食物思考~Thought for Food~(11) スターフルーツ編
更新日: 2009-05-19
「人生を楽しくする方法なんて、いくらでもある。」これは、私の友人の言葉です。「何かおもしろいことないかなあ。」とボヤいて待っているのではなくて、「何かおもしろいことは、おのれで作り出すのだ。」と当たり前に考えられるアクティブな人です。後ろ向きになった時、私はこの言葉を心の中で繰り返すのです。
しかしながら五月病でしょうか、私はつい最近まで、友人のこの名言にも救われずに、恐ろしく沈み込んでおりました。メルボルンの秋に患う日本の春の病。適応能力の低下がうかがえるようです。
楽しみを作り出すこと、見出すこと、単純なようで難しいのであります。特に心が病に占められている時には、いつもは楽しいはずのことも曇りガラスを一枚挟んで見えて、なかなか前に進む気にもならなかったりするものです。反対に、いつもはなんでもなかったことに元気づけられることもあります。そう、例えば、スターフルーツ。
この果物は、あまり日本では見かけることはないかもしれないですね。東南アジア原産の黄色い果物で、こちらの市場ではよくお見かけします。スターフルーツは、その名のとおり断面が星形なのであります。それゆえ、切っても切っても星、まるで金太郎飴のようです。ああ、表現がスターフルーツにふさわしくない。言い換えましょう。スターフルーツとは、人々に小さな幸せを運ぶため、夜空の星が姿を変えて地上に現れたものでございます。ナイフを入れる度に、地上に星がこぼれていく。沈んだ心にそっとやさしい光を投げ掛けてくれる・・・なんてアメージングでありましょう。
暗欝な日々は、都会のオレンジ色の曇り空がなぜか心に平穏をもたらし、澄んだ夜空に輝く星たちを見上げるのが苦しい。そんな時には、スターフルーツを使って料理を飾る。ほんの少し笑顔がこぼれる。笑顔は気持ちを上向きにするものです。そうしてきっと、星空に素直に感動する心を取り戻すことができるんじゃないかと思うのです。
そんな素敵な役目を果たすスターフルーツですけれど、オーストラリアのガイジンさんは「自分では買わない、フルーツサラダに入っているのを食べるくらいかしらん。」なんておっしゃっておりました。味もそんなにストロングではなく、梨風味でさっぱりしておりますが、意外に影もうすい存在なのね。「食べ方を知らない。」とおっしゃる方もいるくらいですもの。
「スターフルーツの皮って食べられるの?じゃあ、皮ごとかぶりついてもかまわないのね。」
そんなことをのたまった方へ。お願いですから考え直してください。かまいますってば。スターフルーツとして生まれてきたのに、スターフルーツと名付けられたのに、その意味をわかってあげてください。スターフィッシュ(=ヒトデ)のように邪険な扱いはやめていただきたいのです。同じ星形でもスターフィッシュとは違うのです。彼らは日干しになって砕かれ、畑の肥やしになることはできますが、スターフルーツのように、人々にハッピーフィーリングをもたらすことはできないんです。
たしかに、スターフルーツの皮はお食べになられてもけっこうですが、せめて輪切り、いえ、星切りにしてください。きっとあなたの心を照らす小さな灯となるので。
コメント- Chookie (2009-05-21T23:18:20)
- 慧さん>>ありがとうございます☆☆☆黄緑色っぽいものは、野菜感覚でサラダに混ぜちゃってください。黄色くなると、甘みが出て来ます。
- 慧 (2009-05-21T11:16:40)
- いつも楽しく読んでいます。スターフルーツまだ食べたことないです。今度試してみます。
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