街を望む。(写真:吉田さん提供)

 

取材:高阪竜馬、田部井紀子 文:田部井紀子 写真(キャプションのないもの):高阪竜馬

コメント

今までに書き込まれたコメント

すごい   (2011-10-27)

オーストラリアを徒歩で縦断とは、純粋に驚きです。インタビュー内容も面白くて、すごいよかったです!またこういった興味深いインタビューを期待しています!

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