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メルボルン旅行記2011 その2

メルボルン2日目。この日は朝から超過密日程だった。

まずは10時に日本人のSさんのお宅にお邪魔した。Sさんは僕と同じ浜松市の出身でメルボルンで教師をされている。僕のブログを読んで「浜松」「メルボルン」「教育」という共通のキーワードにシンパシーを感じて連絡をしてくれて、Sさんが去年日本に来た時に食事をした。

この日は、Sさんが作ってくれたタンドリーチキンを持って近所の公園にピクニックに出かけた。Sさんの息子さんもサッカーをしているので、シンタロウと一緒にサッカーをしていたら、そこに息子さんの小学校のお友達が混ざって、最後は僕たち親も混ざってボールを蹴った。シンタロウは「日本対オーストラリアだ!アジアカップみたいだ」と喜んでいた。




それにしてもこちらの公園はとてもレベルが高い。遊具は配色もカラフルで安全性にすぐれているし、手入れも行き届いている。ほぼほったらかしの日本の公園とはえらい違いだ。日本の公園もこんな風になれば、公園に行きたがる子は確実に増えるだろう。子どもやお年寄り、障害者などへのケアに関しては日本はかなり後進国である。





13時、Sさん宅にオーストラリア人の友人ラルフが彼女のインドネシア人デヴィと共に迎えに来てくれた。Sさん一家に別れを告げてラルフの車に乗り込んだ。ラルフは元々は僕がやっていたCDショップのお客さんだったのがきっかけで友人になった。2004年に日本に来てくれたときには、僕が親知らずの手術を受けていて会うことができず、1年半前にメルボルンで結婚式を挙げたときに初めて会うことができた。デヴィとは今回が初めてである。デヴィはラルフが7年前にインドネシアに行ったときに泊まったホテルで働いていて、メルボルンには1年前にやってきて交際がスタートしたらしい。二人の愛は国境も時間も越えているようだ。



ラルフにはまずカードショップに連れて行ってもらった。シンタロウのポケモンカードを買うためである。最近シンタロウはポケモンにはまっていて、相撲にはまったときのように全部のポケモンの名前と特徴を覚えている。その反面、お相撲さんのことは急激に忘れてきてしまった(この原因は最近相撲を見ることができないという理由も大きい。相撲協会には、日本一相撲が好きだった幼児ファンを失いつつあることを重く受け止めてもらいたい)。僕はこのままシンタロウのありとあらゆる知識がポケモンになってしまうことを恐れている。そこで思いついたのがポケモンカードの英語版だ。これを買い与えれば、少なくとも英語を読んで理解する能力は磨くことができるし、英語に自動的に触れるので英語力の維持にも繋がると考えた。

さて問題のポケモンカードだが、1箱買おうと思ったら200ドルだと言われた(1ドル=87円)。それは流石に無理なので半箱115ドルのところを値切って100ドルで購入した。枚数が少なくてはすぐに日本のポケモンに戻ってしまうので、絶対数が必要だった。僕は泣きながら100ドルを支払った。




次にオパールの店に連れて行ってもらった。オーストラリアはオパールが有名なのだ。4月22日に誕生日を迎える彼女へのプレゼントを買うのが目的だ。ポケモンカードが思っていたよりだいぶ高かったので、一回り小さいオパールになってしまったが許して欲しいと、この場を借りてお詫びをしたい(笑)。

買い物のあとは、図書館でやっている絵本フェアを見に行ったが、大々的にやっている割にはあまり数がなく、シンタロウはキッズスペースでほかの子たちと遊んでいる方が楽しいようだった。






その後、小腹がすいたので何か食べようという話になり、ラルフたちから「寿司はどうだい?」と提案された。また寿司だ。メルボルンでは本当に寿司は身近な食べ物なのだ。僕が昨日も一昨日も食べたからと断ろうとすると、その前にシンタロウが"That's good!(それはいいネ!)"と答えた。結局3日連続で寿司を食べることになった。

腹ごしらえをしたあとは、毎日必ず全部新しく作るという美味しいジェラート屋さんに連れて行ってもらった。バニラ、ストロベリーなどスタンダードなものから、ライチ、ココナッツ、イチジクなど珍しいものまでたくさん種類があり、僕は世界で一番臭い果物ドリアンに挑戦しようとした。すると店のおばちゃんが、「素人が手を出す代物じゃないよ。止めておきな」と僕を制止したが、僕がそれでも引き下がらないので、おばちゃんは一口スプーンにとって渡してくれた。食べた瞬間、口の中に強烈な臭みが広がった。臭い、臭すぎる。僕の食道がトイレの排水溝になってしまったようだ。自分が臭い。僕はうなりながら"Give me something yummy!(な、なにか美味いものをよこせ!)"と叫んだ。おばちゃんが腹を抱えて笑っていた。






結局、僕は黒ごまアイスを頼みドリアンとの腐れ縁を断ち切ると、再びラルフの車に乗せてもらい、今夜の宿泊先であるジェフの家まで送ってもらった。ラルフとデヴィとはここでお別れだ。

ジェフは僕の高校の同級生だ。その野口五郎風のルックスを活かして俳優になろうとしていたこともあったが、結婚して今は有名な企業で働いている。この日は、同じく同級生のアシュリーとシドニーも来てくれて、ジェフの家でバーベキューをしながら午前3時くらいまで飲んだ。イースターホリデー中だったこともあり、ほかの友達は旅行に行ってたりで会えなかったが、少人数でじっくり話せたのでよかった。シンタロウはジェフの奥さんやみんなに遊んでもらって、そのまま遊び疲れて寝てしまった。






シドニーは僕が今まであった中で一番の天才で、一度読んだ本の内容をほとんど記憶できるくらいかしこい。シンタロウが掛け算をみんなに出してもらっていて、12×13が解けなかったときに、「数学っていうのは、難しいことをもっと簡単にできる魔法はないかなって探す遊びなんだ」と言って、解き方を教えてくれた。シドニーのように勉強の面白さを上手に伝えてワクワクさせてあげられる先生になりたいと思った。

この3人の同級生たちは、facebook等でお互いの近況は知っているものの、会うのは僕の結婚式以来だという。「つい毎日に埋没してしまって、なかなか会う機会を作れないけど、お前がきっかけになってくれていてありがたい」と言われて嬉しかった。

午前3時過ぎにアシュリーとシドニーが帰って、小さな同窓会は幕を閉じた。別れ際、僕が「また2年後に戻ってくるから集まろうぜ」と言うと、笑って手を挙げて帰っていった旧友たち。日本から8000キロ離れたこの国に今でも仲間と呼べる奴らがいることに幸せを感じたメルボルン2日目の夜であった。(つづく)





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プロフィール

高橋正彦:1977年、静岡県浜松市生まれ。中学卒業後、単身メルボルンに渡りブライトングラマースクールに入学。同校では、3年がかりで学校側に打診をしサッカー部を創立、初代キャプテンを務める。1998年中古CDショップ「音吉プレミアム」を立ち上げ、世界中の人達との交流を始める。2007年9月、単行本『イタリア人は日本のアイドルが好きっ』を出版。2009年5月には世界中のオタクと交流するOTAKU SPECIALISTとして、NHKから英語でインタビューを受け、その映像が世界80カ国で放送された。

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