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バレリーナ、清水さくらさんのメルボルンバレエカンパニー・レポート

メルボルンのバレエカンパニーを知っていますか?

2010年1月8日掲載

公演レポート
2009年12月19日 メルボルンバレエカンパニー チャペルオフチャペルシアター
清水さくら

 

 

スポーツがとても盛んなオーストラリア。
しかしこの国でも芸術を愛し求めて行動をしている人々がたくさんいる。

メルボルンバレエカンパニーは2007年5月に発足し、6月に最初の公演を行ったメルボルンの新しいバレエカンパニー。
メルボルンに、オーストラリアに住むダンサー、ダンスを愛する人々が集まって、公演を作り上げている。
主任振付家のサイモン・ホイは、ヨーロッパやアメリカでもダンサー振付家としての経験を積んだ、とても才能あふれるオーストラリア人の振付家。クラシックバレエを元に、繊細で、美しく、斬新な動きを美しい曲に振付ける事のできる貴重なアーティストだ。
そしてダンサーは、オーストラリアンバレエ、パリオペラ座バレエ、シュツットガルトバレエなどのヨーロッパの有名なバレエ団で活躍した経験を持つ、素晴しいアーティストが集まっている。
そもそもオーストラリアはとても広く、バレエ学校もたくさんあり、バレエは人気のある習い事であるにもかかわらず、大都市であるメルボルン、シドニーにバレエ団はオーストラリアンバレエ、一つしかなかった。これは素晴しい大きなバレエ団なのだが、一つしかないとなると、やはりバレエ団の傾向も一つに片寄り、たくさんのアーティストの才能が埋もれる形になってしまう。
そこで生まれたのが、メルボルンバレエカンパニーなのだ。
芸術監督のアリッサ・フェニーは、二人の男の子の母親であり、ガイ・ライトマン・バレエ・スクールの校長でもある、バレエを愛する人の一人だ。
今年12月16日から20日に行われた公演の稽古は、11月23日に始まった。練習期間は、3週間。真新しい2つの作品を含む4つの作品の練習をするには、とても短い期間だ。
彼女のバレエスクールは、ノース・ボーウィンにある。ノース・ボーウィンは街中から少し離れた谷の合間の美しい住宅地だ。バレエ団の基本練習が始まるのは、大体十時か十時半なのだが、ここガイ・ライトマン・バレエ・スクールでは、バレエ学校のスケジュールの関係で、9時に始まる。そんなわけで、9時からの基本練習を受けるためには、少々早起きをしなければならない。
それでも、皆しっかり集まる。この日々を楽しみにしていた、そしてどんなに疲れていても一日中踊りに携わっている事を楽しんでいるダンサー達なのだ。

公演は、チャペルオフチャペルシアター。賑やかでおしゃれなチャペルストリートの一本裏の通りにある教会を改装し、作られた劇場で行われた。
規模は小さいが、とてもおしゃれな雰囲気で、スタッフもとても感じがよく、集まっていた客層もおしゃれで素敵な人が多かった。
一つ目の作品‘In One Day’は、有名なヴィバルディの四季に、サイモン・ホイとロバート・ケリーが振付けを行った作品である。ダンサーの美しい動きがたくさんつまった、とても見ごたえのある作品だった。
第二部には新しい作品が二つ。一つ目はとてもドラマティックなシャスタコビッチの曲に、二つ目はロマンティックなショパンの曲に振付けがされた。いずれの作品も、短い練習期間のうちに、ダンサーの繊細さをうまく引き出し、公演では感情と動きがうまくかみ合った、美しくもダイナミックな素晴しい作品に仕上がっていた。
ガイ・キャリソンによる照明もとても美しく、ダンサーたちはとても美しく輝いて踊っていた。

 

新しいバレエ団を立ち上げるのは、決して簡単な事ではない。でも、この国、この街で、輝かしい才能を生かしてゆくために立ち上がる事は、素晴しい事だと思う。
この新しいバレエ団がメルボルンの人々の支えを受けて発展し、さらにたくさんの人々にこのバレエ団の公演を楽しんでもらえたらと、心から願ってやまない。

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