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追憶のあるカフェ。

第4杯目は、追憶のあるカフェ。

 

初めて来たはずなのに来たことがあるように思える場所。デジャブのように懐かしい思いに浸れる場所。そんな不思議な気持ちになる場所。

追憶のあるカフェ Switch Board まるで小さな街の寂びれた商店街に来たかのようだ。このカフェを紹介するのに言葉はいらない気がしてならない。何故なら、驚くほどに絵になるカフェだから。

Switch Board で撮る写真は、まるで押し入れから引っ張り出してきた思い出のアルバムにさえ思える。

黄みがかったレトロな電球と閉まったシャッターが見事にタイムスリップを演出している。

 

その先に見えるのはまるで小さなマッチ箱のようなカフェ。

 

名前のごとく本当に狭いバリスタエリア。無駄のない動きが効率よくできるようになっている。

 

おもちゃ箱のようなスペース。幼い頃に絵本で見た場所?夢のなかでここで遊んだような?あれ?誰かとよく来た?昔、男と待ち合わせした場所?そんな気持ちになる場所なのだ。

 

このドアはきっと、どこでもドアなのかもしれない。

このドアを開けたらそこは思い出の場所になるのだ。たとえ、この場所に来たことがなくても。

 

鮮やかな緑色の壁紙とポップな絵。レトロ感満載。駅の待合室のようだ。

 

ガラス越しに人々の行き来を見ながら飲むコーヒーは、まろやかで暖かい気持ちになる。

 

おもちゃ箱でコーヒーを飲む人たちも絵になるのだ。まるで絵本の主人公のように。

「おひとりさま」のとなりで語らう「おふたりさま」きっと、彼ら初めてのデートじゃないなと思いながら、2杯目のFlat White を注文した私。

 

豆は Supreme Blend South このブレンドはミルクと合わせると本当にいい味を出す。

日本人の口にも合うと思う。そして、このカフェのこだわりは決して挽きたての豆はすぐに使わず、必ず7日から10日経った豆を使用するという。

並べられた豆たちが出番を待っているのだ。このようなディスプレイは日本にはあまりないだろう。ざっくばらんに積まれた豆たち。日本だったらさっさと棚の中に隠されてしまうだろう。まるで脇役のように。

 

このカフェは本当によく流行っている。引っ切りなしに客は訪れるのだ。

寒い冬、ヒーターを囲んで Take Away コーヒーを待つのも悪くない。

 

ここは常連が多い。そして、店員はその客の注文を覚えているのだ。客の大半は 「See You Tomorrow! 」と言って去って行く。そんな会話を何度も聞いて、朝からほっこりできるのも気持ちがいいものだ。

 

カフェの溢れかえる街でカフェがどうやって生き残るのか。

 

美味いコーヒーにプラスできるもの。新品のテーブルや座り心地のいい椅子などいらない。この街では誰もそれを求めていないだろう。美味いコーヒーがそこにあれば、椅子は客が自分でみつけるのだ。

 

カフェが育つ街、そんな街に私はいる。

 

エスプレッソを飲みに来た彼の後ろで待つビジネスマン。

 

ヨーロッパの空港でフライトを待つ恋人たちのようにも思える。

 

坂に並んだ不安定なベンチにも誰も文句も言わない。

 

無造作に置かれた机と椅子たち。

 

「団体さま」のとなりで「おひとりさま」な紳士。

 

コーヒーを片手に追憶に浸る叔父さん。

 

手書きの日替わりメニューが愛おしい。これすらも絵になるのだ。

 

カップに書かれた FW 日本ではあまりない Flat White 適当に書かれた文字も心地よい。

 

Joe のコーヒーは美味しい。そして、すごくコーヒーを淹れるのが速い。

 

追憶のあるカフェには誇りを持つ男がいるのだ。

 

この箱の中で君は何を思うのか。

 

どこでもドアの行き先は君が決めればいい。

 

過去に行くのか未来に行くのか。今にとどまるのも悪くない。行き先を決めるのは誰でもない、君だよ。

このカフェの名前を決めるのは君。

 

 

そして、このドアを開けるのは君しかいないのだから。

 

追憶のあるカフェに今日も私は向かう。そこが私のはじまりだと思うから。

この街で今日も私は生きている。

 

 

Switch Board Cafe 

Swanston Street City Town Hall の真向かいのビルの入り口の奥にあります。

 

 

 

 

 

 

 

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