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小説版バイリンガル子育て 第8話 『人生とは選択のくり返しである』

 新太郎1歳4ヶ月。東京から地元の浜松に引っ越した親父に、ばあちゃん、叔父、叔母と、東京からの僕たち家族で、中間地点である、静岡県の御殿場で待ち合わせて旅行に行った。久しぶりに新太郎と会う親父とばあちゃんは大喜び。親父は、2月の親父の誕生日に贈った、新太郎の写真をプリントしたTシャツを着ていた。部屋着にでもと思って贈ったのだが、じじバカ大爆発だ。



 新太郎は、1歳1ヶ月くらいから歩き始めて、今ではほとんど転ぶことなく歩くことができるようになった。しゃべる方は言葉にはなっていないが、「アーアー」「ウー」と何か伝えようと一生懸命に声を出している。英語教育に関しては変らずに、絵本の読み聞かせや、お風呂で体を洗いながら体の部位の名称を教えたり、それに加えて、新太郎が興味を持って遊んでいるモノに対して、"What are you doing?(何やってるの?)"、"Oh you're holding a bag.(バッグを持っているんだね)"など話しかけている。

 まだ言葉は出ていないが、僕がしゃべる英語を理解しているというのがわかる事が度々あった。例えばお風呂で僕が新太郎をひざに乗せて洗ってあげるのだが、膝の裏を洗う時に、"Stretch your leg(足伸ばして)"と言うと足を伸ばしてくれて、"Bend your leg(足曲げて)"と言えば曲げてくれる。それを"Stretch,bend,stretch,bend..."と繰り返すと、伸ばして曲げて伸ばして曲げてとやるのだが、"Stretch,bend,stretch,stretch."と変則的にやると、新太郎は伸ばして曲げるのくり返しだと思っているので、曲げてしまうのだが、"bend"では無く、"stretch"と言われたのに気がついてケラケラ笑ったり、おやつをあげる時に、"Hands up if you want to eat.(食べたかったら手を挙げて)"と言って、僕が片手を挙げてみせていたら、"Hands up"と言えば手を挙げるようになった。

 この"Hands up"が出来るようになった事で、僕達は会話ができるようになった。何かを質問して、YESなら手を挙げて、NOなら挙げないというやり取りができるようになったのだ。新太郎がどこまで完璧に理解しているかはわからないが、やり取りができるのが楽しくて、僕は"Hands up if you like this car.(この車好きな人手を挙げて)"とか、"Hands up if you want to play with this.(これで遊びたいなら手を挙げて)"とか、色々と新太郎に質問をした。

 他には、動物のカードを並べて"Which animal do you like?(どの動物が好き?)"とか、"Which cloth do you wanna wear today?(今日はどっちの服を着たい?)とか、意識してwhichを多く使って覚えさせた。これにはwhichという言葉を覚えさせたいという意図もあるが、他には選択をするという事に慣れて欲しいという意味も込められている。人生とは選択の連続だ。大きなものでは、どの学校に進学するか、どの会社に就職するか、どの部活に入るか等、小さなものだと今日はお昼に何を食べようか、今日は何を着ようか、ジュースを飲もうか止めておこうか等、毎日多くの選択をして僕らは生きている。何をするにしても、自分の行動に対しては責任を持って欲しい。なんとなくではなく、自分で人生を選んで生きて欲しいという願いを込めて、僕は息子に問いかけている。(つづく)



※読者の方からの質問や応援メッセージ大歓迎です。コメントお待ちしております。

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プロフィール

高橋正彦:1977年、静岡県浜松市生まれ。中学卒業後、単身メルボルンに渡りブライトングラマースクールに入学。同校では、3年がかりで学校側に打診をしサッカー部を創立、初代キャプテンを務める。1998年中古CDショップ「音吉プレミアム」を立ち上げ、世界中の人達との交流を始める。2007年9月、単行本『イタリア人は日本のアイドルが好きっ』を出版。2009年5月には世界中のオタクと交流するOTAKU SPECIALISTとして、NHKから英語でインタビューを受け、その映像が世界80カ国で放送された。

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