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川島由紀恵(仮名)の話(5)

アートガイドの仕事は楽しいけれど大変で、責任重大だ。NGV(ビクトリア国立美術館)から日本人では初めての採用だと言われ、誇りに思った。前にも言ったが、何回かテストがあり、その度に振り落とされ、2年間の訓練の後、一人前のアートガイドになれるのだ。NGV は定期的にスタッフをお客に混じらせて、アートガイドを盲チェックしているようなので、いい加減な仕事はできない。
余り知られていないが、ビクトリア国立美術館、National Gallery of Victoria,(NGV)はNGVI(NGVインターナショナル(国際芸術作品常設美術館)と、フェデレーション広場にあるNGVA(NGVオーストラリア:イアン・ポッター・センター)と、二か所ある。NGVIはインターナショナル・アートのコレクションでよく知られているが、NGVAは先住民芸術【ファースト・ピープルの人びとのアート作品】を含めた、植民地時代から現代までのオーストラリアンアートを所蔵している美術館です。NGVAには、オーストラリア・先住民のアート作品(ファースト・ピープルのアート)のことを知りたいと言う外国人の観光客がよく来る。
6か月ごとに展示物が変わってくるので、その度にギャラリーが決めたテーマに沿って新しい展示物に関する勉強をして、NGVIとNGVAの両館について自分でアートガイド路線をきめて、作成しなければいけない。
毎週火曜日にはNGV のキュウレーターの方々や、メルボルン大学教授による講義や、NGV教育部が計画する講義があり、出席して、アートに関する新しい知識を得る。だから、ボランティアといえども楽ではない。アートガイドは、普通は英語でしているけれど、特別に日本人のグループの予約を受ければ、それに応じて日本語のみのアートガイドもしている。新しく勉強したことをニか国言語で理解して話すのは難しいものだ。
今までアートガイドをしていて、一番印象に残っているのが、北斎展と、エジプト・ファラオ展。日本語でのアートガイドを予約されたグループに、三回ガイドをやった。ピエール・ボナールも良かった。でも最近の日本のアーティスト・草間彌生エキジビションは、入場者数が約500、000人と、オーストラリア美術館の歴史上、最高記録を作ると言う人気ぶりだった。国際的な成功をおさめたアーティスト、草間彌生に対して、同じ日本人女性として、説明していて、とても誇らしく思った。エジプト展も面白かった。歴史が入ると面白い。
コンテンポラリー・アートは、理解し難い物が多く、あまり好きではない。 写真もあまり好きではない。

ちょさ
 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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