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トヨタ自動車オーストラリア 安田社長インタビュー

ビクトリアをカムリの本拠点に

トヨタ自動車オーストラリアは、2009年12月に、新型ハイブリッド車、カムリハイブリッドの生産を開始、今年2月に販売を開始した。カムリハイブリッドの発売と、今後のトヨタ・オーストラリアについて安田政秀社長にお話を伺った。
 
 

【プロフィール】
安田 政秀 Masahide Yasuda

トヨタ自動車オーストラリア(株)代表取締役社長、President, Chief Executive Officer
フランス(パリ)駐在3年半後、2007年7月からトヨタ自動車オーストラリア(株)社長就任。



-インタビューの前に、安田社長より最初に下記の話があった。

まずは、従業員、お客様、ディーラーにも、いろいろな場で申し上げてはいますが、昨今のアメリカから発生したリコール問題に対して、いろんな方に不安を与えたことをお詫びしたいと思います。

トヨタ、グローバルで言うTOYOTAの信頼回復を一日も早く行う。これが会社としてのプライオリティです。


-今回発売した新型ハイブリッド車についてお聞かせください。

 カムリハイブリッドですが、去年の12月にアルトナ工場で生産のラインオフ式を行いました。

ケビン・ラッド首相やジョン・ブランビー・ビクトリア州首相を来賓にお迎えしましたが、これは非常にオーストラリアらしいと思いましたね。国のトップ、あるいは州政府のトップが、我々、車を生産している製造業をすごく身近に感じているのが伝わりました。

 日本だと、トヨタのラインオフ式の時に一国のトップが来るということは、まずないと思います。まあ、ハイブリッドという特殊な車のラインオフ式だったことや、ラッド首相がコペンハーゲン環境会議(COP15)に行く直前で、アピールしたかったというのもあったのかもしれないですけど(笑)。

 それにしてもよくやってくれるな、という驚きとありがたさで非常に興奮しましたね。「新しい産業の第一歩だ!」とスピーチでラッド首相が言ったんですが、これには従業員も「オーッ!」となって拍手が沸き起こったりして。とにかく盛大な式典でした。

 それが12月のことでした。それから販売の準備をして、ディーラーさんをメルボルンに集めて「大々的にいくぞ」って感じで盛り上がりました。2月末から販売を開始しました。





-ハイブリッドに対する一般市民の反応はどうでしょうか。

 ハイブリッドっていう新技術への不安要素、例えば3年、5年乗った後の残価ですよね。いくらで売れるんだろうっていう心配をする人がいますね。それからバッテリー。バッテリーの寿命がどれだけあるのか、つまり、バッテリーを交換するのに、どのくらい費用がかかるんだという心配。この2つが結構大きい。バッテリーには、8年間の保証が付いています。それと、これはプリウスの例ですけど、クイーンズランドにあるタクシーの運転手さんが言うには、30万キロから50万キロ乗っても全然バッテリーは問題ないそうです。こういう情報をお客さんにお伝えして、安心感を持っていただきたいですね。

 オーストラリアは日本やアメリカ、ヨーロッパがしているような、ユーザーに対するインセンティブを出していないんですよ。エコカー減税がありません。しかも今、ガソリンがそんなに高くないでしょう。環境保護一般の盛り上がりはあるんだけど、いざ自分のお金を使って車を買うということになると、やっぱりまだ難しいという人が多いのではないでしょうか。


-この中でハイブリッド車がどんな風に伸びていくかはまだ不透明ですか?

 そうですね。我々がやらなきゃいかんことは、やっぱりお客様の不安要素を払拭することと、メリットをお伝えすること。その両面で攻めないと、なかなか買ってもらえませんので。それと、試乗の機会をもっと増やしたいですね。ディーラーさんに行ってもらって、ぜひ1回乗っていただきたい。乗るのはタダですから。非常に静かですよ。


-レンタカーでプリウスを借りて、ヤラバレーへ行ったことがありますが、同じくレンタカーのプリウスを頻繁に見かけました。燃費が良いからでしょうか?

 それは嬉しいですね。プリウスはハイブリッド専用車だから見た目もすぐに分かるんですが、カムリの場合は、見た目ではハイブリッドなのか分からないんです。少しずつ変えているとはいえ、格好はほぼ一緒ですから。やっぱりお客さんはプレミアムを払ってハイブリッドを買うわけですから、試乗していただいて、違いを感じてほしいです。


-今後どのような車社会になると思いますか?

 今は三菱とか日産が電気自動車をかなりプッシュしています。我々も電気自動車を持っていますが、今の技術では、まだコストが高いんですよ。だから、その中間地点としてハイブリッドが位置づけられている。やっぱり我々のコア・プライオリティというのはハイブリッドですね。

 2015年までを目指して、オーストラリアでもプリウスとカムリハイブリッド、それからレクサスで、ハイブリッドの車種を増やしていこうとしています。


-オーストラリアでもガソリン単体の世界からハイブリッド・電気自動車へと逆転していく?

 我々の期待値は、2011年までに、全世界でハイブリッド・カーを100万台を生産するということです。台数が増えればコストが下がっていきますからね。もっともっとお客さんにとって、求めやすい価格になっていけばと思います。他社もハイブリッドをやれば、ハイブリッド全体の市場が増えていく。ヨーロッパ勢も自分たちの技術で出してくるはずですから、どれぐらい他社がハイブリッドの台数を伸ばしてくるかですよね。総市場の10パーセントぐらいになれば違ってくると思う。


-日本以外にハイブリッドを販売しているところはありますか?

 GMやフォードもアメリカでちょこっとですけど販売していますし、ヨーロッパでも、まだ市販はされていませんが、モーターショーにはもう出てくると思います。


-カムリよりも、もっと小型車を作るという計画はありますか?

 ないことはないんですけども、小さい車はやっぱり製造も値段もコストも高いんですよ。人件費が中国などと比べると非常に高いんですよね。だから、小さい車を作っても採算をとるのが厳しい。

 今、GMもフォードも小型車への移行を検討している。でも、採算が不安だと。フォードの場合は、フォーカスの輸入を進めています。トヨタは、カムリをベースにしてコストダウンを進めている。

生産台数の確保も必要です。

 カムリには、世界に8つの生産拠点があり、アジアの拠点もいくつかあります。人件費も非常に違いますし、オーストラリアは頑張らないと、そういうところに負けてしまいます。「何でオーストラリアで作るの?」ということになりかねません。ただし、コストだけで判断できない部分もあると思います。オーストラリアに、何十年も貢献していますし。我々は3500人ほどの従業員がいますので、頑張って生き残っていくのが宿題です。


-今後の目標をお聞かせください。

オーストラリアは社内的に、豪亜本部といって豪州アジア地区に入ります。その豪亜本部の中で、どういう供給体系を組んでいくとかいう議論もしています。その中でビクトリアをカムリの本拠点にするのが夢ですね。可能性はゼロではないと思いますよ。

-今日は、お忙しいところ誠にありがとうございます。




取材後記

昨年、アメリカから始まった安全性に関する不安問題がある中、安田社長からは真摯な姿勢で、我々GO豪メルボルン、Japan In Melbourneからのインタビューに答えていただいた。
「ハイブリッド車の発売と2010年、今後のトヨタ・オーストラリア」という題であったが、安田社長の話しは、トヨタのアジア・世界戦略など広範囲に渡った。
トヨタ・オーストラリアは、メルボルンの日本企業の中心的存在であり、その動きは日本人社会に大きな影響を与える。
今後も定期的にインタビューを行うと共に、その動きに注目したい。

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