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川島由紀恵(仮名)の話(1)

(インタビュー記事です)
由紀恵さんに初めて会ったのは、ビクトリア日本クラブ(JCV)が企画したビクトリア国立美術館のエジプト展のツアーに参加した時だった。由紀恵さんは、その時日本語のアートガイドをしてくれた人だ。彼女はフラメンコの踊り手を思わせるような彫の深い顔の美人で、体からはエネルギーが迸出るような印象を受けた。情熱をもって語る由紀恵さんのエジプトの歴史や美術品の話は面白く、豊富な知識を持つ彼女を、いつかインタビューしたいと思った。
それから一年経って、やっとインタビューが実現した。その間にもいろんな会で会うチャンスがあったが、その時、独身だけれど20歳年下のボーイフレンドがいるとか、一日6杯はコーヒーを飲むとか、普通の人には考えられないような話を彼女から聞くと、ますます彼女に興味を持った。
まず、年齢は聞いてほしくないということだったが、一見、60代に見えるとだけ言っておこう。
以下は、由紀恵さんから聞いた話である。
出身地は鎌倉。出身校は青山学院。中学校から大学まで青山学院に行った。学校では良い友達には恵まれていた。だから今でも日本に帰った時は、ちゃんと泊まるところがある。
由紀恵さんは青山学院大学英米文学科を卒業した後、全日空のスチュアーデスになった。あの頃の日本ではスチュアーデスは女の子の憧れの的だった。その後、スチュアーデスのインストラクターとなったが、段々と仕事がマンネリ化して、仕事に対する情熱を失って、変化が欲しいと思うようになった。その時目にとまったのが、カンタス航空のスチュアーデスの募集ポスターだった。そして面接の結果、めでたくカンタスに採用され、そのご縁でオーストラリアに来た。その頃は「オーストラリアみたいなあんな田舎にどうしていくの?」と言う友人がたくさんいた。


著作権所有者:久保田満里子
 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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