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自分のいるカフェ。

第7杯目 - 自分のいるカフェ。

 

高層ビルの合間にあるカフェ Filter はまさに都会の中心にあるオアシスだ。行き交う人と車、そしてトラムが波を打つ交差点の角にある。そのカフェは、廃屋となった高層ビルの1階にあった。

遠くから見るとそのビルは威厳としながらもどこか寂しげに見える。

 

その外観とは裏腹に店内は日差しがよく入り心地よい。

洗練された無駄を省いたデザイン。日当りのいい店内は照明もほとんどない。

 

このビルではこのカフェが営業しているだけで、上の階は今は使われていない。だからなのかもしれないが、このカフェにいると時間が止まったかのような静寂に襲われるのだ。窓の外を見てみると、確かに人も車もトラムも動いている。でも、まるで時間を盗まれたかのような気持ちになるのだ。

 

もし、頼んだコーヒーにアートがあったら。私は絶対にそれを崩さずに飲む。

なんとなく、それが Barista たちへの敬意だと私は思うから。上手に飲むと、最後の一滴までそのアートが残っていたりする。1杯のコーヒーに懸ける彼らに対する、私からの Respect なのだ。

 

- No Coffee, No life.  If No Good Barista, Then No Good Coffee.

 

飲み終わる頃には、失いかけた時間も私の手元に戻ってきていた。

 

このカフェは、パソコンや携帯で仕事をする人が多いのにも納得がいく。ここでは自分の時間だけが動いているのだ。知らないうちに仕事に没頭できてしまう不思議なカフェ。分厚い本を片手に宿題をする学生たちも少なくない。

 

美味いコーヒーの飲める図書館とでも言えようか。

 

もちろん、腹ごしらえも忘れてはならない。

 

スイーツは人気があるので早い時間に消えてしまうこともある。

 

It's gone... チョコクロワッサンは私にとって永遠の定番だ。

 

 

アクセントとしてあるグレーのフェルトがこのカフェに暖かみを与えてくれている。

 

日向で語り合う「おふたりさま」たちが微笑ましい。こんな風にふたりで歩く人生も悪くないだろう。

 

その名の通り Filter Coffee が主役とも言えるこのカフェ。メルボルンでは老舗カフェ Auction Rooms のシティ店である。もちろん使用している豆は Small Batch Roasting Company のものだ。

 

 

新鮮な豆がいつでも味わえるのも独自の焙煎システムがあってのことだ。

 

 

ステージに道具は全て揃った。

 

Filter Coffee を淹れる Barista の隣でコーヒーの香りに包まれながら過ごす時間は至福の時なのだ。いっそこのまま、時間が止まってしまえばいいとさえ思う「おひとりさま」である。

 

そのひとつひとつの行程が絵になるのだ。その香りに誘われて、人々はコーヒーを求めて集まる。

 

 

オープンステーションで淹れられるコーヒーは私たちを包み、瞬く間に店内に広がる。

 

 

ひょっとしたら、この Filter を通して落ちていくもの。それは、コーヒーではなく私たち自身なのかもしれない。

 

世間に合わせた自分。テレビや雑誌に翻弄されて作り上げた自分。いつも周りの目を気にして笑顔で取り繕う自分。いつのまにか大きな夢を忘れて小さな夢で満足している自分。こんなはずじゃなかったとわかっているのに努力をしない自分。他人の成功に拍手を送りながらも影では畜生と思う自分。失敗を成功に変えようとしない自分。Give and Take の Take に夢中でいつのまにか Give を忘れた自分。

 

自分、自分、自分。

 

ゆっくりと Filter から落ちていくコーヒーを見ながら思う。

 

 

きっと、このコーヒーが淹れ終わる頃には...。

 

 

フェルトを着た小さなポットが愛らしい。

 

 

ワッフルの様なデザインの天井。コンクリートの打ちっぱなしがメルボルンではどこか新しく思える。

 

 

Take Away Coffee を求めてやって来るサラリーマンが後を絶たない。この辺りは、上級カフェ激戦区になりつつある場所でもあり客のレベルも高いのだ。

 

奥行きを上手に生かしたデザインがワッフル型の天井と合っている。

 

ここにも「おふたりさま」ちょっとした打ち合わせもよく見かけられる。

 

 

彼らの時間も盗まれてしまったのだろうか。

 

 

このカフェに君は何を求めるのだろう。それは、君にしかわからない。

 

ゆっくりと Filter を通って、生まれ変わった自分を君は暖かく迎えることができるだろうか。

そして、そこから続く君の人生がどんなに回り道でも、いくつもの曲がり角があったとしても。

信念だけは決して曲げてはいけない。

 

自分、自分、自分。

 

誰の真似でもなく自分になろう。世界にたった一人の自分でいよう。

 

 

心配しなくてもいい。誰も君の真似はできないさ。

 

自分、自分、自分。

 

9月22日(月曜日)1時39分。このカフェで新しい自分と出逢う。「自分記念日」

 

 

晴天吉日。小春日和。

 

さあ、行こう。

 

 

本当の自分で歩いて行こう。

自分の速さと自分の歩幅で歩いて行こう。

 

この激しい青空に私は誓った。

 

 

すべての日を最良で、最愛の日だと言い切れる。

 

そんな毎日を歩いて行こうと。

そんな人生を生きて行こうと。

 

 

そう、毎日が晴天吉日。

「自分記念日」

 

 

君には、

この空が見えているかい?

 

 

 

 

Filter by Small Batch

555 Collins Street Melbourne

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

以前のコメント

AYA & Co.   (2014-09-23T06:43:11)
恵美子さんコメントありがとうございます。このブログのコンセプトは、読む人がコーヒーを飲みたくなるようなブログ。そして、読んでいてそのカフェにトリップしたような錯覚を与えるブログを心がけています。毎回、新しいカフェ+何か。をお伝えできたらと思います。メルボルンには、まだまだ素敵なカフェがたくさんありますので是非、お越しの際は出かけてみてください。 これからもよろしくお願いいたします。
鈴木恵美子   (2014-09-23T04:46:10)
文章を読んでいるだけで、カフェにいるみたいな気になるのです。〜空想カフェ状態〜とでもいうのでしょうか。メルボルンに行った時は、このカフェマストですねえ。

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