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歯科医師 Dr.久保 孝太郎 インタビュー

志高く、そして親身になって治療をしてくれる歯医者さん。

2009年5月23日掲載

【プロフィール】
久保 孝太郎 Kotaro Kubo
高校1年時に来豪。オーストラリアで学び、オーストラリアの高質医療を実践する日本人歯科医師としてDentistry @ 676に在勤。日本語で納得いくまで症例、問題点、治療内容等について話し合い、どんな質問にも熱心に答えてくれる。また優しい先生として、小さな子供にもとても親しまれている。

インタビュアー:長谷川 潤、大喜多 良美

 

--歯科医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

父親が薬剤師なので、その影響もあり、小さいころから薬剤師を目指していました。(オーストラリアの)大学入学時に父親と相談をしたとき、同じ薬剤師になるのは面白くないのではないかというアドバイスをもらい、同じような分野で違うことをしてみようと思いました。また自分は手先が器用だと思っていたので、歯科医師になろうと決めました。

 

--歯科医師になられて現在はどのような思いを持たれていますか?

大学卒業時の歯科医師になりたての頃は、名前の前に「Dr.」という呼称がつくので少し天狗になった時期もありました。いざ仕事を始めれば、大学で学んだことが活用できないことも多く、毎日が悪戦苦闘でした。患者さんが治療を終えて帰宅された後も、施した治療について自分に問いかけることが良くありました。最近はようやくそういった心配事が減りました。週末も仕事を振り返らず少しずつ楽しめるようになりました。

 

--Dentistry @ 676で働かれるようになったきっかけは何でしたか?

今年で歯科医師として5年目になります。〝Dentistry @ 676”で働き始めて4年目になります。最初は政府が運営するコミュニティで働いていました。ある日同僚が新聞の求人広告を持ってきて、日本語が話せる歯科医師を募集していることを知りました。すぐに問い合わせをしたところ、次の日に面接することになり、そしてその次の日には出勤が決まりました。縁と言いますか、運命みたいなものですね。

 

--こちらのクリニックの良いところは何ですか?

医学用語や、英語と日本語間のニュアンスの違いなどから、自分の症状などを英語で正確に伝えることは難しいこともあります。クリニックにはオーストラリアの国家資格を持ったデンタル・ナースが治療に付き添い、通訳もしますので細かいニュアンスもきちんと伝わります。少し英語に不安のある人でも安心だと思います。また自分自身も日本語が母国語ですので、気軽に来院していただけると思います。

 

--オーストラリアの歯科医療は「高額」というイメージがあるため、我慢されることも多いと思います。そういった人へのアドバイスをお願いします。

オーストラリアでは、ほとんどの歯科治療は保険外診療となります。質の高い治療を行おうとすると、歯科医療費は、国や会社が負担するにはあまりにも大きい額となってくるからです。質の高い治療を行おうとすれば、高品質の医療材料、器具、十分な治療時間、万全の衛生管理といったように、費用を安く抑えるのはとても難しくなるのです。しかし、十分な治療時間をかけ、高度な技術のもとに、高品質の材料を使用して治療が行われた歯は、より長持ちします。日本でも、こういった治療は、保険外診療を行う歯科医に行けば受けられますが、その場合、治療費はオーストラリアと同じくらいになるようです。ただ、日本で、国民健康保険や社会保険に加入している方は、日本に帰ったときに払い戻しが出来ますので、質の高い治療をリーズナブルな値段で治療することが可能です。ですので、我慢して虫歯を悪化させるのではなく、早めに診察にお越し下さい。当クリニックでは、これら、国民健康保険や社会保険、民間の保険による払い戻し手続きも無料でしておりますので、お気軽にお申し付けください。

 

--歯科医師になられて一番印象深かったことは何ですか?

新人の頃は患者さんが摂取している薬の内容が把握できていなかったり、日本人であれば誰でも知っているような薬名が英語表記になると全く違う表記(スペル)であるため、気づかなかったこともありました。
ある患者さんに「なぜこの薬を服用されていますか?」と尋ねたときに「なぜこんな薬を服用しているのか?」と威圧的に言ったように捉えられたことがありました。「友人が同じような症状で、この薬を飲んでいるから」という回答に、やっと英語では表記がまったく異なる薬名であるということがわかったということがあります。

 

--お忙しい仕事だと思いますが、休日はどのように過ごされていますか?

週末は治療のことはなるべく考えないようにしていますが、考えないようにするのは結構難しいことです。最近は買い物に行ったり、家具屋に行ったりしていますね。

 

--オーストラリアの歯科医療の優れた点はどこだと思われますか?

日本の歯科医療に携わったことがないので、あまり違いが明白には判りません。ただオーストラリアでは1回の治療の時間がとても長いと思います。説明もきっちりしていますので、自分の治療内容をしっかりと理解した上で治療を受けることができることだと思います。

 

--歯磨きのコツや歯ブラシの選び方を教えていただけますが?

手動、電動にかかわらず歯ブラシを使用しても、きちんと正しい磨き方をしていれば、歯垢・歯石除去という目的は果たされています。ほとんどの人が歯を磨く時間は、寝起きで眠たいときや仕事の後の帰宅後で疲れていたりするので、少し活力のない時間帯になります。ですが、あまり短時間で簡単に磨かず、3、4分かけて磨くことが肝心です。
歯ブラシヘッドはなるべく小さく、柔らかいものを選び、歯の1本1本を丁寧に細かく磨くことも大切です。この磨き方をすると大抵3、4分はかかります。硬めの歯ブラシを使用すると歯茎が下がってしまい、知覚過敏の原因となりますので、柔らかめのブラシを使用してください。
また歯磨き粉もフッ素(※)が入っているものを使用することで、虫歯予防となります。

 

--マウス・ウォッシュは種類も豊富に販売されていますが、それらを使用することは良いですか?

もちろん、使用することは良いでしょう。ただし、歯磨きをきちんとした上で使用することにより効果が発揮されるものなので、歯磨きをせずにうがい程度の使用では効果は得られません。歯磨き後の〝プラスα”として使用すると良いでしょう。

 

--歯垢・歯石を除去する頻度はどれくらいが良いですか?

オーストラリアでは6ヶ月に1回の検診をおすすめしています。歯垢はねばねばした白いまくのようなものです。そしてそれをほおっておくと、やがて硬い歯石となります。歯石は歯科のクリーニングでしかとることができません。歯垢が溜まるということは、きちんとした歯磨きができていない、あるいは歯ブラシが届かないところの掃除をさぼっていることになります。きちんと磨いていても溜まりやすい人もいますので、もちろん個人差はありますし、検診頻度もそれぞれ違います。

 

--最近よく聞かれる「ホワイトニング」とはどういったものですか?

「ホワイトニングは歯の表面を傷つける」と思っている人も多いようですが、実際は歯の表面に付いたシミを溶かし出しているだけですので、何の傷にもなりません。芸能人がよくしているのはレーザーのホワイトニングです。1日で処置が完了するのですが、高額となります。
自宅でしていただくホワイトニングとして、マウスガードのようなものがあります。レーザーのホワイトニングでもその白さを保つためには、自宅のホワイトニングを継続して行わなければなりません。ですので、1日で歯を白くしたいといったことでなければ、自宅で行うホワイトニングが効果的であり、金額的にも安くなります。

 

--歯の健康を保つために、普段からどのようなことを心がけると良いですか?

よく言われるのが「おやつをあまり食べない」と言ったことが挙げられます。歯の健康を保つためには、専門的に言うと、口内が酸性である時間を減らすことが肝心です。例えば、おやつを食べた後に1杯の水でうがいをするだけでも、口内が酸性から中性へと変わりやすくなります。また歯にくっつきやすいキャラメル等を食べた際は、歯にくっついている間は口内が酸性のままになっていますので、そういった粘着性のある食べ物を食べた後は歯磨きをすると良いですね。
食べた後は早めに歯磨きをすることが理想です。歯磨きを面倒臭く感じるかもしれませんが、日常の習慣として身につけていただけることが理想です。

 

--Dr.久保の今後の夢や目標は何ですか?

歯科医師として5年目ですが、毎日が勉強ですね。少しずつ慣れてきたものの、思ったように治療が進まないこともあります。そういったことにもうまく対処していくことも目標です。また今の自分の治療技術や知識に満足することなく、少しでも時間を見つけて技術向上や勉強をするように心がけていきたいですね。

 

--オーストラリアで歯科医を目指す方にメッセージをお願いします。

小さい頃の歯医者での痛い思い出があるためか、歯科医を目指す人は多くないかもしれません。どの職業にも当てはまることですが、その職に就いてみないことには、自分に向いているかどうかは解りません。またオーストラリアでは、就職した後でも容易に学生に戻ることができる国です。始めてみれば歯科医師が天職になる可能性もあります。少しでも興味があるなら、その職業に就かれている方の話を聞いてみたりしてはいかがでしょうか?

 

--プライベートでのこだわり、こだわりアイテムなどはありますか?

体調を毎日ベストの状態にしておきたいと思うので、少し調子が悪いなと思ったら、早めに薬を服用したり、病院で診てもらったりするようにしています。そのためにも早寝をするようにしています。あまり呑めませんが、お酒を呑む際も次の日に影響しないようにしています。また当然のことですが、どの患者さんにも分け隔てなく接するようにすることですね。

 

※フッ素
 初期虫歯(虫歯で穴があく一歩手前の状態)を元に戻そうとする力がある。フッ素の再石灰化作用による修復力によるもの。その他の効果作用としては、ミネラルを取り込み、歯の再結晶化(再石灰化)の速度を高めること、さらにはミネラルの溶解、流出を防止することなどが挙げられる。
 食品の中にも含まれており、例えば芝えびなどには10-40ppm、お茶、紅茶の葉には100-500ppm含まれ、実際にお茶としてお湯を入れて飲む場合は、0.2-1.0ppmくらいの濃度になる。
 

Dentistry @ 676 Dr.イアン・マラトス Dr.久保孝太郎 歯科医院
URL:http://www.dentistryat676.com.au
住所:676 Centre Road, East Bentleigh VIC 3165
電話:(03) 9570 1479(日本語直通)/ (03) 9570 3128(代表)
E-mail:drianmaratos@optusnet.com.au (日本語可)
※詳しいクリニックの情報はこちら

◇Dr. Ian Maratosによる「information」はこちら

<学生、ワーキング・ホリデーの方へ>
Dentistry @ 676では、治療費が特に大きな負担となる学生、ワーキング・ホリデーの方のための割引の相談にも応じています。歯の治療が必要な方は、一度ご相談ください。

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