Flavour of Japan / Rice & Grain Delights Fair
コメ・コメ関連食品のオーストラリアでの普及を目指して
2024年10月16日掲載
9月16日、日本の良質なコメ・コメ関連食品のオーストラリアでの普及を目指して、"Flavour of Japan / Rice & Grain Delights Fair" が Crowne Plaza Melbourne で開催されました。
主催は、一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(Japan Rice and Rice Industry Export Promotion Association, 通称:全米輸)。
オープニングでは、全米輸木村良理事長が、組織と本イベントの意義・概要・目的などの説明をされました。
今回の販売促進会に参加する全米輸の会員は9組織。
1組織ずつ紹介を受けます。
続いて、日本とオーストラリアの架け橋となり、世界に誇れる日本の食べ物・酒・製品・文化をオーストラリアで流通、浸透させるお手伝いをしている会社 Tryber Pty Ltd のプレゼンテーション。
同社の長谷川潤代表より、オーストラリアの日本食品の傾向などについて説明がありました。
その後、各ブースに分かれて、現地企業と商談に入りました。
●JA全農インターナショナル株式会社
農業協同組合は、全国的な組織であり、多くの農家から仕入れることができる多様性が強みとのこと。
輸出する米は、濃厚味、あっさり味といった性質の違う米をブレンドして、使いやすくした無洗米。
輸出先での人気料理に合うようにブレンドしているそうです。
●千田みずほ株式会社
主食用の一般精米の他、味噌や米菓、清酒などのメーカー向けの原料米加工まで、加工メーカーに対応するお米を製造・販売する「お米の総合企業」。グループ会社のジャンボリアは「米屋の美味しいご飯」を学校、病院、飲食店やスーパー等に弁当・おにぎり等を供給する。「口に入るまでおいしく」が理念の一つ。
日本のおコメ・おコメ製品のあたらしい市場として、海外市場に届けることを目指している。
●株式会社百笑市場
「日本の食文化の象徴であるお米の味を世界に広める」を目指して、2016年に設立された米卸会社。
設立当初は輸出専門で、後ほど国内流通も手掛けるようになったとのこと。
生産農家から、直接購入して直接海外業者に輸出している。
社名は「百姓が笑っていられる」社会を目指していることから名付けられた。
●アイリスオーヤマ株式会社
食品としての安全性・おいしさとともに、利便性にも目を向けている。
商品の企画として、厚さなどを工夫して、3分熱湯につけることで食べ頃になる切り餅を開発した。つまり、海外でも人気の各種のカップ麺、それにプラスするだけで、ボリュームが増えるというものだ。
また、水で戻るアルファ化米の商品は、本来はアウトドア用に開発したが、日本では災害時の非常食としてヒットしている。オーストラリアでは、本来のアウトドア用としての販売拡大を目指しているそうだ。
●株式会社八代目儀兵衛
京都の地に、江戸寛政時代に創業。目利き・ブレンド・精米・炊飯の分野において高い技術力を持ち、全社員が「お米マイスター」という資格を有している。
家電メーカーへの炊飯器の開発支援、大手コンビニのおにぎりの監修への外部会社としての始めての参加など、他社とのコラボレーションも実績多数。
●白鶴酒造株式会社
酒造好適米「山田錦」の大きな産地であり、日本酒に最適だと言われる宮水が流れ、日本酒製造の技術者集団「丹波杜氏」を擁する「灘五郷」は日本を代表する酒処です。
白鶴酒造はその灘の地に所在する、広く知られた酒造メーカーです。日々の暮らしに寄り添う普段飲みのお酒として沢山の人々を魅了してきました
杜氏が、自分が普段飲みたいお酒として作ったという「杜氏鑑」を試飲させていただき、その心意気を感じました。
●人気酒造株式会社
「吟醸だけしか造らない、手造りだけでしか造らない」がコンセプトの福島県の酒蔵。
「ワイングラスで飲む日本酒」「全て瓶内で発酵し、米と米麹だけでつくったスパークリング日本酒」「日本・EU・CORのオーガニック認証を取得したオーガニック日本酒」といった人気のラインナップを揃えていました。
●株式会社波里
日本のリテール市場において、11年連続米粉の販売実績No.1。日本産米粉は、料理や菓子作りに最適で、特に揚げ物用途において、その優れた特性が際立つ。米粉の使用は、調理者・消費者の双方に多くのメリットをもたらし、油の使用量や吸油率が低いため、ヘルシーな仕上がりを実現可能である。
●森白製菓株式会社
主力製品のあられは、原料として、挽いたコメ粉ではなく、米粒を使う昔ながらの方法で作ることにこだわっている。
この方法は人手がかかるが、香ばしさに差がでてくるとのこと。
現在では、さまざまな味とネーミングで若い人にアピールしている。トマト味、トマトの形(玉)に玉ねぎをくわえた「たまたまトマト」や「めちゃうまラー油」など。
コメ食材を使用しての試食タイムは、コメ粉、コメ粉から作られたパン粉によるフライが披露されました。
調理するのは、農林水産省から「日本食普及の親善大使」に任命されている荒金育英シェフ。
キンさんの通称で親しまれる荒金シェフが揚げたフライは、サクサクとした軽い食感が印象的でした。
その横では、備長炭で焼いた真空パックのお餅も振る舞われました。
日本国外で暮らしていると、お餅は正月という固定観念が薄れてきます。
いつでも食べられるのがありがたい、個人的に真空パックのお餅をよく購入しています。
ただ、お餅に限らず日本料理での素材を普及するために、それぞれ他の国の料理に何がどのように活かしていけるのか?
これを探していくことが、普及するための課題でしょう。
日本産のコメとオーストラリア産のコメを、同じ条件で炊いて来場者に提供されました。
日本のコメはやわらかく、粘りと甘みを感じます。
また、今回は炊きたてのご飯での比較でしたが、普段メルボルンで生活している身として、他のコメは冷めると美味しくないのが、日本産のコメは冷めても美味しさを保っているとは、常々感じていることです。
日本のコメおよびコメ関連食品の実力を再確認した本イベント。
特に参加されていた企業がみな、それぞれの製品に並々ならぬ理念とプライドをもっていることが感じられました。
日本人にとっての主食コメが、今後オーストラリアで、全世界で、広く普及していくことを願っています。
文・写真:矢部勝義
コメント