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食物思考~Thought for Food~(14) かぼちゃ編

 オーストラリアは一年中暖かい、というイメージをたくさんの日本人は持っていらっしゃいますが、ここメルボルンの冬は、寒い。かなりの寒さであります。40度越えの夏よりはもちろん過ごしやすいと言えますけれど、家の中で常にマフラーをしているあたり、南国にやってきている気がまったくしないのです。



 そんな中、ウチの庭には季節外れのかぼちゃが生息しております。特にかぼちゃを植えた覚えはなく、コンポスト(生ゴミを堆肥にするための容器)からこぼれ落ちた種が発芽したのでしょう。最初のうちは、「すぐに枯れてしまうだろうさ。」と放りっぱなしでありましたが、それにも関わらず葉っぱは増えるわツルは延びるわで、そんなに存在をアピールされちゃ、こちらも世話せずにはいられなくなったわけでして。

 自分のシャワーの時間を1分短縮して、その分かぼちゃたちに水を与える。そんな日々が続き、いつしかかぼちゃはひとつふたつと蕾をつけ、そしてついには鮮やかな黄色い花を咲かせるようになりました。そうなってくると、いつ食物が実るのであろうかと期待は膨らむばかり。

 ある日、日毎に数を増してくるかぼちゃの花たちを眺めていて思い出したのは、小学校の理科の授業。「かぼちゃには雄花、雌花があるんだよね・・・ん?」なんだか妙だ、我が家のかぼちゃ畑。花が咲き乱れていて一見、とても順調に育っているよう。しかし、何かが引っ掛かるのです。

 引っ掛かりの元はその花たちでございました。かぼちゃに雄花・雌花があるのは記憶にたしかで、だとすれば、かぼちゃをゲットするには2種類の花がなければならないのは明白であります。なのにウチの庭にあるのは、10個20個咲いても同じ花。もしや雌雄異株なのか、と思いきや、かぼちゃは同じ株で雄花も雌花もつけるのです。

 ウチのは雄花オンリー。男同士では子宝は望めませぬ。ゲイピープルの多いメルボルンとは言え、ウチのかぼちゃ畑に限ってはそれはご法度。雌花オンリーならば、どこかの密夫役の雄花の花粉を虫が運んでくれるかも、と望みはあるのですけれども。

 園芸センターに相談に行っても、「雌花が出てこないの?Umm・・・待つしかないね、グッドラック。」と言われるだけでした。わかりました。待つしかないのであれば、待ちましょう。

 グッドラックの効き目はそれから2週間後。ついに生まれた紅一点。初孫を腕に抱いた時はきっとこんな感じってくらい、文字どおり飛び上がって喜びました。いや、まだそんな歳ではないですがね。とにかく、さっそく咲いている雄花を一つむしり取り、人工授粉を敢行した私です。



 なんとか寒さに耐え抜いて大きなかぼちゃに育ってほしいものですが、最近、寒さのためにかぼちゃの元気がなくなってきました。残念ながら季節外れですから、孫を手放す覚悟は今からしておいたほうがよさそうです。

 季節外れとは申しましたが、先週、こちらは冬至を迎えたのでした。冬至と言えば冬至かぼちゃ。冬至には、かぼちゃ食してゆず風呂に入ると風邪をひかないと言われております。南半球ですっかりそのことを失念していた私は、見事に風邪っぴきでございます。日本の精神、忘れるべからずですな。
 

コメント

以前のコメント

Chookie   (2009-06-26T00:35:54)
ヨシミさん>>ふふ。私の血肉となってもらいます。
ヨシミ   (2009-06-25T16:41:27)
やっぱり冬至にかぼちゃ食べるんですよね!どうやったかなぁと思いつつ確認していなかったんです。で、可愛い可愛いかぼちゃは大きくなったら食べるんですか?

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私は、一日に一度は市場に行かなければ落ち着かないマーケットホリック。これは、そんな私と食物たちとの四方山話です。

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