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イベントレポートreport

NAIDOC March & Concert

オーストラリアの先住民の願いとは

2009年7月10日掲載

10th July @ Federation Square

7月の第1週目(今年は7月5日から12日まで)は「NAIDOC Week」とされている。「NAIDOC」とは、the National Aboriginal and Island Day Observance Committeeのことであり、1920年代にオーストラリアの先住民の地位や扱いに対する認識を高めることを目的としたアボリジニーのグループが結成されたことに遡る。今日では、アボリジニーと北東部のトレス海峡諸島(Torres Strait Island)の人々の文化を祝い、そしてオーストラリアの先住民の様々な分野における貢献を理解する機会となっている。

  

この期間中オーストラリア中でイベントが行われており、これはオーストラリア先住民たちの歴史、文化、そして偉業を祝福している。先住民だけでなく、オーストラリア国民全てが参加するイベントとして位置づけられており、人種問わず様々な人々が参加している。今回メルボルンで行われた、「NAIDOC March & Concert」もその一環である。

今年のテーマは“Honouring Our Elders, Nurturing Our Youth”。年配の人々をリーダー、そして若い人々へのロール・モデルとしてコミュニティ全体で称えようというメッセージが込められている。また、このイベントを通して先住民たちは、「私たちは誰なのか、どこから来たのか、そして何を求めているのか」を再確認し、先住民に対する理解を深める努力を行っていこうと再び決意するのである。

 

フィッツロイ(Fitzroy)にあるVictorian Aboriginal Health Serviceからフェデレーション・スクエア(Federation Square)までを行進し、フェデレーション・スクエアでは様々な人々がパフォーマンスを披露した。アボリジニーの伝統的なダンス、アボリジニーの楽器であるディジュリデュ(Didjeridu)の演奏だけでなくゴムの木(Gum Tree)の葉でオーストラリアの象徴的な歌である“ウォルシング・マチルダ(Waltzing Matilda)”を演奏したり、英語とアボリジニーの言語両方で歌を披露したりと、アボリジニーやトレス海峡諸島の人々の文化を間近で触れることができた。


  

また、数々のスピーチからは先住民たちの心の叫びが感じられた。オーストラリアは先住民にとって、「私たちの土地(our lands)」。アボリジニーたちは何千年以上も前からこの地に住んでいたのにもかかわらず、イギリスの植民地となったことで大量に移民が流れてきて、先住民たちの権利が著しく侵害された。オーストラリアは白豪主義から多文化主義へと転換したものの、先住民の声がオーストラリア社会に届かないことは少なくなく、今でも先住民は土地への権利、そして先住民としての人権・正義を訴え続けている。人々が口にした、「our lands」という言葉が印象的に残っている。

オーストラリアが持つ悲しい歴史。オーストラリアの土地に住む全ての人々が平等の権利を持ち、“他民族国家”として共存していくには、先住民の思いを理解することが不可欠であると再び考えさせられるイベントであった。

◇イベントの様子はこちら◇


 

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