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TRYBER Managing Director 長谷川 潤 インタビュー

GO豪メルボルンのアイツがロング・トークで登場。

2010年2月2日掲載

GO豪メルボルンはこのほど、さまざまな新しいコンテンツやお得な情報を盛り込んでリニューアルしました!
そこで、GO豪メルボルンを運営するTRYBER の長谷川 潤社長が、新サイトにかける想いや人生観を熱く語ります。

 

TRYBER  長谷川 潤

 

【プロフィール】
長谷川 潤 Jun Hasegawa
1971年9月11日生まれ。乙女座、AB型。
京都市左京区出身。日本で水泳指導員、ベンチャー企業の支店立ち上げ担当兼営業マンを経て、2002年オーストラリアへ。19歳~20代前半、ユーラシア大陸に魅了され放浪の旅へ出かける。香港、ロンドンでの在住経験あり。趣味は水泳とゴルフ(頻繁にブームが変わるが…)。「黒沢映画」と「司馬遼太郎」が元気の源。最近ハマっているものは i phone。好きな食べ物はバナナ。得意料理はチャーハン。



--2008年6月に『GO 豪 メルボルン』を立ち上げた、きっかけは何だったのですか?

 無謀なことをやりたかったし、放熱したいものが溜まりに溜まっていた。誰のためとか、なんのため、とか模範回答でなくてすみません(笑)。

 のんびりペースで暮らしていた日常に飽きてしまい、ガチャガチャ、ざわざわ、もう一度人生をうるさくさせたかった。

 30代の脂ぎった男にとって退屈は孤独に等しい…気力・体力、充溢しているし、人生を四季に例えるならば、春夏秋冬の順番は逆でいい→【冬(30代)・秋(40代)・夏(50代)・春(60代)】。 60代になったらのんびり春を楽しみます。僕は地図と日曜日が苦手なので、迷いながらも止まらず走っていたい! 方々から「迷い過ぎやろ!」と突っ込みが入り反省もしているのですが…。

 

-- 『GO 豪 メルボルン』に込めた思いとは?

 発火点は自分達かも知れないけど、良いも悪いも色々な人々や時代の波にもまれながら、成長していってほしい。個人的に一番嫌なのは「可もなく不可もなく」ですね。「大好き!」、「大嫌い!!」っていう意見はウェルカムですが「別に」とか「微妙」って言われると悔しくってしょうがない。「微妙」っていうのは、本音では「あまり好きじゃない」ってことを遠回しに言っているわけだから。創作活動のレスポンスで一番の敵は無関心と温度のなさ。逆に言えば、褒められるのと怒られるのは同じぐらい値打ちがある。


--『GO 豪 メルボルン』の立ち上げから現時点までを振り返って、どのように感じますか?

 これはカッコつけているわけじゃなく、振り返るほどの道のりではないし、退路は塞いで進んでいるつもり。根が優柔不断なもので、逃げ場所があると、どこか覚悟が決まらない…だから休みたい、一服したい時でも、辿ってきた道や脇道ではなく、前の道にある茶店を探し当てたいな、とは思っています。引き返す力なんて残していたら、登り坂は歩けない。


--経営者としてサイトを運営するにあたり、一番大切にしていることは何ですか?

 ホントは胸に秘めた想いはあるのですが、最近、あまり人との約束を守れていないので大言・壮言は控えます。なんだかんだ経営者としては現状、赤点なので、自分の考えや幅を広げられるよう、己との闘いですね。10勝0敗に憧れるものの、贔屓目で見ても、かろうじて5勝5敗ペース。負け越さないというのは相当大変ですよ~。悲しいかな「勝てば官軍!」なので愚図愚図言わず闘います。

 だけどスタッフは別。「結果がすべて」というのはドライで時代ともマッチしているかもしれませんが、どんな結果を招いたとしても、その人の仕事のプロセスにも感謝したい…ここ1年ほどは経営を軌道に乗せたいが余り、そこばかりに目が行き、自分の気持ちや配慮が足らず、多くのスタッフが去っていったのも事実。今いるスタッフも気持ちの繋がりがあるから目をつぶってもらっていることも多いし、まずは四の五の言う前に改善し、皆で美酒を味わいたい。

 「大切にしていること」と口にする前に「大切なことは何か?」の自問自答のくり返しで、“カンパニーは生身の人間の集まり”というのを痛いほど感じた1年でした。

 

 

--2010年2月、『GO 豪 メルボルン』がリニューアルしました。期待することは何ですか?

 むしろ自分以外の人達に聞いてみたいですね。

 個人的にはレストランに例えるならば5つ星にならなくて良い。大衆食堂がいいです。ただし、いつも満杯で行列の途絶えない大衆食堂。毎日行って、毎日食べても「あ~、旨いなぁ!」って言わるような、そんな大衆サイトでありたい。ちょっと女性ユーザーの多いGO豪メルボルンとはかけ離れた思いに聞えるかもしれないけれど、言わんとしていることはわかってもらえますか?世の中に送り出す仕事やサービスには普遍性がないと受け入れられないとも思っています。


--リニューアルした『GO 豪 メルボルン』のサイト内でやってみたいこと、挑戦したいことは何ですか?

 正直に話すと、自分の手から離してみたいですね(自分がやめる、とかそういうレベルではなく)。サイトがゆっくりではあるけれども軌道に乗りつつあるので、今から必要なことはコツコツと信用・実績を積み重ねてゆくこと。僕はどうしても、さら地というか、未開の地に行って、あたふたとゼロから始めるのが性に合っている。フロンティア・スピリッツ旺盛に聞えるかも知れませんが、要するにコツコツと地道なことが苦手な邪悪人間です(笑)。答えのない問題は知恵や発想が3割バッター程度にヒットもするけれど、方程式に当てはめて問題を解けない…だから、デキる人が出来る仕事をすればいいんです! ここまで正直に言ったらマズイだろうけど、皆さん、お忘れ下さい。

 GO豪メルボルンが多くの人たちに受け入れられ、多種多様なDNAが注入されるのは、ある意味、冒険でもあり楽しみ。ただ、まだまだやらなくちゃいけないこともある…今やっているポータルサイトのビジネス・モデルがバージョンアップしたら、ある程度の日本人人口に達する世界の主要都市に持って行ってみたいですね。香港やロンドンには在住経験もあるので興味があるし、タイやシンガポール、オーストラリアの他都市やニュージーランドも面白い。世界のどこでもいいから、誰か、やりたい人、いませんか?いつでも名乗りを待っていますから連絡を下さい。個人的には将来、ポルトガルに住みたいけど、まだまだビジネスにはならないだろうね~。でもチャンスが「あるか・ないか」
は企業の判断だろうけど、僕らベンチャー組はチャンスを「生むか・生まないか」なので、どこへ行ってもスピリッツは同じ。ダメだと思ったら永久にダメだし、「やれる!」と思ったら、半分成功(たとえ気分だけでも)。あとの半分は工夫しだい。頭の中にはいつも長渕剛の“Captain of the Ship”が流れているし(笑)、行き帰りの電車の中、i Pod聞きながら、自分で自分を鼓舞してます。


--一経営者としてTRYBERの今後の夢・目標は何ですか?

 なんでしょうね? 日本でのベンチャー時代、若くして東京や福岡で支店を立ち上げる際、現地の代表として赴任させてもらい、それぞれの土地で、ある程度の成功もしました。自信もあり、給料も権限も大きくなり天狗にもなった。そんな30代前半の頃、オーストラリアへやってきて、それまでと同じ考え方や取り組み方でビジネスを興した…結果、天狗の鼻は木端微塵。今考えると色々な要素はあったのですが、やっぱり自分の器量と力量が足らなかった。日本で支店長をやろうが、大きな勝負をしようが、所詮は他者(会社や社長)の財布で勝負させてもらっていたのです…“失敗を恐れなくてもいい”というより、“失敗してもなんとかなる”環境の中、社長や会社が後ろ盾になっていてくれたことを自覚していなかった。99%は会社の看板で、自分の力は1%だよね。

 でも今、痛切に感じるのは、たとえ$1でも身銭を切ったり、銀行からお金を借りたりしながら商売している…この感覚の違いは想像以上で、時として精神的にも肉体的にも摩耗してしまう。極端に言えば、会社名や役職もなく、真っ白な名刺に名無しの権兵衛でモノを売りに行って、買ってもらわなくちゃいけない。雨が降れば、誰でも傘を買うだろうけど、僕らは雲ひとつない晴天の中、傘を買ってもらうのが商売ですから、そりゃ、頭も足もフル回転ですよ。営業の天才でもないし、経営の才覚が優れているわけでもない。謙遜抜きに良くも自分みたいなのが生き残っているな、って時々真剣に考え込みますもんね。

 
同じく身近でビジネスを興されている大先輩のMTSCの石原社長や和みアパートメントのジェンセン裕子社長がいかに凄いか実感しています。このお二人はいつも大きな器で私やGO豪メルボルンを見守って頂き、育てて頂き、かけがえのない先輩方です。最近だとDAIWA FOODの渡口社長。とてつもなくスケール感がありますよ。みなさん、いわゆる隙のないキレ者タイプではなく(怒られるかな…)、昔は長屋街で身近にいたような義太夫、姐御肌、兄貴分のような存在で、周りの人たちから慕われている。あとはビジネスで成功しているにも関わらず、あまりお金の匂いがしない。目先の損得だけで物事を見ちゃうと、どうしてもお金の匂いがする。慕ってくる連中の面倒見が良いのです。人間に対して損得勘定がない…駆け引きばかりのこのご時世、そんな人、滅多にいませんよ! 

 メルボルンで仕事をしていて同年代や年下の連中が頑張っているのも嬉しいですよ。花菱の伊賀さんとは夜な夜な耐泳をご一緒させてもらったし(笑)、Chanoyuの高橋さんも約束を守る男、tsumikiのたかさんには妙に魅かれるし、CALの西川さんとも苦労話をしたりする。いま一緒に映像を撮っているSAKE MASTERの前田さんも情熱のかたまりのような熱い男。伝言ネットの亮吾君なんかも可愛いヤツでね、頑張ってる。50代の猛者にも挑戦できて、20代の勢いあるヤツにも突かれる、この30代後半というのは、非常にエキサイティングで美味しいポジションですね~。本音を言えば、俺たちの世代で天下を取る時代だと思ってるから、そういった連中を集めて、今年はイベントをやってみたいと思っている。

 宮本輝著「流転の海」の主人公である松坂熊吾という人物がいます。慕ってくる人間にはたとえ負け戦だとわかっていても、ほおっておかない。この人物像は自分の父とも多くの部分がオーバーラップし、僕にとってはどんなビジネス書よりも多くを学んだ一冊です。「なにがどうなろうと、たいしたことありゃせん」、「自尊心よりも大切なものを持て」など目頭が熱くなる話や金言が散りばめられています。「竜馬がゆく」、「老人と海」と並んで自分が影響を受けた書物。

 
今いるスタッフたちも愛すべき連中です。エリート街道をかなぐり捨て、人生を賭してウチに転職してきてくれた人、持っている技術を惜しみなく駆使し仕事してくれている人、我慢強く粘り強く、この会社に付き合ってくれている面々もいます。ここ1、2年はやりたいことがしっかりできる舞台作りに精を出しているので、思う存分、自分やメンバーが暴れられる頑丈な舞台を、徹底的に作り直すことが遠回りのようだけど一番近道だと思っています。それが皆さまのおかげで曲がりなりにも経営者としていさせてもらっている自分の責務だと考えるように至りました。

 


--個人的な夢・目標は何ですか?

 肉体ありき。今年39歳ですが40歳からはひとつずつ年を減らしてゆくつもりで体を鍛えてゆきます。偉そうなことを言っているわりには腕立て伏せや水泳ですぐに息を切らすオヤジになるのはカッコ悪いですから…。10代や20代の連中と真っ向から突き合っても負けないエネルギーを発信し続けたい。“挑戦する”のではなく、“挑戦し続ける”と生涯現役を決め込んでいます。お金や他力本願で手に入れたものには、いつか飽きがくるけれど、自分の力で手に入れるものっていうのはプライスレス。20代の頃、友達が出世したり、でっかい家に住んだり、いい車に乗っていると屈折したジェラシーを感じた。でも40手前になると、そんなことどうでも良くて、好きな友達が元気にしていて、たまに会って酒を飲めるのが最高に嬉しい。こういう気持ちになるというのが自然に生きる、ということなのかな?とも思う。亡くなったウチの親父が言っていた言葉なのですが「健康な肉体には健康な魂が宿る!」、と。今になって、その言葉の意味が少しずつわかるようになりました。

 野望を言えば、当たるか当たらないかなど考えず映画を一本撮ってみたい。いま、仕事で少しづつ、映像モノをやっているのですが、これが深くて面白い。現場の緊迫した空気感とか連帯感がたまらないですよ。こんな面白いことあるのかって思う。良き映像ビジネスパートナー2人にも恵まれ、ここの部分で言えば、ラッキーすぎるぐらい…今だから話せるけど、昨年、ビデオ・グラファーもいない状況で、撮影の仕事を取っちゃった…クライアントの撮影1日前に、有川君というプロが面接に来て、ほとんどそのまま彼を引っ張って行った。そして初のドキュメンタリー制作を進めている渦中に、近藤さんというプロフェッショナルから連絡をもらって、こちらも2週間後には一緒に仕事していた…いい加減な言い方に聞こえるかも知れないけど、自分が何かに合わせるんじゃなく、環境が自分についてくる、という思い込みで、ここ一番は動いてもいいんじゃないか、と思う。

 浮世に生き、煩悩だらけなので、ぶっちゃけ名誉やお金も欲しいよね…だけど、とどのつまり、しんどくても充実しまくっている日々のほうが宝物。労働した後の飯って美味いじゃないですか? なにかをやり終えた疲労感の中、ようやく布団に潜り込める時のしあわせってないじゃないですか? 腹も空かさず、眠気も襲ってこない…そんな無機質な人間にはなりたくないですね。「泣かず、飛ばず」という言葉がありますが、自分から「泣いて、飛んで」、誰かと何かと絡んでいきたいですね。


--新たなデザインでますます盛り上がる『GO 豪 メルボルン』をご覧になるユーザーの方へ熱いメッセージをお願いします。

 手を伸ばせば、僕たちがそこにいるサイトにしたいと切に願っています。ITとかWEBっていうと最先端に聞えますが、僕たちは日夜、汗をかき、足を使い、メルボルンの「今」を射止めています。距離や時間を越え、温もりや街の匂いが漂う、頼り甲斐があり胸襟を開いて話せる友人のようなサイトになれれば、こんなに嬉しいことはございません。

 どうぞ率直なご意見やご感想を下さい。そして皆さんが参加して頂き、愛情を持ってもらえるようなサイトにできるようスタッフ一同、取り組んで参りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 また今年は、GO豪メルボルンを皮切りに、いくつかの花火を打ち上げるつもりですので、どうぞご期待ください。

 最後に、このような貴重なスペースに自社の私ごときのインタビューで割かせて頂いたことに心よりお礼を申し上げます。

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