interview
日本人ソサエティ

日本貿易振興機構(JETRO)メルボルン・センター所長 林 道郎氏 インタビュー

オーストラリア企業のより良い対日投資を目指して。

2008年10月20日掲載

【プロフィール】
林 道郎 Michiro Hayashi
新潟県生まれ。1984年4月日本貿易振興会(現・日本貿易振興機構)入会。日本海外調査部、対日投資部、JETROの国内外事務所(ニューヨーク、秋田、諏訪)、外務省出向等を歴任し、2007年12月よりメルボルンセンター所長としてメルボルンへ赴任。 

 

インタビュアー:長谷川 潤、大喜多 良美 

 

--JETRO(日本貿易振興機構: Japan External Trade Organization)とはどのような組織ですか?

経済産業省を主務官庁とする独立行政法人です。通商政策を実行する公的な機関で、直接投資や貿易など、国際的な経済活動に関する幅広い分野で企業を支援しています。取り扱う分野の広さという意味で、世界的にユニークな組織だと思います。オーストラリアでは、シドニー、メルボルンの2箇所に置かれています。
促進的な意味を持つ事業の重点は、日本のおかれている経済情勢等に応じ、時代ごとに変わってきました。現時点では、対日直接投資の促進が最大の比重を占めています。関連して先端技術交流などにも取り組んでいますし、日本企業の輸出促進や、オーストラリアではあまり関係ありませんが開発途上国支援なども大切な事業です。また、もう少し基礎的な活動として、日本企業の参考に資する海外情報の調査、日本企業・海外企業双方からのご照会に応じた個別情報提供などにも対応しています。
JETROが海外に拠点を有する組織であるということは比較的よく知られているのですが、実は日本国内にも強力なネットワークを展開しています(本部機能を有する拠点が設置されている関東圏、近畿圏を除くほぼ全県に事務所が置かれています)。そうしたことから、海外と日本の特定地域同士を結び、技術などの交流を促進するといった事業も展開しています。これも他国の貿易促進機関に比べて、際立ったJETROの特徴の一つだと思います。


--JETROメルボルンセンターでは主にどういった活動をされていますか?

メルボルンセンターは、ヴィクトリア、サウス・オーストラリア、タスマニアの3州を担当しています。
事業としては、対日直接投資の促進が最大の活動です。日本市場に関心を持っているオーストラリア企業は多くの場合、輸出や技術・業務提携から市場参入を図り、ジェトロもこれらを情報提供面などから支援しているわけですが、そこから一歩踏み込んで、現地法人などのしっかりとした活動拠点を日本に設立してもらえるよう積極的に応援しています。日本市場で成功を積み重ねていくには、自ら日本の中で根を下ろし、自身で市場を見極めて活動しないと、通常は十分な結果が出ません。対日投資の促進は、日本政府が目標を立てて進める政策課題であり日本経済の活性化に資するものですが、当センターとしてはオーストラリア企業の市場参入に資するという意味で最大限お手伝いできればと考えています。メルボルンにはオーストラリア人の対日投資専門のアドバイザーも置いて、効率的なサービス提供を心がけています。
このほか、オーストラリアの先端技術を日本へ紹介するビジネスマッチングの機会を提供したり、オーストラリア企業向けのセミナーを開催することもあります。
当地に所在する日系企業に対するサービスも、できる限り充実を心がけています。例えば、今年の6月からシドニー・センターと合同で、日系企業に対するニュースレターの配信を始めました。JETROが日々取り組んでいる調査などの成果やお役に立てそうな情報を盛り込んでいます。
また当地域への貢献も活動を進める上で大切な要素のひとつです。州などの自治体のほか、メルボルン日本商工会議所、メルボルン日本人会、ヴィクトリア豪日協会、ヴィクトリア日本クラブなどとも連携し、地域への貢献を最大限効果的に進めていきたい考えです。


--先日開催されたメルボルン・大阪市30周年記念式典ではどのようなことをされましたか?

大阪セミナーにおいてプレゼンテーションの機会を得ましたので、ジェトロのシドニー・センターや大阪本部とも連携の上で、日本、とりわけ大阪のビジネス環境などを紹介させていただきました。大阪市ご一行が来豪される際の準備もお手伝いしています。大阪市とメルボルン市は双方ともビジネス資源を有する成熟した経済都市であり、この両市を軸にした経済交流が今後も進展していくことに少しでも貢献できればという思いです。またオーストラリア南東部との経済交流に関心を示す日本の他地域にも、ヴィクトリア州やメルボルン市以外も含め各地域の魅力を伝える機会が増えていけばいいと考えています。


--オーストラリアの企業に対する印象はいかがですか?

比較的最近までは、オーストラリア企業の中で、日本に拠点を構えてまで進出するという「対日投資」に取り組む例というのはさほど多くなかったかもしれません。現在でも直接投資残高などを欧米やアジア地域に比べると目立っていませんが、近年は着実に手応えを感じています。バイオ医薬などのテクノロジー関係、観光・不動産開発など幅広い分野にわたってオーストラリア企業にある程度の余力が生じ、一過性の取引きにとどまらず地に根を下ろした事業を志す企業が出てきた現われと感じています。


--今後のメルボルン・センターの活動予定は?

現在、日系企業に対する活動調査を実施中です。この調査はアジア地域では過去20年以上に亘る実績があり、オーストラリアにおいてもかなり以前に行われたことがあったのですが今回はたいへん久しぶりの実施となります。この調査で日系企業の経営実態や活動上の問題点などを捉えることによって、できる限り当構事業活動やビジネス環境改善などに反映していきたければと考えています。回答内容は全て集計・分析した上で発表いたしますので、企業の個別情報が対外的に公表されることは一切ありません。該当する日系企業の皆様には、是非ともご協力いただければ幸いです。
なお、この調査はご協力いただいた企業にはもれなく報告書を提供させていただきます。またその結果を踏まえたセミナー開催なども検討したいつもりでいます。
またオーストラリア企業を対象とした日本市場セミナーも開催する予定です。オーストラリアの貿易促進機関であるオーストレード(Austrade: Australian Trade Commission)との共催で、日本市場に対する関心を喚起する目的で毎年実施しているものです。その結果として、対日投資関心企業に対する情報提供にもつながればと期待しています。


--将来日本を背負っていく若い方へのメッセージをお願いします。

何らかの目的を持ってメルボルンへ来られている方が多いと思いますので、ぜひ初志を貫徹していただくことを期待します。「何か学ぼう」と思っているのは、いろんな意味で「若さ」に満ち溢れているからこそだと思います。他方で、そういう時期は、努力次第で限りなく学べるこという価値自体に気付かないことも多いかもしれません。今思えば自分自身も学生時代は決して学習意欲が高いとは言えず、いまさらながら反省することがままあります。ましてや海外で、とりわけメルボルンのような恵まれた環境で学べるということは、とても貴重です。そのような機会は本当に大切にし、ほかのことを忘れるくらいに勉強してみてはと思います。その体験は必ず将来に生きてきます。そしてその結果として自分自身をどのように高めていくことができるのか、あわせて考えてみればいいのではないかと思います。他方で、オーストラリアはとても魅力的な国ですが、あまりこの国だけにこだわる必要はないかもしれません。日本で、そして世界で、自分自身が培った能力・力量を最大限生かすにはどうすればいいかという発想で将来を設計していけばいいと思います。


--メルボルンの印象はいかがですか?

とても住みよい街です。昨夏、いきなり40度を超える灼熱に遭遇したのには少し驚きましたが、そのようなことは非常な例外で、年中これほど温和な気候に恵まれたところは世界的にめずらしいのではないでしょうか。落ち着いた雰囲気がいいですね。ヴィクトリア州というとオーストラリアの中で産業面の中心地と聞いていたのですが、そればかりでなく芸術や文化の薫りが高い街であるところも魅力です。


--プライベートではまっていることはありますか?

実は、私は「ロックシンガー」でもありまして…(笑)。本当はバンドを組んで活動したいところなのですが、残念ながら機会に恵まれていません。何とかならないものでしょうか。それ以前に、最近はたいした活動ができていないのが悩みです。いくつか理由もあり個人的に所有している機材すら完全にセッティングできていないのですが、せっかくオーストラリアの芸術の都メルボルンですので、ぜひメルボルン録音の作品を仕上げたいと思っています。


--個人的なこだわりはありますか? またこだわりの物などありますか?

今使っている電子辞書は、自分なりにかなり探し回った結果、行き着いた製品です。Yシャツの胸ポケットに入れられるほどの小型ながら、英英辞典、英連語辞典、英類語辞典、百科事典まで搭載されている、英和辞典の日本語逆引きができる、単語登録数が充実し分類も可能、暗いところではバックライトを点灯することもできる、といったところが、とても気に入っています。大きな機種を含めると機能や収録内容ではこれを上回るものがあるのですが、この小ささでこれだけ充実しているのは他には見当たりません。機動的にいつでもどこでも持ち運べるのがいいですね。

 

◇是非お聞きください。
タオルが大好き/作詞・作曲:純粋少年  シャツズ Album『濃い水色』より


<シャツズ ユニットメンバー>
純粋少年(vocal/engineering)
未完成人(backing vocal/keyboard/guitar/programming)
半分(backing vocal/guitar/keyboard/合いの手)
原 基久(keyboard/base)
※実は、「純粋少年」が林所長なのだそうです。

 

日本貿易振興機構(JETRO)メルボルンセンター
URL:http://www.jetro.go.jp/australia/
住所:Level 26, 35 Collins Street, Melbourne, VIC 3000
TEL:(03) 9654 4949
FAX:(03) 965 2962
開所時間:月ー金 AM9:00-PM5:00
 

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