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川島由紀恵(仮名)の話(4)

当時はWilliam Angus での勉強と同時にビクトリア国立美術館のアートガイドの訓練が重なって、つらかった。というのは料理を完全に作り上げる、シェフという仕事は体力的に腕力が強くないと不可能であることが分かったので、シェフになることをあきらめて、NGVのアートガイドの募集に応募して合格したので、NGV のアートガイドをすることに決めたからだ。
ビクトリア国立美術館のアートガイドになったのは5年くらい前。美術館では数年に一回ボランティアのアートガイドの募集があり、50人ほど選出される。アートには興味があるので、応募した。実は油絵を長いこと描いている。今でもメルボルンの有名な先生に習っているので、絵のテクニックについては説明しやすい。NGV のアートガイドになりたい人が多く、毎回たくさんの応募者がいるそうだ。ツーラックのお金持ちの奥様とか退職した大学教授、弁護士とか医者を辞めた人とか。男の人も多い。ここでも試験があり、最後まで残ったのは38人しかいなかった。何回もテストがあって、私もダメかと思ったこともあった。英語はこちらの人と比べれば驚くほど下手くそだが、日本芸術文化に関する知識は他の人より豊富だと思う。Senior Asian Art Curator が、時たま日本アートについて質問してくるので、日本アートに関することはリサーチ、勉強して、お手伝いできる。現在、展示されている着物エキジビションでも、自分がリサーチをしたことがエキジビションに反映されているので、嬉しい。


ちょさk

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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