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テーマは『発電』 異色のアート展示会

現代美術家 池田剛介さん 8/16まで個展開催中

2012年8月9日開催

 

現在RMIT Universityの一角に位置するプロジェクトスペースにて日本人 現代美術家の池田剛介 (Kosuke Ikeda) さんの展示会が行われています。


池田さんは1980年、福岡生まれの現代美術家。

京都造形芸術大学と東京芸術大学でアートを学んだのち、展示や雑誌、書籍等への執筆、また講師など精力的に活躍する若きアーティストです。

現在は東京を拠点に制作活動をしている池田さんですが、Tokyo Wonder SiteAsialinkが連携したレジデンスプログラムを通じ約3ヶ月間作品制作と展示のためにメルボルンに滞在しています。

今回の展示でしか見ることができない作品もありますので、ぜひたくさんの方に足を運んで頂けたらと思います!

 

【ここで池田剛介さんへ突撃インタビュー!】

―今回展示されている作品のテーマは何ですか?

昨年の東日本大震災以降、発電に関連したプロジェクトを進めています。これまでに東京や被災地の気仙地域で行ったのですが、今回もその展開として、発電を一つの軸にした展覧会になっています。

―水に関するテーマが多く使用されている理由は何ですか?

水は震災の前から扱っているモチーフで、今回の展覧会でも一つの大きな要素になりました。水は地球上の様々な生態系を貫くような仕方で循環しています。その普遍性と同時に、とても身近なものでもあり、さらに液体・気体・個体など様々な様相の変化にも開かれているところに関心を持っています。

オーストラリアは特に、水の使用に意識的な国ですね。洪水や森林火災、干ばつなど、水に関わる様々な自然災害も多い。あとメルボルンはとても気候が不安定で、晴れていると思ってもすぐにスコールが来たり、雨が降ったり止んだりします。そういう人間の力を越えた自然のコントロールできない要素にも関心があり、メルボルンのそうした環境も、今回、発電と同時に水を扱う要因になったと思います。


exform  : 2011 / Photo by Ryohei Tomita ©Kosuke Ikeda

―制作する中でどこで一番苦労されましたか?

細かなパーツを手に入れるのに苦労しました。たとえば今回レコードプレーヤーを使っているのですが、このプレーヤーに合うレコードの針がオーストラリア国内では見つからず、アメリカから注文したりしています。自転車用のダイナモも同様で、イギリスや日本から送ってもらったりしました。ちょっとしたものを手に入れるのに思いのほか時間がかかったりしたのが、少し大変でしたね。


 

―今回の展示を通じて印象深い出来事はありましたか?

オープニングでたくさん人が来てくれたのですが、特に子供が楽しんでくれていたのは印象的でした。僕の作品はわりに子供受けするという自信があるのですが(笑)、今回は外国のキッズが作品で遊びまわってくれていたのが嬉しかったですね。


―芸術の道に進もうと思ったきっかけは何でしょうか?

絵を描いたり、ものを作ったりするのは好きだったのですが、美術では食べていけないだろうという気持ちもあり、デザインや広告にも関心があったので学部ではデザイン科に入学しました。ですが、徐々に広告などの世界への興味が薄くなっていって、大学院では、そもそも関心のあった現代美術を専攻することにしました。


―池田さんにとって現代美術の楽しさとは何でしょうか?

価値感を自分で作ることができるところだと思います。広告やデザインでは、クライアントの意向や消費者の反応などを意識しながらクリエイションを進めることが求められます。つまりそれは、既成の価値規準ありきで作品を考えていくことになるわけですが、現代美術の場合、その価値規準をオリジナルに作ることが求められる。それは現代美術の自由さでもありますが、同時に難しいところでもあると思います。


―今回の滞在でメルボルンのアーティストたちと交流する機会はありましたか?

滞在先のRMIT(ロイヤル・メルボルン工科大学)に関わる多くのアーティストと話ができました。こちらではアーティストに限らず、自然環境やエネルギーなどに関心を持つ人が多いので、僕の問題意識も通じやすいと感じています。むしろ日本で話しているよりも、僕がやっていることを理解してもらっているようにも感じますね。


―メルボルンを含め今後海外で活躍される予定はありますか?

特に現在、海外で決まっている予定はありません。震災以降の日本の状況に関心を持っていて、被災地も含め新たなプロジェクトを始める予定でいますので、しばらくは日本をベースに活動することになると思います。ですが今回も、アーティスト・トークに学生を始め、多くの人に来て頂いて、みな震災以降の日本のことに興味があるようでした。今後もこうした形で、海外にも発信していく機会を作れればと思っています。



exform  : 2011 / Photo by Kozo Takayama ©Kosuke Ikeda

 

―滞在もほぼ3ヶ月が過ぎようとしていますが、メルボルンにはどんな印象を持っていますか?

大学が多いことも一因でしょうけれど、街中に若い人が多く、多文化な空気を感じます。僕は大学院を出てから一年間、ボストンに住んでいたのですが、とてもよく似ていると思います。文化的な都市でありながら、やや落ち着いた住みやすいところだと感じています。


―メルボルンのどんなところが好きですか?

ヴィクトリア・マーケットという有名な市場の近くに住んでいて、食材を買いに行くのを楽しんでいます。

RMIT内のPearson & Murphy'sというカフェは、もともと裁判所だったところをリノベーションして喫茶店にしてるのですが、円形に近い多角形という珍しい空間で、気に入っています。


―これから新たに挑戦したいことはありますか?

震災後は東京だけでなく被災地などでも制作をしたりしているのですが、福島でもこれからプロジェクトを展開する予定でいます。発電を扱った作品でも、さらに色々な手法、とくにマイクロ水力発電に取り組んでみたいと思っています。

 


東京藝術大学発電所 Tokyo Art- Power Planet 2011:
東京藝大で行われた福島県の漆の展示会を風力、人力、太陽光などの手段で自家発電された電力のみを用いて行うというプロジェクト。

 

イベントは8月16日まで。お時間のある方はぜひ立ち寄って見てください!

文・写真: Noe Fujimoto

■展示会インフォメーション
Melbourne Art-Power Plant

場所: RMIT Unversity / PROJECT SPACE

住所: Building 94, 23-27 Cardigan Street, Carlton

期間: 現在開催中~8月16日(木) 10時~17時 ※土日は休館

料金: 無料

WEB: http://schoolofartgalleries.dsc.rmit.edu.au/PSSR/

TEL: 03 9925 4971

池田剛介さんウェブサイト: http://kosukeikeda.net/

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