在メルボルン日本国総領事館
実は気軽に利用できるんです
企業レポート第4回目は、在メルボルン日本国総領事館です。メルボルンに総領事館があるのは、ご存知の方も多いと思います。でも、用事が無い限りは行く機会がない場所なので、実際に行かれたことのある方はそれほど多くないかもしれません。
そもそも、総領事館とは何のためにあるのでしょうか。
総領事館は、日本人が多く住んでいるところ、あるいは日本企業が多く進出しているところに置かれています。日本人が安全に暮らしたり、旅行できるように便宜をはかったり、日本企業の活動支援を行ったりしているのです。また、日本の宣伝や文化の紹介、大使館だけではカバーできない現地の政治経済情報を東京(外務省)に報告している機関でもあります。
ちなみに大使館(オーストラリアでは首都キャンベラに置かれています)には、総領事館としての仕事プラス“国と国とのお付き合い”という仕事があります。例えば、地震で被害を受けた被災国に対して、日本とオーストラリアで協力して取り組めることはないか?といった話し合いをする機関としての役割を果たしています。つまり、外国に常駐している日本政府の代表が大使館なのです。
では、実際にどんなことを行っているのでしょうか?
総領事館の仕事のうち、〈領事〉〈広報•文化〉〈安全情報〉について、担当の方に伺ったお話を元にご紹介します。
〈領事〉
領事部では、邦人の方の安全対策や事件事故に遭われた際の支援などを行っています。
◇領事部からのメッセージ◇
1.在留届の提出
「在留届の提出は、旅券法で定められている国民としての義務です。去年のブッシュ•ファイヤーのような災害があった場合、安否確認を行いますが、届け出されていないと連絡の取りようがないので家族も心配しますし、災害に遭われた本人を助けることもできません。また、連絡先を変更された場合も速やかに届け出てください。」
メルボルンに3ヶ月以上滞在する方で、まだ届け出をしていない方は速やかに提出しましょう。オンラインでも届け出できます。
2.在外選挙人登録
「在外選挙人登録は、直接来館しなければならないので面倒な手続きではありますが、海外で選挙権を行使できる貴重な権利ですので、ぜひ活用してください。」
登録申請から登録証受領まで2〜3ヶ月かかるので、こちらも未登録の方はお早めに。
3.パスポートの確認
「人道上やむを得ない事情以外は、すぐにパスポート発行できないので有効期限と保管場所を確認してください。」
実際に、パスポートの有効期限が切れていて飛行機に乗れなかった例もあるそうです。常に把握しておきましょう。
4.自分の居場所を日本の身内や友人に知らせておく
「日本から安否確認の依頼が来ることがありますが、具体的な場所を知らない方が多いです。何かあった時に心配されるので、必ず連絡先を教えておいてください。」
普段の連絡手段はメールばかりで、自分の連絡先を教えてない方も多いのではないでしょうか?1の在留届と同様、身内•友人にも知らせておくべきです。
5.出生届の提出
「日本人とオーストラリア人の夫婦だけでなく、日本人同士でも、どちらかが永住権を持っている夫婦の子どもは、自動的にオーストラリア国籍になります。3ヶ月以内に届け出しないと日本国籍を留保できないので、期限内に提出してください。」
一日でも過ぎてはならないので、子どものためにもできるだけ早めに提出を。永住権を持たない日本人夫婦も提出しなければなりません。もちろん、受理後の名前の変更はできないので、よく考えて名前をつけるようにしましょう。
〈広報•文化〉
広報文化センターは、オーストラリアの人々に対して日本に良いイメージを持ってもらうことを目的に設立された、いわば日本文化の発信基地。メルボルンをはじめとしたビクトリア州の他、兼轄する南オーストラリア州及びタスマニア州において、現地在住の日本人・オーストラリア人団体が主催するイベントに協力したり、JETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme:語学指導等を行う外国青年招致事業)の宣伝、選抜、出発支援等も行っています。
ここでは約3000冊の本と日本の新聞および雑誌を読むことができます。本は日本語教材やマンガ、絵本、文芸書、写真集、芸術書、百科事典など様々なジャンルがあり、しかも無料で借りられます(要身分確認)。蔵書リストが総領事館のホームページで見られるので(Book Catalogue PDFファイル)、電話で在庫確認してから借りに行きましょう。他にも、茶道具、畳、浴衣、法被等の貸し出しもしています。
また、展示スペースがあり、日本人アーティストや日本関連の芸術作品を製作しているオーストラリア人アーティストの作品が1〜2ヶ月毎に展示されています。自分の作品を展示してみたい方は、受付順に展示してもらえるので、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか?
◇広報文化センターからのメッセージ◇
「総領事館は必要最低限の時だけ行けば良いと思われているかもしれませんが、もっと気軽に利用していただければ幸いですね。日本の新聞や雑誌も読めますので、シティに来て時間が空いた時にでも、ぜひお立ち寄りください。」
〈安全情報〉
このセクションでは、安全情報を提供して、日本人が事故や犯罪に巻き込まれないように注意喚起を行っています。領事館のHPやメールマガジンでも随時、情報を発信しています。また、被害に遭ってしまった方にアドバイスを行っていますが、捜査機関はオーストラリアの警察なので、捜査や犯人逮捕はできません。万一被害に遭った場合、領事館に届ける義務はありませんが、その情報を元に安全情報を提供することができるので、できれば連絡しましょう。
◇安全情報担当者からのメッセージ◇
「自分が被害に遭ったことがなければ、安全についての意識はあまり持っていないかもしれません。どこにいても犯罪や事故に巻き込まれる可能性はあるので、常に身の安全についての意識を持ってください。」
『在メルボルン日本国総領事館』
住所:Level 8, Marland House,570 Bourke Street,Melbourne VIC 3000
URL:http://www.melbourne.au.emb-japan.go.jp(日本語)、http://www.melbourne.au.emb-japan.go.jp(英語)
地図:
取材後記
私も総領事館というのは、必要のある時にだけ行く場所という“ちょっと敷居の高いイメージ”があって訪れる前は緊張していたのですが、図書スペースや作品の展示スペースがあったりと、“実は気軽に利用できる場所”だということがわかりました。日頃なかなか目にすることができない日本の新聞や本を読みたくなったら、利用してみます。また、担当者の方々から頂いたメーセージは、メルボルンで生活する上で大事なことだと思います。総領事館の担当者の皆様、どうもありがとうございました。