「身近になる海外」について熱く語る
伊藤園・児玉氏&スタッフソリューション・楠本氏が対談
2012年11月23日掲載
Staff Solutions Australia × GO豪メルボルン特別企画 「対談」
今回の対談では、Itoen Australia児玉氏と、Staff Solutions Australia楠本氏に「昭和40年代と昭和50年代のオピニオンリーダーたち」と題して熱く語っていただきました。
2回にわたってお送りする対談。今週のテーマは「身近になる海外」
■対談者紹介
児玉 博之 (Hiroyuki Kodama)
Itoen Australia Pty Ltd
Senior Manager
神奈川県川崎市出身。明治大学卒業後、伊藤園入社。30歳を機に海外勤務を志す。第一回海外研修生制度にて、ハワイに約4年間勤務。その後、採用課長を務めた後、国際部、伊藤園オーストラリア出向。
「伊藤園は、チャレンジ精神のある方を求めています。特に海外で、日本の伝統文化である緑茶を広めてみたい方は、ぜひ日本のホームページを見てみて下さい。伊藤園大学、大学院、ティーテイスター制度、通信教育など、自己の可能性を広げることのできる面白い会社ですよ。」
楠本 岳 (Kusumoto Takeshi)
Staff Solutions Australia Pty Ltd
Melbourne Branch Manager
千葉県松戸市出身。法政大学卒業後にニュージーランドへ留学。
日本帰国後は教育業界にて営業とマネジメントに携わった後、30歳を機に海外転職を決意し、日本から現職へ転職。現在は、メルボルンでの就職・転職相談を一手に引き受け、豪州の人材マーケットに幅広いネットワークを持つ。「自分自身で海外転職を経験し、現在は人材コンサルタントとして勤務しておりますので、経験を踏まえながら、どんな人材が市場でどのように評価されるのか、具体的にアドバイスさせていただきます。皆様の海外就職実現へ、お気軽にご相談ください。」
―働き方の変化
楠本: 私もその世代なのですが、団塊ジュニアの世代が新卒で就職活動する際は「超」就職氷河期だったので、多くの企業が採用人数を減らす・見送るなどをした結果、いま現在、多くの企業で人数が不足している世代となっています。また、新卒で正社員として入社して、一つの企業でずっと働くという概念に当てはまらない人たちが増えてきたのもこの世代からのような気がします。今はそれが標準化してきていますが。。。
他にも、今いる会社で上を目指そうにも、なかなかそのポジション自体があいてないので、転職していく人も増えています。それで留学やワーキングホリデーに来たりするなど、働き方は、若い世代になるほどよりフレキシブルになっているように思います。
児玉:働き方というよりも働き口の選択肢と価値観は変わった気はしますね。
楠本:これは、今後の日本のテーマでもあると思います。今までは新卒として大学を出た後、会社に入るという社会のルールがあって、ひたすらそれを守ってきたという部分がありました。ところが、バブルがはじけて、就職に関しては、派遣やフリーターなどいろんな選択肢ができました。その結果、新卒で就職しなかった人たちの中にもポテンシャルを秘めた人材や非常に優秀な人材がいますし、そういった人材を中途採用でどう見つけていくかが、今後の会社の人材戦略のキーになると思います。ほかにも、ワーキングホリデーや海外留学中の優秀な人材を、帰国してから企業がどう受け入れるかが大切ですね。
―企業の海外に対する考え方の変化
楠本:企業の海外進出に伴って、以前より海外が身近になっていますよね。
児玉:そうですね。社会人では、海外志向がもともとあって、卒業してから働いていらっしゃる方も昔に比べて多くいます。各会社には制度も整っていて、希望すれば、手を挙げやすい環境は整っていますね。
―競争の変化
児玉:海外に出てみてみると、日本という国がいかに特別かよく分かりますね。当然ですが、日本人が多く、日本語だけで意思疎通が出来る国は、世界ではないですからね。
楠本:外国人留学生との新卒の就職活動は、良い意味で、国際競争の原理が、ようやく日本の市場にも入ってきたのかなと思います。
―日本の人材の変化
楠本:日本の学生も優秀な人が増えています。例えば、英語に関しては大学生ですでにTOEIC900点を取得されている方も大勢いますし、大学在学中に交換留学で1年オーストラリアに来ている学生さんにも人材面接でよくお会いします。自分たちが大学生のときは交換留学は、まだまだマイナーだったので、純粋に「時代は変わったな」と思います。
―考えもしなかったですよね。
楠本:当時は1年間、海外に行くとか、短期で交換留学なんて、よほど語学が好きな人なんだな、と感心していましたが、今はそれが当たり前になっています。むしろ交換留学は1ヶ月だと短いので、1年とか単位交換ができるシステムを持っている大学が増えています。
児玉:人材も、海外に出ればもっと無数のマーケットがあるのを非常に感じます。日本で働くことも大事ですが、海外の扉をノックしてその扉を開けば、企業も人材もよりチャンスがあります。
―メンタル面の強さ
楠本:もちろん全員じゃありませんが、若手の人材で勉強では点数が取れるけれども、実社会を生き伸びていく力が弱いと感じる人も多くなったような気がします。エリートにはなりましたが、逆境に立たされた時に立ち直って、そこからまた伸びていけるという精神的な部分が欠けているというか・・・
児玉:海外に出て行く場合、「ストレス耐性が強い」、ということも大事な一つの要因ですね。
楠本:特に今後、アジアの人材と競争していくとなると、日本人が受けるストレス、生活的逆境と彼らのそれとは次元が違う気がしますし、今、日本の企業がアジアからの留学生を積極採用している背景には、こういう点もあるような気がしますね。
児玉:就職するにしても、気持ちって大事ですよね。誠意とか熱意は、言葉が違っていても伝わります。そういう部分は、海外でやってく上で大事だと思います。言葉が多少つたなくても、「熱意」は必ず伝わります。
楠本:仰るとおりですね。「何ができるか」も、もちろん必要ですが、「何をしたいか」という熱意はもっともっと大事ですよ。
―熱意
児玉:つい最近、熱心さと言うので良い例がありました。弊社オーストラリアのホームページに日本人の学生がアクセスしてきて、「オーストラリアに行くかもしれないのですが、オーストラリア伊藤園のセールスオフィスを教えて頂けませんか?」「もしよろしかったらお話を聞くことは可能ですか?」と、丁寧な連絡がありました。私は基本的に直接返事は書かないですが、まだ働き始めてもない学生が勇気を振り絞って連絡してきたとなると話は別で、「何かあったらまとめて質問してくれたら答えますよ」という感じで返してあげました。久々にそういう熱意を見ましたね。
―広がる可能性
児玉:昔、伊藤園は本当に小さい会社だったと聞いています。今役員になっている人たちは、会社がこんなに大きくなると思ってもいなかった段階で就職していて、本当に一生懸命働いて、会社と一緒に大きくなられた方達です。ですから、私たち次の世代も海外で同じことができると思います。海外に出て行けばまだまだチャンスは広がっています。
楠本:特に今は日本国内だけに留まっていくということが逆に難しい時代になってきていますので、海外に出ることを前提にキャリアを見据えないといけないと思います。
児玉:上層部と話す機会がありまして、「今後、どのような人材を求めていらっしゃいますか?」と伺ったら、「どこでも喜んで行ける人」と言っていましたね。
楠本:昔は本当に海外に行きたい人は商社などを希望していましたが、今はすべての業種で世界を舞台に仕事ができる可能性があります。世界中、どこに行ったとしても不思議はない環境なので、逆にそれに耐えうる人材じゃないと厳しいでしょうね。語学力だけじゃなく、メンタリティにおいても。
例えば、メキシコ人と働くのだったら、やっぱりメキシコ人に負けない精神的な強さと交渉力が必要になってきます。日本人だけの価値観が必ずしも正しくて、必要というわけではなくなっています。
―世界就職
児玉:企業も人も、世界に目を向ければまだまだ需要があるということですよね。
楠本:そうなんですよ。特に日本人の留学生に多いのですが、オーストラリアだけにこだわってしまうと、ものすごく視野が狭くなります。就職活動する時、特に新卒のタイミングが一番選択肢が多いので、その時を無駄にしてほしくないと思います。唯一どの業界でも選べるという時期に市場の小さなオーストラリアだけに絞ってしてしまうと「これだけしかないですよ」という話になる。日本も含めて、世界で就職を目指すのであれば、例えば、香港やシンガポールなんかも視野に入れることが出来れば、それこそ可能性は無限大になると思います。
児玉:そのように考えて、視野を広く持って「イエス」と言える人は、どこにでも行けるんでしょうね。
楠本:そうなんですよね。今になって思うのですが、やっぱり20代のときは色々な経験をして、もちろん、失敗することも沢山ありますが、その失敗を後から活かせれば、より良い、味わい深い人材になると思います。
―海外への適応性
児玉:人種によって全然価値観が違いますよね。例えばオージーにはオージーの時間軸がありますし、海外に出る人材としては、それを楽しめないといけない。基本的に海外に出るときはそこの国で働かせてもらっている気持ちで来てはいますけど、「こういう感じかぁ」と楽しめるようになると、仕事や生活は、より楽しくなるかなと思います。キャパシティが広がって器が大きくなるという感じがしますね。
楠本:逆にそういう心意気で行ってもらわないと海外生活は耐えられなくなりますよね。
児玉:ポジティブに、1個1個の発見を楽しむような感じでいくと良いですね。
楠本:基本的には「何でもありえるんだ」くらいに考えておいてもらうと、万事うまくいくように思います。今のご時世、今まで属していた自分たちの社会や会社が変わらないとは限らないですからね。例えば、会社がどこかに買収されて急にルールが変わることも当然あります。価値観は時代や状況に応じて変わっていくものですから。
―日本と海外での役割の違い
児玉:企業に属していたとしても、ここが自分の会社だという高い意識を持つことは、大事ですよね。企業の看板ではなく、高い意識で働いている人と仕事が出来る機会が多いことも、海外の楽しみの一つすね。
楠本:海外に来ると、日本とは違う役割を求められます。多いケースでは、日本でいちスタッフとして働いていた人が、海外で突然マネージャーとなるケースです。最初はもちろん初めてのことだらけなので、相当大変ですが、責任者として部門や人のマネジメントを経験し、ビジネスパーソンとして、「個」の力を相当磨けるようです。その反面、きっと辛くて大変な部分も相応にあるとは思いますが・・・
児玉:海外に出ると、日本にある20とか30の部署でやっているような仕事を、一人でやっている状況になります。ですから、会社の一通りの流れが全部分かります。仕事を大きく俯瞰し、把握することによって経営者が何を考えているかよく理解できたり、チームの力、人材がいかに大事かがよく分かります。
楠本:これからは、そういう人がもっと必要になってくると思います。ビジネスの道理を分かり、個でもチームでも活躍出来るようになっていかないといけないですし、それを今度は、周囲にも伝えていかないといけないですからね。
児玉:一生勉強、1日1日、成長する気持ちが大事になりますね。
Staff Solutions Australia × GO豪メルボルン特別企画 「対談」後編はコチラ