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愛しのリオン(最終回)

「今、どこにいるの?」と聞く私に、
リオンは、「メルボルンにいるよ」と答えた。
もう昔のようにリオンの声を聴いても胸の高まりはなくなったが、懐かしかった。
「会いたいな」
昔だったら、そんなに気軽に言えなかった言葉も、もう彼に完全に未練がなくなっていたので、自然と口から出た。
「うん。いいね」
「明日、会社の近くでお昼を一緒にしない?」
「いいよ」
翌朝、出かけるときは、ちょっぴりどんな服を着ていこうかと迷った。未練はなくても、ちょっと秘密の恋をしている感じ。
カフェで会ったリオンは、相変わらず格好良かった。
「私、結婚したの」
「そう、それは良かった。おめでとう」とリオンは微笑んでくれた。
「フランス人の彼とメルボルンに戻ってきたの?」
「違うよ。一人で来たよ。娘に会いにね」
「え、娘?子供がいたの?」
ゲイの彼には子供がいるはずはないと思っていた私はびっくりした。
「うん。レスビアンの友達に頼まれてね。精子を提供したんだ」
「そうだったの」
嬉しそうに娘の写真を見せてくれたリオンは、普通の親バカの父親の顔をしていた。
色々互いの近況を教え合って彼と別れた後、私は、娘のことを話す時のうれしそうな彼の顔を思い出して、なんだかほっとした。
「そうよ。あんないい男が子供も残さないなんていうのは、もったいないと思っていたけれど、彼に子供ができて良かったわ」と、つぶやいていた。そして、男と女は友達になれないと言う人がいるが、なんだか彼とはこれからもずっと友達でいれそうな気がした。

ちょさく


 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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