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ノリカの「やっぱり犬が好き♥」

第1回:コリンウッドとなくしたメンバーシップ




「Hey ノリ、今日のゲーム行く? もちろん行くだろ?」


金曜の午後。フッティ友のティムからの電話だ。
う~ん…相手コリンウッドなんだよね…いや~どうしようかな…う~ん…


「C'mon ノリ、 行かなきゃダメだって。行かなかったらメンバーシップ、キャンセルしちゃうぜ」


そのメンバーシップが、こないだセインツに酷い負け方して、あんたとやけ酒飲んだあたりから見つからないんだって。


「何? それってまさか言い訳じゃないだろ? ええ、ほんとに見つからない? 
まあいいよ、うちに一枚スペアのチケットあるから」


結局、説き伏せられた。


「じゃ7時20分にフッツクレイ駅で」




初めまして、Noricaです。

我らが愛する『ドギーズ』こと、ウェスタン・ブルドッグス


ベースはメルボルン西郊フッツクレイ、メルボルンきっての労働者階級エリア。
優勝したのはたった1度、58年前の1954年。


つまり、私を含めて、あまり裕福とは言えない人種がサポーターのほとんど。
スポンサー、少ない。
一言で言っちゃえば、地味で貧乏な球団。


ただし「ウチは先祖代々・一族郎党ドギーズ・ファン」という地元民も多く、ティムのとこのサイモン家も、しかり。

私は移民の日本人のくせにフッティー・ファン、
しかも地元フッツクレイだからって迂闊にもドギーズ・ファンになっちゃった人間だが、
そんな私のために「これはあんたのためっていうより、ドギーズに対するささやかな貢献だから」と言って、
一年間ホームゲームをタダで見られるという、決してお安くはないメンバーシップ・カードを買ってくれたりする一家、
それがサイモン家。


そんな熱いサポーターがいるのがドギーズ。
野球で言えば広島カープだ。



対する本日のお相手。
『コリンウッド』もしくは『パイズ』こと、コリンウッド・マグパイズ。


誰の目にも異議なく読売ジャイアンツ。


ユニフォームが白黒なのも、
ハデな選手が多いのも、
金持ちなとこも、
ファンがダントツで多いのも、
アンチが多いのも、
まさしく、

ザ・読売巨人軍である。


だからコリンウッド相手のゲームは、嫌なのだ。行きたくない。




白黒サポーターの数の多さにまず圧倒され、

「俺たちコリンウッドだし」的な自信満々プレーに気圧され、



対するドギーズの

「ああっ!? なぜそこでゴールを狙わない!? 外してもいいから蹴っちまえよ!?」

的プレーにがっかりし、
負け試合の帰りには、頭に血が昇ったティムと姉のベッキーが、白黒ファンとあわや掴み合いになったりするし、








何より今シーズン(も)、ドギーズ、すんごい調子悪いし、
今日もまた絶対、セインツの時みたいにボロ負けするし…。



私は、弱気であった。

結局、スタジアムには行かなかった。



「Oh well, まあそうだよね。テレビで見てるほうが賢い選択かもね」とティムに言われた。




ところがこのゲーム。

とりあえず観とくか、とテレビを点けたら、第2クオーターの時点で、何と、勝っていた。

後半最後に、あの「俺たちコリンウッドだし」的プレーがプチ炸裂して逆転負けはしたものの、
前半なんて細かく繋いで押しまくり、全体として結局すごくいい試合だったのだ。




ごめんよドギーズ。ごめんよティム。

なくしたと思ったメンバーシップ・カードは、その数日後、ひょんなところから出てきた。




やっぱり犬が好き。



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ノリカ・プロフィール

1971年東京生まれ。メルボルン在住。フリーで物書きをしつつ、日本語書籍専門の古本屋バーニングブックスを経営。家族はオーストラリア人の夫(フッティーにまったく興味なし)、8歳の娘(ドギーズが一番、キャッツは二番目に好きという浮気者)と、6歳の猫。動物は犬より猫が好き。
Web: kiku-kaku.com

 

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ご存知でしたか? 日本でもAFLをプレーしている若者たちがいるんです! AFLをこよなく愛する日本AFL『JAFL』のスタッフと在メルボルンの日本人Footy Loversがお届けするコラム、フッティー初心者の方も、長年応援するクラブを持つ熱烈なサポーターの方も、お気軽にお立ち寄りください。 www.jafl.org

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