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Jazz Festival 2009 -JOSHUA REDMAN TRIO-

感性に囁く音の妙技を味わえ…"Let's Jazz"

2009年5月5日掲載

 

JOSHUA REDMAN TRIO
2009.4.30 
@MELBOURNE RECITAL CENTRE

 
Photographer: Richard Dodson

「人間の声が最高の楽器である」

インタビューしたアーティストが放った言葉である。
その当時は、妙に納得したのを覚えている。
しかし彼等の演奏を生で聴いた今、

「楽器は、時に人よりも言葉を放つ」

と言いたい。

登場人物はたったの3人。サックス、ウッドベース、そしてドラム。まずサックスが小声で話し始める…すると次はそれに乗っかりウッドベースが話し始める。そこに、二人の会話に耐えかねたドラムが突然大声で割って入ってくる。その後3人の会話は止まることを知らず、各々が各々の声でスピードで自由気ままに言葉を放つのだ。時に優しく囁くように、時には声を荒げ興奮したかのように、筋書きのないディスカッションは続く…そして誰が合図したわけでもなく、同じタイミングで息つくのだ。まるで、立て続けに話し疲れてしまい「ふぅ~っ」と息を吐くのと同じように。

そのタイミングが寸分狂わず同じなのである

その瞬間、今までの喧騒が嘘のように、会場内は一気に“無音”の状態となる。

そして唾を飲み込んだ瞬間に生まれる拍手の嵐。

自分の全身に鳥肌が立っているのを感じながら拍手を送った。

気づいた方も多いかと思うが、この“トリオ”には、メロディ・ラインを作るピアノも居なければ、ギターも存在しない。ということは必然的に、サックスがメロディ・ラインを作り他の者を導いていかなくてはならない、ということである。これはサックス奏者にとってかなり難度の高い技なのだが、これは彼の得意技でもあるのだ。

その状況を楽しむかのように、次から次へと生み出されていくメロディ。そんな天才奏者と肩を並べメロディを生み出しているベーシスト・Reuben Rogersとドラムス・Greg Hutchinson。このサックス・トリオのメンバーは幾度となくステージを共にしている。互いが強烈な個性を持ち、そして高度な技術を持ち合わせている故に、喧嘩しあい潰しあうのではないかという不安さえ過ぎる。しかしそれは逆であった。こんなにも音色も個性もスタイルも違う3人が、ここまで信頼しあった仲になれるとは…。

この“Joshua Redman”という人物、父はサックス奏者、そして自身はハーバード大学を主席で卒業という経歴を持つ。その頭脳明晰な彼が作り出す音というのが、実に変形的。きっと彼の頭の中では最初から最後までイメージされ尽くしているのだろうが、私達の耳に届く音は‘斬新’という印象が強い。そんな、オリジナル・スタイルを彼なりにカスタマイズした‘現代ジャズ’は、同世代ジャズ・アーティストの中でも群を抜いてカリスマ性を放っている。

そして今回オープニング・アクトを務めた“ZAC HURREN TRIO”も要注目トリオである。こちらは同じトリオでも少々趣の違うJAZZを聴かせてくれた。彼等の演奏は映像を浮かび上がらせる。“Joshua Redman”が生み出すものが‘言葉’であるならば、彼等が生み出すのは‘画’である。まるで映画を観ているかのような錯覚に陥り、彼等の世界にのめり込んでいる自分が居た。

“JAZZ”

簡単には言い表せないルーツを持つ音楽

いまでは無数に枝分かれ、様々なスタイルの音が存在する音楽

社交場に欠かせない音楽

ワインとよく合う音楽

自分の感性を高めてくれる音楽

この音楽に対する探究心が更に強まった夜であった。

 

イベントの詳細は
www.melbournejazz.com

Joshua Redman HP

www.joshuaredman.com

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