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23. 2012年の就職市場


新年明けましておめでとう御座います。
本年もこのコラムを通して、皆さんの豪州就職のお手伝いを出来ればと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

さて、2012年の1回目は今年の豪州就職市場の見通しをお伝えしていきたいと思います。

豪州産業の最大の強みは豊富な資源にあることは皆さんもご存知かと思います。
地下資源をアジア(特に中国)へ売り、そこで出来たお金を金融機関や投資会社が運用して増やす、というサイクルで豪州の経済は回っています。

先日のニュースでも取り上げられていましたが、豪証券取引所(ASX)上場企業トップ50社のうち、資源会社4社と銀行4社の8社だけで、2011年上半期の税引き前利益総額の99%を占めるという結果が出ています。

今年もこの傾向には大きな変化はなく、中国という最大のお客さんが元気な限りはパースやブリスベンを中心に資源関連では多くの人材需要が見込まれ、それに付随する形で金融業界でも相応の人材採用があると思われますが、この状況に冷や水をかけるかも知れない存在が「炭素税(Carbon Tax)」です。

ご存知の方も多いと思いますが、地球温暖化を食い止めるため、豪州政府は2011年7月10日に2012年7月の導入を目指す「炭素価格制度(炭素税)」を発表しました。
企業が二酸化炭素を1トン排出するごとに、23ドルの「炭素税」を課すというものです。
その後は毎年負担額を2.5%ずつ引き上げて、2015年以降は制度自体をETS(Emission Trading Scheme:温暖化ガス排出権取引制度)に移行するという計画です。

この炭素税の導入に伴い、特に資源関連の企業では多額の税金を課せられることになりますので、経費削減の為に人材雇用を差し控えるなどの影響が出てくるかもしれません。
そうなると、見通しの明るかった資源業界にも影が差すことになります。

また、炭素税は資源業界以外にも大きな影響を与えると思われます。

例えば、メルボルン経済の中心は製造業ですが、炭素税が製造産業に与える影響も甚大です。
ただでさえ人件費が異常に高いうえに労働組合も強く、そこに追い討ちを掛けるように生産工場や企業に対して炭素税が課せられるとなれば、豪州で生産していく意味が益々薄れていき、最悪のケースでは豪州からの撤退ということも十分に考えられます。
そうなると雇用どころか、多くの失業者を生み出すことになります。

これに対して、明るい見通しは・・・というと、炭素税の導入に伴い、課税対象となる旧来からの石炭発電事業から、クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)事業への転換がより一層進むことが予想されます。豪州の電力の約80%が火力発電(石炭使用)によるものですが、この比重をクリーンエネルギーへとシフトしていくことで、必然的にこれらの業界には人材雇用機会が生まれます。
とはいえ、何事も遅々として進まない豪州なので、「2012年内に劇的な変化があるか」と言われると首を傾げますが、近い将来として、まず間違いなく、この業界が一大産業とはなっていくはずです。

また、こちらも「今すぐに」というわけではありませんが、ATO(Australian Taxation Office)が発表したLAFHA(Living-Away-From-Home Allowance「遠隔地手当て」)の改正案も人材市場に影響を与えるかも知れません。

LAFHAとは海外から豪州に駐在員として赴任する際に、「遠隔地手当て」として家賃補助や食料費手当てなどがあり、税金の優遇措置が適用されるのですが、今回の発表は、この「遠隔地手当て」の支給を無くし、これらの手当ても課税の対象とするというものです。

この法案が成立した場合、多くの企業では経費削減の為、海外からの駐在員の数を減らし、現地採用の人材でカバーするという舵取りを選択することが予想されます。これにより、以前より流れのあった人材雇用のローカライズが加速する可能性は高そうです。

2012年の人材市場は炭素税やLAFHAなど、政府の方針次第という部分が大きいものの、2008年のリーマンショック後から続くプチバブル期と比べると、先行きの不安感は強まりますので、豪州就職を目指す皆さんにとっては、これまでよりも厳しい状況となりそうですので、万全の準備をして、就職活動に臨んでいただければと思います。


スタッフソリューション・オーストラリア メルボルン支店
「語学留学」から将来のキャリアを見据えた「大学(院)やTAFE留学」、卒業後の「ビザコンサルティング」、オーストラリアでの「就職・転職」までの総合キャリアコンサルティングをメルボルンをはじめ、シドニー、ブリスベン、パース、アデレード、ゴールドコースト、ケアンズの全豪7都市で展開しています。



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