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ノリカのやっぱり犬が好き♥

第3回:別れの言葉は「ゴー、ドギーズ」




むかーしむかし。

メルボルンは西、フッツクレイと言う街に、一人のおばあさんが、住んでおりました。


名前はヘイゼル。
ヘイゼル・サイモン。

いや、そんなに昔でもないです。
ヘイゼルが亡くなったのは、2007年。
96歳でした。1911年生まれ。


一族郎党「赤・青・白」に染まっているサイモン家総勢14人の頂点に立ち、まるで一家のシンボルのような、赤・青・白おばあさんでした。


亡くなる数年前、90の大台を越えてなお、上から下まで赤・青・白で着固め、孫たちに腕を支えられながら、スタジアムに行っていた。

さすがに高齢がたたってゲームに足を運べなくなってからは、テレビ中継を見ながらも、
「C'mon Dogs! Go and get them!」
と叫び続けた。

ご存知のとおり、負けの多いチーム、っていうか勝つことがめずらしいチームなんですが、負けるたびに、一族郎党に、こう諭した。

「Oh well. We can't change our team. We just love them, win or lost, don't we?
 (仕方ないさ。自分たちのチームは変えられないよ。勝っても負けても、私らがドギーズを愛してることに変わりはないだろう?)」



…なんなの、この、ドギーズ熱は 笑
何がどうしてそこまで、
と思ってるでしょそこのあなた。
このコラム3回分読んで。



どうしてかって言うとね。


今のAFL。
シーズンになれば街中大騒ぎの国民的エンターテイメント、
プレーヤーたちの年間契約額ったらケタ違い、
巨大なお金が動きまくる超・大規模ビジネス。

が、むかーしむかし、そのむかし。
AFLがまだVFL、Victorian Football League、つまりメルボルンのあるビクトリア州内だけのリーグだったころ。


プレーヤーたちは、地元に住むフツーのお兄ちゃんたちで、平日はほかの仕事して時間のあるときに練習、週末にはそれぞれの街にあるスタジアムで、ホーム戦、アウェー戦していた。


超・ローカル、草の根コミュニティー的スポーツだったのですよ。
「隣町のやつらなんかに、負けてたまるか!」
みたいな。
「おい、今年の祭、どこそこ町の神輿は、なんかスゴいらしいぞ。俺たちも、やってやろうじゃねえか!」
(って、日本でほんとにそういう感じなのかよくわかんないですが)
みたいな、
超・下町的、地元根性丸出しスポーツだった。


フッツクレイに住んでて、ドギーズのファンじゃないなんて、考えられない。ありえない。
ダメ。ぜーったいダメ。
村八分。

このおばあさんの娘で、前回、前々回と登場したベッキー、ティムのお母さんにあたる、ジル。


赤・青・白おばあさんの血を濃く、非常に濃く受け継ぐ彼女などは、

「フッティーに行くのは、楽しむためではない。
地元チームを、支え、励まし、彼らとともに一喜一憂するためである」

とまで言い切っています。今もなお。

さて、つい先日のこと。
ジル、ベッキー、ティム他サイモン家のメンバーが集って、ブルドッグスのホームグラウンドWhitten Ovalに行きました。
赤・青・白おばあさんヘイゼルの、散骨をするために。


別れの言葉は、
ゴー、ドギーズ。


      

(左)ヘイゼル94最の時。 (右)ブルドッグスのホームグラウンドで散骨するジル。




 

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