おしぼり会社「エクシードタオル」経営 鈴木恵美子氏インタビュー
オーストラリアに日本のおしぼり文化を
2011年10月26日掲載
ブリスベンを拠点に夫婦でおしぼり会社「Xceed Towels」を経営する鈴木恵美子さん。
メルボルンを訪問していた鈴木さんに、オーストラリアでのおしぼりビジネスについて伺った。
【プロフィール】
鈴木恵美子
お弁当箱製造工場を営む両親のもと、3人兄弟のまん中に生まれる。2004年1月、夫(英国人)、3人の子供とともにオーストラリアに移住。ブリスベンを拠点に、オーストラリアではじめてのおしぼりサービス業を起業。2006年、初めての展示会出展以来、全国展開を成し、現在ではNT州からタスマニア、ブリスベンからパース、また大陸縦断鉄道『THE GHAN』の1等クラスなど、オーストラリア全土にエクシードおしぼりを提供している。
インタビュアー:長谷川 潤、高阪 竜馬
-現在どのような事業をされていますか?
ブリスベンを拠点に、レンタルのおしぼり、オーストラリア全土でコットンのおしぼりと紙おしぼりを提供しています。
-オーストラリアに来られたきっかけは何だったのですか?
日本で公務員をしていたころ、膨大な仕事量を抱え時間的にとても厳しい生活だった為、育児の負担がすべて夫にかかってしまっていました。
このままだと家庭が壊れると思い、3人目の子どもの出産で育児休暇をもらった時、それまでの生活を変えるためにオーストラリア移住の申請をしてみようかと考えました。
それからは出産して忙しくなる前にIELTSの勉強をしたりと準備をしました。
-おしぼりビジネスを始めるきっかけは?
イギリス人の夫が日本のおしぼりは世界で喜ばれると思い立ったのです。
おしぼりがヤクザの商売だという事も知らずに始めました。とにかく身体を張って根性でやってきました。
-今まで経験のなかった分野での試みで、不安はありませんでしたか?
勇気というよりは勢いで、これでいけるかなどはあまり考えず、夫の意思について来ました。
夫のポリシーは
「人生は一度きり、一人一枚白いキャンバスが与えられているのだから、そこに思いっきり好きな絵を描けばいい」。
私自身もサラリーマンではなく、何か自分でできることをしてみたいとは思っていました。
両親もビジネスをしていましたしね。
ただ、比較的貧しい環境で育ってきたので、心のどこかに安定した生活を望んでいたところはありました。
大学で教鞭をとるイギリス人の夫を持ちながら、自分が育ってきた環境のように、家の中に商品の在庫が置かれたり、工場からの機械の音が聴こえてきたりなんていう生活を、しかも海外でするなんて想像もしていませんでした。
私の大学院時代の友人が「教授になった」とか、「政府機関で活躍している」とか、そんなニュースを聞くと、自分がちょっとだけ負け犬になったような感覚も立ち上げ時はありましたね。おしぼりビジネスを立ち上げて以来、6年間の経験は、私に誇りと夢と強さを与えてくれました。本当にそうです。
-オーストラリアではまったくおしぼりを知らない人たちも多かったと思いますが、どの様にアプローチされましたか?
どのタイミングで、どのように出すものなのかというところから伝えなくてはいけなかったので、『日本のおもてなし文化』として展示会で実際に見てもらったりしました。これが意外に受けましたね。展示会では来場者が資料やいろんなサンプルを持ち歩いていて、かなり疲れているんです。そこにアロマのついた温かいおしぼりを渡したので、本当に喜ばれました。
また、以前は、ある国際会議で私達が芸者さんのかっこをして、おしぼりを配ったこともありました。疲れているところに温かいおしぼりサービスで、癒されるんですよ。
-立ち上げの時に苦労したことは何でしたか?
すべてをかけて準備してきた、最初の展示会の2週間前におしぼりの機械が爆発した時です。
ベートーベンの『運命』が頭の中で流れました(笑)
でも不思議なことに、『絶対に何とかできるはずだ』!と、アドレナリンのようなものが湧き出てきたんです。
その時は受注分と展示会用のおしぼり1,000本を手で作りました。『戦うチャンスをありがとう!』って不思議と自分の与えられた試練に感謝しました。そう思える自分が嬉しくて、、、、、涙を流しながらおしぼりを作っていました。傍からみたら、変ですよね。でも、ここが、私達の紛れもない原点なんです。―何があっても絶対負けないっていうことなんです。
湧き出る知恵で、以前廃棄しようとしていた在庫がこの時を待っていたように有効利用できたりして、ベネフィットもちゃっかり出てしまいました。
Xceed Towelsのコットンおしぼり。日本のおしぼりと全く同じ仕様(綿100%、個別フィルム包装)で提供
(写真提供:Xceed Towels)
-とても高品質の商品を提供されていらっしゃいますね。
はい。商品のクオリティーは私たち一番のセールスポイントですから。
工場に行き、どのような場所で、誰が、どのようにして作っているのかもきちんと管理しています。そして何よりも、エクシードおしぼりは、私がお店に合わせてプロデュースします。日本の文化ですが、現在では、日本よりもはるかに高品質で、ユニークなおしぼりを作っています。ちなみに、私が日本に行く時は、おしぼりをお土産に持って行くんですよ。おしぼりの、『逆里帰り』とでも言いますか、、、。
みんな喜んでくれ、記念に持っていてくれるんです。
Xceed Towelsの紙おしぼり。オーストラリア全土にて飲食店をはじめ様々なシーンで使用されている
(写真提供:Xceed Towels)
-「Xceed Towels」のおしぼりは飲食店以外でどのような場所で使われていますか?
大陸縦断列車「THE GHAN」の一等車のゲストルームで、ヒーリング用に使っていただいています。
私たちの夢がオーストラリア大陸を渡っている様で、とても喜んでいます。
日本のおもてなし文化がこの地に受け入れてもらえたということがとても嬉しいです。
-このお仕事をされていて、喜びを感じる時はどのような時ですか?
ずばり、リピートの注文をいただいた時です。 うちのおしぼりを愛してくださっているという証拠ですからね。ですので、私達もその期待を裏切らぬよう、真心こめて、荷物の出荷をしているんです。これは、距離や発注数に関係ないんですよ、本当に。
-鈴木さんの夢を教えて下さい。
これまたズバリ、「おしぼりと言えば、エクシード!」と言ってもらえるように、オーストラリア全土に広げ、愛されたいです。例えて言うなら、グッチやエルメスのように、おしぼりとしての老舗ブランドになりたいです。そして、日本にも輸出したいですね。私達は日本から海外に出て、私達のプロデュースしたおしぼりが、オーストラリアから日本に行って活躍してもらうこともありかなと思っています。
そして、もう一つの夢は何よりも、子供たちです。私達を受け入れてくれたこのオーストラリアに貢献ができる、立派な成人に必ずや育ってもらいたいですね。これは、私達夫婦の悲願でもあります。
-お客様に向けてメッセージをお願いします。
おしぼりで手をきれいにしてもらうというよりも、おしぼりを使ってお店の付加価値を上げるお手伝いを、させていただきたいですね。
名刺代わりのおしぼりはもとより、暑い時期に保冷剤にもなるおしぼりも作っています。
メルボルンを含め、オーストラリア全土に高品質でコストの安いおしぼりを広めて行きたいです。
鈴木さんありがとうございました!
これからもオーストラリアにおしぼり文化を普及させていって下さい。
Xceed Towels
Tel: 07 3511 1750
Fax: 07 3511 1753
PO box: PO Box 2072, Keperra, QLD 4054
Web:www.xceedtowels.com.au/
※11月末までVIC州オンリーのおしぼりキャンペーンも実施中とのこと。
詳しくはこちらのフライヤーから。
写真撮影(クレジット付きイメージ以外):浅野 典子
撮影協力:Regent Club
コメント- 麻里子 (2011-11-08)
- 素晴らしいインタビューでした!メルボルンから応援してます!
- J. (2011-11-04)
- お忙しい滞在中にインタビューをお受け頂き、誠にありがとうございました。
- 鈴木ひろゆき JAP 千葉県 (2011-10-31)
-
「悪を滅するを功と云い
善を生ずるを徳とは云うなり」
二つは同じ力です
がんばってください
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