富士通テン・オーストラリア 企業紹介
カーナビなどの自動車用電子機器の販売会社
企業レポート第5回目は「富士通テン・オーストラリア」をお送りします。
富士通という名前は、電機メーカーを彷彿させるのですが、扱っているのはどんな商品なのでしょうか?
そしてここオーストラリアでは、どのような事業を行っているのでしょうか?
前回の社長インタビュー編に引き続き、ご紹介していきます。 前回の社長インタビューの記事は こちら
【富士通テン・オーストラリア FUJITSU TEN (AUSTRALIA) PTY. LTD.】
設立:1972年10月
本社:メルボルン
代表取締役社長:篠田浩志
オーストラリア国内の事業拠点:シドニー、パース、アデレード、ブリスベン
URL:http://www.fujitsuten.com.au/
------1990年設立とのことですが、経緯を教えてください。
20年前になりますが、私が30歳の時に初めて駐在したのがここメルボルンでした。
当時は、オランダの電機メーカーである豪フィリップス社と提携していたのですが、私が赴任して2週間で
現地法人を設立して独立することを決断しました。
最初は、私一人から始めましたが、今では、総勢45名、売上A$110百万の規模に拡大しました。
私は、昨年1月に2回目の赴任となり、今年は、創立20周年を迎えています。
7月に社内の記念イベントを行い、11/8には、お客様、お世話になっている方々と一緒に記念式典を
行いました。
------富士通テン・オーストラリアの事業内容を教えてください。
トヨタ、日産、三菱などを始めとした日系の自動車メーカーに対する純正製品、カーオーディオ専門店などにイクリプス(ECLIPSE)という自社ブランド製品を販売しています。
カーナビ、カーオーディオなどの自動車用電子機器の販売です。
最近では、AVN(Audio Visual Navigation)というナビとオーディオが一体となった商品が増えています。
オーストラリアはカーナビの普及率が日本程(50%以上)ではなく、約10~15%です。
日本では、上位グレードの車には、カーナビなどの製品はインパネとの一体型で、工場で車に組み込まれます(例えばプリウスなどは一体型になります)。
しかしオーストラリア向けの車両には、まだまだカーナビの工場装着が進んでいない為、輸入車には、必要に応じて、こちらに輸入してから付ける場合があります。
-------富士通テン・オーストラリアの会社全体で日本人は何人いらっしゃるのでしょうか?
駐在員、現地採用がそれぞれ4人の計8人です。
------ここオーストラリアで開発などをしているのでしょうか?
開発そのものは、日本の本社で行っています。
市場のニーズは現地にいないと分からないため、製品がオーストラリア市場にマッチしているのか、受け入れられるのかという部分を営業、マーケティング、エンジニアそれぞれの視点で見ています。
------御社を含めオーストラリアの車産業、現在はどのような状況なのでしょうか?
私が2年前にオーストラリアに赴任した当初はリーマンショック、世界同時不況の直後でしたが、
オーストラリアの経済、自動車産業は、政府の経済政策によって日本や北米、ヨーロッパ程ダメージを受けなかったと思います。
中国経済の早期立ち直り、資源需要によって、鉱物資源の輸出が伸びたことも経済の早期回復に結びつき、2009年度の
下半期には、新車販売が回復しました。
2010年から輸入車の輸入関税が5%に低減されたことから輸入車が大幅に増加しており、我々の最大顧客であるトヨタを
始め、ホールデン、フォードも現地生産維持に向けて大変なご苦労をされています。
弊社の場合、2008年度から2009年度にかけて、売上は大きく落ち込みましたが、他国の現地法人に比べて被害は少ない方だったと思います。
本社も含めて、「構造改革」という大きな変革にチャレンジして、何とか利益は確保出来ました。
しかし、今年度もまだまだ厳しい情勢が続いており、楽観は出来ません。
------メルボルンでの地域社会のつながりについて聞かせてください。
オーストラリア・クリーンアップ・デー(毎年2月)に合わせて会社周辺、道路、他社周辺にまでわたる清掃活動を社員全員で行っています。
各人にサティフィケートをもらえることで社員のモチベーションアップにもつながると考え、この日を選んでいます。
移民国家にふさわしく弊社も色々な民族の社員がいますが、全員が特徴あるワンプレートを持ちよりランチにしています。これは良いコミュニケーション、文化交流の場にもなっています。
またダンディノンに子会社があり、地域消防団に所属している社員がおり、一昨年の山火事では大活躍してくれました。
その後、消防団への寄付を継続して行っています。
神戸本社には、地球環境部があり、企業は地球環境に優しい文化が無くてはならないということで、会社周辺、須磨海岸、六甲山をハイキングをしながらの清掃活動などを行っています。
このような地域環境貢献をグローバルなレベルで会社方針に組み入れて活動しています。
------今後の展望などをお聞かせください。
営業面では、日系自動車メーカー向けビジネスを維持、拡大しながら他の現地生産メーカーへもチャレンジしたいですね。
また、工場や港での装着だけでなく、ディーラーが後付けの用品(アクセサリー)として販売頂くことも重要になってきます。
更に、豪州だけでなく、NZ、アジアとの連携も視野に入れて、売上を拡大して行きたいと思っています。
製品、機能面では、携帯電話とのつながり、例えばブルートゥースハンズフリー機能、音声認識コントロールの開発等が、
重要なものになると考えています。今後は、プロダクトアウト(開発された製品を売る)から、マーケットイン(市場で求められるものを開発して売る)の動きがますます大事になってきます。
・・・・・(番外編)・・・・・
そろそろ就職活動の時期ということもあり、主に日本からの留学生へということを想定して社長に下記の質問をぶつけてみました。
------新しく就職を考えている学生の方へどんな人材が求められているとお考えでしょうか?
●ある程度の英語力、読み書きのできる人
(営業としてもやっていける英会話力を持っていること)
●考え方に柔軟性があり、新しいことにチャレンジできる人
(視点が広く、時代と共にめまぐるしく変わる自動車業界の動きに対応できる。)
●前向きで明るく、ストレスをコントロールできる人
(オンとオフが上手に切りかえられる人。
土日出勤はほとんどないので、プライベートを充実させられる人が望ましい。)
●納期などの管理がしっかりできる、緻密さを持っている人
(自動車メーカー向けサプライヤーとして、
日系企業をお客様としていることを意識して、仕事の自己管理能力が必要)
取材後記
実はカーライセンスも持っておらず、車に無知な私にも丁寧にわかりやすく
言葉を言い換えたりしてお答えくださいました。
篠田社長、長い時間インタビューにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
(インタビュアー:松本千恵)