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Tattooはartだ!

アートシーンの熱いメルボルン、だからこそ開かれたfestival

28-30.01.2011   Rites of Passage Tattoo Convention & Art Festival


Royal Exhibition Building Carlton Gardens で開かれた3日間のタトゥーフェスティバル。
さすがアート好きが集まるメルボルンだけにいろんな人がいた。

主催者の1人Yaniさんはこのフェスティバルについてこう語ってくれる。「世界各国から195人のタトゥーアーティストを招待した。タトゥーはただ体にデザインや字を入れるという枠を越え、アートの領域に入っている。タトゥーアーティストが機械や手を使って創り出すものは、彼らの素晴らしい作品に他ならない。このフェスティバルでは多くの人にそれを感じてもらいたい。」

日本人のタトゥーアーティストも何人か招待されていた。日本のタトゥー界で知らない者はいないという‘三代目彫よし’の息子、総領中野一義さん。父親のもと11年修行をした後独り立ちをし、現在3年目。この仕事は自分の人生そのものと熱く語ってくれた。


総領中野一義さんのサイトhttp://www.ne.jp/asahi/tattoo/horiyoshi3/souryou-pict.html


’長州彫かず’の名を持つ吉住和馬さんは、彫よし先生に全身タトゥーを入れてもらったことをきっかけに、一義さんと知り合った。今では世界であるタトゥーコンベンションで顔を合わせる仲になっているらしい。ちなみに2人は兄弟のようなおもしろいコンビであった。


(左)総領中野一義さん、(右)吉住和馬さん

もう1人、KHANさんという日本在住の韓国人タトゥーアーティストがいた。KHANさんは奥さんが日本人なだけにとても日本語が上手い。10年の経験を持つタトゥーアーティストだが、その経歴は興味深い。98年に建築の勉強で日本留学中、道で偶然上半身に大きなタトゥーをしているやくざに遭遇。階段から降りて来る彼らのタトゥーの美しさに息を呑む。その後韓国に戻ってもその感動が忘れられず、ロンドンへの建築留学を変更し、再び東京へタトゥーを学ぶためやってくる。当時日本語もうまくできない、知り合いもいない中、彫よし先生の本や自分の体を使って勉強したという努力家。愛妻家なKHANさん、奥さんが1番大事だけれど世界を廻っていろんなアーティストの影響を受けていきたいと、優しい口調で今後の抱負を語ってくれた。

 
KHANさんのサイト  http://khantattoo.com/

他にも海外からいろんなアーティストが来場していた。皆見かけは少し怖い感じもするが、話しかけると実はとってもフレンドリー。人と違ったことをしないと意味がない!と自分の血で絵を描くDr.Rev Bloodpainter。パフォーマーの中には日本人のSANAxxxさんもいた。彼女は世界のタトゥーコンベンションでアートとタトゥーをつなぐ橋渡しを2007年からしている。今回は日本で人気のデザイン”般若“をテーマに踊りを披露。魂をこめて踊るといったSANAさんのパフォーマンスには、観客皆が釘付け。アートに国境がないことを証明してくれた瞬間だった。

 
SANAxxxさんのサイト  http://sanaxxx.net/SANAxxxs_Website/SANAxxxs_Website.html

このフェスティバルは森林保護をメインとするチャリティーの資金集めも目的の1つである。主催者がメルボルンを選んだ理由は、オーストラリアの中で緑の1番多い街だからだそうだ。来年はもっと緑に関することも組み入れたいと意気込んでいた。今回のフェスティバルで、主催者のコンセプト、’’タトゥーがアートだ’’ ということを筆者納得。日本人には少し難しいテーマかもしれないが、今後体を使ったアートとしてタトゥーを見ることができたら、もっとアートに対する見方も変わるかもしれない。来年も是非、才能豊かなタトゥーアーティストに会いにいこうではないか。

  

Rites of Passage Tattoo Convention & Art Festival
http://www.ritesofpassagefestival.com/events


2011年2月2日掲載
写真・文:兼重貴子 (Written and Photographed by Takako Drew)

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