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第八回 売春をしているんじゃないかなんて言われたママさんもいた

「タコさん、私の家のホームステイママ、家で売春しているみたいなの。」
タコ社長の本業の一部に、オーストラリアでのホームステイ手配がある。ある日本から来ていた女子高校生が、メルボルンに来て間もない日そう切り出して、私もぐっと身を乗り出した。そんな訳は絶対にないといろいろ聞いてみると、どうも男出入りが多い独身バツイチママさんだったようだ。多いといっても、オージー女性としては極普通の方だったようだ。しかし、日本の女子高生には刺激が強すぎたのも事実のようではある。

「済みません、済みません。」I校長先生、最後の日は一言も口がきけないままお別れしてしまった。言葉を発せられるような状態じゃなかった。

岐阜県から毎年8月に来られている、小学校の先生達の英語研修旅行がある。初日にリーダーとして自己紹介されたI校長先生、歌舞伎市川団十郎の睨みにも負けないほどの大きな目をむいて怖いくらいに話す方だった。その英語研修旅行を手配していたタコ社長もやや身構えないとならなかった。

この英語研修旅行は、いろいろな学校から先生が来られるのだが、いつもどこかの小学校の校長先生がリーダーとなっている。いままでは温厚で静かな感じの校長先生がほとんどだった。

宿泊はすべてホームステイ。一人で入る先生と二人の家があった。ところが突然、旅行に来る二日前に、よりによってこのI校長先生のホームステイが変わることになってしまった。
ホームステイの手配会社に何度も頭を下げてすったもんだの挙句にやっと緊急に見つけてもらった。そんな背景があって、もしこの代替に決めたホームステイに問題があったらどうしようと気が気ではなかった。

幸い、研修中には不具合の連絡もなく、お別れの日になりI校長先生とも再会した。ところが、先生はお会いしたときからずっと目を真っ赤にされ、最後の挨拶もできないままお別れとなった。本当に、すばらしいホームステイでそのホストの方とのお別れで感情が激昂されていたらしい。

若い学生さんたちがホームステイに来られることが多いが、60歳近い方がこうして10日弱の滞在で感激されている姿をみて、私も手配ではいろいろと手間のかかったことを忘れじーんときてしまった。あの大きな目を真っ赤にして飛行場に向かったバスの中で、I校長先生は一度大きく頭を下げられ顔を窓に向けてそのまま行ってしまわれた。

いつもは、やっと終わった、終わったとすぐに後片付けに部屋に戻るのに、このときは私も学校のスタッフもいつまでもバスを見送っていた。

タコ社長のブログ    http://plaza.rakuten.co.jp/takoshacho/

オーストラリア留学    http://www.mtsc.com.au/
(タコ社長の本業)

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プロフィール

東京は東村山からオーストラリアに移住して24年目を迎えている。その間、人種を超えてさまざまな方々と出会ってきた。そんな方々との出会いをもとにして、定住者、旅行者、中長期滞在者、学生、ワーホリなどの方々との一期一会を綴ってみることにした。また、番外編としてオーストラリア以前の一期一会も記していきたい。

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