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AFLの戦い方

<第3回 ルールの変更点から見るAFL②>

前回のコラムでは、よりスピーディーな試合展開を求めて「ビハインドが得点された後、ゴールアンパイアがフラッグを振る前にキックインができる。」というルールに変更されたということを書きました。
※前回の記事はこちら→http://www.gogomelbourne.com.au/columns/afllounge/2060.html


そして狙い通りスピーディーな試合展開にはなりましたが、そのルール改定で試合がよくなったかというと、そうではなかった。
また違った問題が出てきたのです。


ルール変更にあわせて各チームは戦術も変更しました。
DFラインでわざとビハインド(1点)にボールを入れるようになったのです。
DFラインにボールがあるときは無理をしてボールを繋ごうとするとFWにターンオーバーされてゴール(6点)を奪われてしまうリスクがあります。


6点を入れられるよりも、とりあえずは1点で抑えて、自分たちのキックインから素早く試合をリスタートさせる。
そういう判断を行うチームが出てきました。
わざとボールを自陣のゴールに入れるシーンが増えたのです。


ルール変更により今までのキックインよりも素早くカウンターができるようになったため、ゴールを奪われるリスクが低く、しかも自分たちのカウンター攻撃につながる戦術を取るチームが増えました。


こうなってしまうと試合の面白さが失われてしまいます。
ゴール前の攻防は力の入るシーンの1つでもあり、DFが易々と自陣ゴールにボールを入れてしまっては面白くない。
そのようなシーンではブーイングが度々起こっていました。


そこで、AFLは更なるルール改定を行いました。
「わざと自陣ゴールライン・ビハインドラインにボールを入れた場合は、そこから相手チームのフリーキックとする。」
というルールに改定。

バウンダリーラインにわざとボールを出すと「デリバレイト」という反則になり相手チームのフリーキックとなりますが、このルールをゴールラインとビハインドラインにも適用したのです。


これでようやく一件落着。
DFラインでの手に汗握る攻防も見られ、ビハインドが得点された後もスピーディーに試合が再開されます。


  

 
「わざと」ボールをゴールに入れるってどのくらい「わざと」だよ!
と気になる方もいるかと思います。
でも詳しい説明はまた機会のあるときに。


AFLをいつも見ているオーストラリアのファンはこのルール解釈には精通していて、「わざと」と思われるシーンではスタジアムがどよめきます!
これは「わざと」、これは「わざとじゃない」とくっきり二分できるルールではありませんが、アンパイアの判定を積み重ねて一定の理解ができているのです。


ルールを変更したら、新しい戦術を採用してより勝てる確率を高めるチームが出てくる。
そしてよりゲームを面白くするためにルールを見直す。
そうやってAFLは成熟してきたのがよくわかります。



多少幅のあるルールに対しても実例を積み上げて、議論を重ね、それを公表して、共通の理解を得ている。


AFLは荒っぽい?
いえいえ、そんなことはありません。
このルール変更の経緯、どうですか?
白黒はっきりしないグレーにも対応する、立派な大人のスポーツなのです。


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