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岡山県の酒イベント、メルボルンにて開催

4蔵8銘柄の個性

2025年10月29日掲載

 2025年10月上旬、岡山県のお酒の魅力をオーストラリアに伝えるシン岡山プロジェクトが開催されました。
GO豪メルボルンでは、10月4日のPrahran Marketでの試飲ブースと、10月6日にメルボルン中心部のQT Melbourneで開かれた業界関係者向けの試飲・商談会を取材しました。


岡山県は、酒米「雄町(おまち)」の原産地として知られています。
雄町は、山田錦や五百万石など、国内に現存するほとんどの酒造好適米のルーツとなった品種です。現在でも、全国の約90%が岡山県で生産されています。
この雄町米は、日本で唯一の「原生」酒造好適米。栽培が難しく、味にも独特のクセがあるため、扱う蔵元を選びます。しかし、その個性こそが通好みの味わいを生み出すと言われています。
一度は生産が途絶えたこの米を蘇らせた岡山の人々が、今度はその魅力を世界へと広げようとしています。


 

シン岡山プロジェクトは、岡山の誇る日本酒を世界に発信するために立ち上げられた取り組みです。
県内の4つの蔵元──三光正宗嘉美心酒造板野酒造本店室町酒造──が協力し、「岡山の新しい酒文化=シン岡山」をテーマに、現地での試飲会や商談会を通して岡山の酒の魅力を紹介しています。


 

岡山県は、酒造りに適した清らかな水と肥沃な土壌に恵まれ、古くから多彩な酒を生み出してきました。
なかでも、岡山が原産の雄町米で仕込んだ酒は、ふくよかでまろやかな味わいが特徴で、世界の日本酒ファンからも高く評価されています。
シン岡山」では、こうした岡山ならではの酒の個性を、海外の人々に直接体験してもらうことを目的としています。


今回、その4蔵がそれぞれ2銘柄、合計で8銘柄の自慢のお酒をプロモーションしました。
その銘柄は以下の通り。

● 山廃純米「さくらをどうぞ」ー 三光正宗
「山廃純米「さくらをどうぞ」」は、雄町米を使い、伝統的な山廃仕込みで醸された純米酒です。複雑な酸味と旨味が特徴で、深いコクと味わいを持ちます。チーズのような洋風の食材とも相性が良く、幅広いペアリングを楽しめる銘柄です。

● 三光 ひのくち 生原酒 ー 三光正宗
しぼりたての生原酒を、アルミ缶にパック。非加熱のフレッシュな味や香りをいつでも楽しめる。飲み口はキリッと辛口ながら、芳醇なコクが感じられ、冷やで飲むと一層味わいが引き立つ。

● 木陰の魚 ー 嘉美心酒造
岡山名産の白桃から採取した白桃酵母で醸した、フルーティでジューシーな低アルコール日本酒です。アンズやスモモをかじったような甘酸っぱく爽やかな香味で、後味もすっきり。食前酒はもちろん、チーズフォンデュにも合います。

● しゅわしゅわ ー 嘉美心酒造
瓶内二次発酵による自然な微炭酸が特徴の発泡性清酒です。スッキリとして爽やかなドライタイプで、ほんのり麹の香りがする日本酒で、「しゅわしゅわ」とした発泡感が楽しめます。

鬼ノ城 純米吟醸板野酒造本店
地元・総社市のシンボル「鬼ノ城」の名を冠した純米吟醸。岡山産の雄町米を使用し、穏やかな香りとキレの良い後味が特徴です。やわらかな旨味と上品な酸が調和し、冷やでも燗でも楽しめる一本。料理の味を引き立てる食中酒としても人気があります。

二面 雄町米 つるし備前焼 純米醸板野酒造本店
雄町米を100%使用し、伝統的な「つるし搾り」で丁寧に仕上げた純米酒。さらに備前焼の酒器で熟成させることで、まろやかで深みのある味わいに仕上がっています。落ち着いた香りと厚みのある旨味が特徴で、余韻の長い上質な味わいを楽しめます。

櫻室町 純米吟醸 佐近室町酒造
古い歴史を持つ室町酒造の看板銘柄のひとつ。華やかな吟醸香と、雄町米ならではのふくらみのある旨味が調和しています。上品でありながら力強さも感じられる味わいで、海外の試飲会でも高く評価されています。

櫻室町 甘熟とろける清水 白桃酒 室町酒造
岡山特産の白桃を贅沢に使用したリキュールタイプの日本酒。とろけるような甘みと芳醇な香りが口いっぱいに広がり、デザート感覚で楽しめます。冷やしてそのままはもちろん、スパークリングワインのように割っても美味しい一本です。


 

オーストラリアの食文化の発信地・メルボルン。
そのメルボルンの地元マーケットの中でもとりわけ上質な食材がそろう Prahran Market では、10月4日、World Sake Day(10月1日) を記念したイベントが開催、和太鼓の演奏や長崎和牛などが振る舞われるとともに、日本酒ブースが設置されました。


シン岡山プロジェクト もこのブースに参加し、マーケットを訪れた人たちにお酒を振る舞いました。


 

立ち寄った人々は、初めて味わう雄町米の深い旨味や、白桃酵母のフルーティな香りに驚きの表情。
「日本酒ってこんなに種類があるんだ」「飲みやすくて香りがいい」と感想を語る人も多く、
メルボルンの秋のマーケットに、岡山の蔵元たちの熱い情熱が伝わっていました。


 

 10月6日には、CBDにある高級ブティックホテル QT Melbourne にて、業界関係者向けの試飲および商談会が開催されました。
会場には、レストランやバーのバイヤー、ソムリエ、日本酒に関心を持つ輸入業者などが集まり、蔵元たちと直接言葉を交わしながら、それぞれの酒の特徴や製法、ペアリングの提案などに熱心に耳を傾けていました。


 

静かな熱気に包まれた会場では、参加者たちがグラスを傾けながらメモを取り、真剣な表情で味わいを確かめる姿も。
岡山の酒の奥深さと可能性が、メルボルンのプロフェッショナルたちにも強く印象づけられたひとときとなりました。


 

取材を通して感じたのは、岡山の酒が持つ奥深い多様性と、それを支える蔵元たちの情熱でした。
どの銘柄にも個性があり、飲むたびに新しい発見があります。


 

個人的には、芳醇な日本酒・ワインも、スッキリとした焼酎やウォッカのようなキレのあるお酒も好みです。
その両方の特徴を併せ持つ、アルコール度数20%という「三光 ひのくち 生原酒」は特に印象に残りました。
しぼりたてならではのフレッシュな香りと、濃厚なのに後味の軽やかさが絶妙で、何度でも口にしたくなる味わいでした。


 

この銘柄を含め、オーストラリアではまだ販売されていないお酒も多いとのこと。
いつかこちらでも気軽に手に取れる日が来ることを心から楽しみにしています。


 

主催: 岡山県Tryber Pty Ltd

Tryber Pty Ltd は、日本とオーストラリアの架け橋となり、世界に誇れる日本の食べ物・酒・製品・文化をオーストラリアで流通、浸透させるお手伝いをしている会社です。
オーストラリア進出のご相談・お問い合わせは ウェブサイト から。

 

文・写真(商品写真を除く):矢部勝義
動画:伊集院利彦

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